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みんな大好きバディ・リッチ。「キング・オブ・ドラムス」「ドラム・ゴッド」とまで言われる彼について少し触れてみます

はい、ビッグバンドファンです。今日はみんな大好きバディ・リッチについて話をしていきます。みんな大好きと書きましたが、知らない方もいるかもしれませんので、一つYouTubeの動画を貼っておきます。

実はみんながよく知るバディ・リッチは50歳を過ぎてからの姿が殆ど

どうですか?凄いですよねぇ。さて、バディ・リッチさんですがステージ自体の記録は2歳からとなっており、キャリアとしても意外にいろんな方とやっています。フランク・シナトラ、ナット・キング・コール、カウント・ベイシー、トミー・ドーシー、チャーリー・パーカー、セロニアス・モンクといった面々と共演していて、アルバムにも残っているそうです。更にビッグバンドも一応1940年代に活動しているのですが、バディ・リッチのことを知っているという人が恐らくイメージするバディ・リッチは1966年からのものと思われます。この時、もうバディ・リッチは年齢も50歳を過ぎ、ビッグバンドが商業的にかなり厳しい時代に入ってからという状況の中だったわけですが、それでも「West Side Story」をリリースしてヒットさせます。

この年はサドジョーンズ&メルルイスジャズオーケストラも結成された年ですが、いずれにしても「今更ビッグバンド?」と誰もが疑問に思う時期ですが、それでもあの圧倒的なパフォーマンスによって聴衆をひき込んでいったわけです。

面白エピソード満載・・・だけど、やっぱりドラミングが凄い

っていうか、50歳であのスタイル、しかもそこから死ぬまでの20年近く変わらぬパフォーマンス、一切衰えることなくそのまま突っ走ったというのは驚異の一言です。ちなみに譜面が読めなかったとか、エリック宮城さんが本当はメイナード・ファーガソンバンドに入りたかったのに入れなくて渋々バディ・リッチバンドに入ることになったとか、演奏でミスするとスティックが飛んでくるとか、真偽のほどは定かではないですが面白いエピソードに事欠かない方です。しかしその魅力はやっぱりドラミングに集約されます。波を打つようなスイング感、歯切れのよいスナップ、強弱のメリハリのついたダイナミズム、スローな曲での抜群のテンポ、超人的なスピードでのドライブ、そしてソロでのショーケース、どれをとってもバディ・リッチにしか持ち合わせていない技術の数々です。

それにしてもYouTubeにもライブ映像が沢山上がっていますが、どの映像見ても元気。若手中心にベテランも交えて集められたバンドメンバーに対しバディ・リッチが先頭を切って「さあ行くぞ」という雰囲気を曲の最初のカウントから感じさせる。演奏は荒っぽいところもあるが、バンド全体の元気さがそれを上回る。難しいJAZZもいいけど、こういうJAZZもいいよな、といつ聞いても思えるそんな魅力があります。

バディ・リッチの8ビートは格別

ベイシーライクな演奏からロックまで何でもやっちゃいますが、個人的にはやっぱりバディ・リッチの8ビート・16ビートは格別だなと思います。Dancing Menなんてバディ・リッチのドラムだからここまでカッコよくなるんでしょうよ。冷静に聞けばフレーズ自体は相当ダサいというか、この強引さがたまらない。

ちなみに先程紹介したWest Side Story、これあくまで噂ですが、このバディ・リッチ楽団のWest Side Storyのアレンジはバディリッチだから許された、と言われているみたいです。つまりバディ・リッチ以外があのアレンジでWest Side Storyを演奏しても聴衆を惹きつけることが出来ない、それぐらい唯一無二の存在だった、というそんなエピソードです。

テレビにも沢山出演、ついにはエミー賞まで獲得

またテレビにも数多く出演されていた方で、特に「ザ・トゥナイト・ショー」という1954年から続く深夜のTVトーク番組があるのですが、親友のジョニー・カーソンという方が1962年から1990年の30年間司会をつとめていて、この間にバディ・リッチを何回も番組に出演させていたそうです。カーソン氏自身がアマチュアではあったもののドラムを小さい頃からやっていたということで、特に憧れもあったのではないかと思います。これによりジャズやビッグバンドといったものを詳しく知らない層にもバディ・リッチは知られるようになります。

そういうこともあってでしょうか、1985年バディ・リッチ生前最後のスタジオ・ライヴ・レコーディングのビデオはエミー賞を受賞しています。アカデミー賞が映画、トニー賞が演劇、グラミー賞が音楽、そしてエミー賞はテレビ、という分類ですからね。詳しく調べてないですが、ベイシーもエリントンもエミー賞は取ってないと思います、相当珍しいことだと思いますね。ちなみにこのエミー賞を受賞した作品の最後にも入っている「Channel One Suite」この曲はもうヤバイです。バディ・リッチには沢山楽しい曲がありますが、この曲は組曲ということもあって特に魅力がギュッと詰まった感じがします。

後世のドラマーにも多大な影響を及ぼす

そして当然ながらこれだけのまさに不世出のドラマーですから、今を活躍しているドラマーにも多大な影響を及ぼしています。分かりやすい話としては1994年と1997年にリリースされたトリビュートアルバム「Burning for Buddy」ですね。これはBuddy Richに憧れたトップドラマー達がバディ・リッチの人気曲をやろうという企画もののアルバムで、収録された楽曲も人気の高いものばかりが選ばれたアルバムなのですが、この企画アルバムに集まったドラマーがもう凄い人ばかり。

Simon Phillips、Dave Weckl、Steve Gadd、Steve Smith、Billy Cobham、
Max Roach、Omar Hakim、Marvin “Smitty” Smith・・・など、一度は聞いたことあるという錚々たる面々。ちなみにこのアルバム、それぞれ「赤バディ」「青バディ」と言われるぐらい結構出回っています。ただ、これ私何人か会ったことあるのでここで注意しておこうと思うのですが、この「赤バディ」「青バディ」のことをバディ・リッチが叩いている作品だと思っている人がいるんですよ。それ間違いですからね。正確には青バディの最後のChannel One Suite以外は全部バディ・リッチは叩いてないですからね。彼が亡くなった後の作品ですから、これだけは間違えないようにね。

いかがでしたでしょうか?余談ですが、私、学生の頃、大事な用事がある朝は必ずこのバディ・リッチ楽団の人気ナンバー「Time Check」をかけてました。何ていうかお尻に火が付く感じがしましてね、それこそたるんでいるとバディ・リッチがスティックでお尻を叩いてきそうな、そんな感じです。

以上、ビッグバンドファンでした〜、バイバイ〜

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