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【中編】ガーシュインさんの楽曲の一部(337曲)の著作権が復活ということで、話の経緯やビッグバンドでよく演奏されそうな曲をまとめてみた

はい、ビッグバンドファンです。前回ジョージ・ガーシュインさんの楽曲の一部が著作権復活になったよということで話の概要とその中でもビッグバンドでよく演奏される曲についてまとめました。

今回は前編で取り上げた曲15曲について良い機会なので楽曲の説明やYouTubeの動画等で実際の内容を見ていきたいと思います。

S Wonderful

ガーシュウィン兄弟によるポピュラーソングで作詞をアイラ、作曲をジョージが担当した作品。1927年のブロードウェイ・ミュージカル『ファニー・フェイス』のために書き下ろしたもので、アデール・アステアとフレッド・アステアが初演、通算公演250回を記録し、代表作として知られるようになった曲です。

インストで演奏されることもありますが、やはりミュージカル発の曲ということでボーカル入りで演奏されることが多い曲ですね。サクッと検索するとドイツのhr-Bigbandが何ともお洒落なアレンジで演奏している動画が出てきました。

原曲に近いという点では、イギリスBBC放送局のビッグバンド「BBC BigBand」のこの動画が近い気がします。

A Foggy Day

ジョージが作曲、作詞がアイラで、1937年の映画「踊る騎士」の中でフレッド・アステアによって歌われたもので1937年の録音で人気が出たそうです。なお元々は、当時ロンドンでよく見られた汚染による霧にちなんで「霧の日(ロンドンタウン)」と呼ばれていたようで、(In London Town)と入るケースも多いそうです。

ちなみにGoogleの動画検索で「A Foggy Day bigband」と入れたら10,600件引っかかりました。演奏動画もザクザク出てきました。これが著作権管理に入るっていうんだから確かにインパクトデカいなぁ。あまりに件数多いのでどれというのを選ぶのも大変なんですが、ここは譜面屋さんが公開しているデモ音源的動画を2つ紹介しておきましょうか。

一つはAlfred Music社から出ているもの。ボーカル入りアレンジでなかなか華やかなアレンジになっております。

もう一つはHal Leonard社から安定のMark Taylor氏のアレンジで。これいいなぁ。

But Not for Me

ジョージが作曲、アイラが作詞した作品で、1930年のミュージカル『Girl Crazy』のために書かれ、オリジナルのプロダクションではジンジャー・ロジャースが歌ったそうです。このミュージカルを基に作られた1932年のミュージカル『クレイジー・フォー・ユー』でもこの曲は取り上げられています。

この曲はビッグバンドでも演奏しますが、ジャズのスタンダードにもなってますよね。というわけで、これも溢れかえる程演奏動画が出てきますが、その中からBob Mintzer氏のアレンジものを。安定の展開の中にキラリと光る氏のモダンさ、安心の仕事っぷり、これはさすがの一言に尽きます。

Embraceable You

ジョージの作曲、アイラの作詞で作られた曲で、元々は1928年にEast Is Westという名前の未発表のオペラのために書かれたそうです。その後1930年に出版され、But Not for Meと同じくジンジャー・ロジャースが演じたミュージカル『Girl Crazy』に含まれていた曲です。

このシルクのように滑らかなメロディライン、聞くのは最高ですが演奏するとなるとこれがねぇ・・・特にアマチュアバンドでこの味を出すのは大変です。私が学生の頃はよく練習しましたが、今はどうなのかなぁ。いい練習にはなりますね。

Fascinathing Rhythm

1924年にジョージが作曲した人気曲で、アイラが歌詞を書いています。ブロードウェイミュージカル「レディ・ビー・グッド」でクリフ・エドワーズ、フレッド・アステア、アデル・アステアによって歌われました。また1926年4月19日にロンドンでピアノをジョージが弾く形で録音も行われたそうです。

さてビッグバンドで演奏するとなると、当然まずはこのアレンジが一番出てくるでしょうねぇ。

みんな大好きサミーネスティコさん!!ビッグバンド界隈ではあまりにこのアレンジが有名過ぎて「Fascinating Rhythm = ネスティコさんの曲」と思っている人もいるんじゃないか、それぐらい有名なアレンジであります。まぁ、今聞いてもカッコいいもんなぁ。

I Got Rhythm

1930年に発表された、ジョージ作曲、アイラ作詞による歌。独特なコードの進行は「リズムチェンジ」として知られ、チャーリー・パーカーとディジー・ガレスピーが作曲した「アンスロポロジー」など、多くの著名なジャズ曲の基礎となったそうです。

というわけで、これもアレンジが沢山ありますが、爽やかファストスウィングアレンジで。

Love Is Here to Stay

ジョージが作曲、アイラが作詞で映画「華麗なるミュージカル」(1938年)にて使われています。実はジョージが1937年7月11日に亡くなる前に完成させた最後の曲で、アイラはジョージの死後、弟へのオマージュとして歌詞を書いたそうです。

これもビッグバンドだと、特に日本のビッグバンド界隈だとこのアレンジがよく演奏されますね。

Ourが付いているもんだから「アワラブ」なんて言って通じてしまうぐらいにどこかしらで演奏されているというそんな感じです。

もっとも譜面の出所が怪しい(正式な出版社から出ているのを見たことがない)のと、この曲は何もそんな怪しげな譜面で演奏しなくても安定のクオリティで書かれた譜面が沢山出回っているので、そっちで演奏した方がいいんじゃないかなぁって気もします。こんな感じ。

Love Walked In

ジョージが作曲、歌詞はアイラです。曲は1930年に作曲されましたが、ケニー・ベイカーが歌った映画ミュージカル「華麗なるミュージカル」(1938年)の歌詞は1937年まで書かれていませんでした。その後、サミー・ケイ(1938)、ヒルトッパーズ(1953)、エラ・フィッツジェラルド(1959)、ダイナ・ワシントン(1960)が歌い、ヒットしています。

たまたまかもしれませんが、YouTubeで検索したらトロンボーンフィーチャーで2つ出てきました。どちらも名手です。

まずはJiggs Whigham。いいわぁ、かっこええわぁ。この動画はあれですかね、アマチュアビッグバンドのライブにゲスト出演した時の動画ですかね?ずっと引きで固定されていますが、名手の演奏の聞き応えは変わりません。

続いてはUrbie Green。この方もまぁ何とも素敵な、惚れ惚れしちゃいますねぇ。自身のビッグバンドでの演奏ということで、名曲を名手が演奏する、安心安定のクオリティ、あぁ~いつまでも聞いていられるわぁ。

というわけで、15曲全部一度に紹介するのも大変なので今回はここまで。残りは後編にて。


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