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多様性ある”ごちゃまぜの場所”はCIAよりも優秀かも

認知症をもちろん、介護や福祉関連に関しては素人である私ですが、「多様性のある社会」について興味を持っていることから前回、前々回と2回連続で認知症についてボソッとさせていただきました。


1回目の『認知症とアフターコロナ』では”考え方ひとつ変えるだけで、社会は変われる”ことを知り、2回目の『認知症バリアフリー』では”私たちは認知症の方は何もできないと思い込んでいただけ”のことに気づきました。

もちろん今回も認知症の話題ですが、世界と日本の認知症ケアを学んだことで、まさに”多様性あるごちゃまぜの場所はCIAよりも優秀だ”ということを教わった、そんなボソッとです。


ヨーロッパにある「認知症の街」


まずは【世界の認知症ケア】についてです。

以前、テレビで拝見したことがある”認知症の人だけが暮らす村”、オランダの『ホグウェイ』やフランスの『ランド・アルツハイマー村』。

村の入居者は全員が認知症の方々。スーパーマーケットや映画館もある街のようなつくりの施設で、そこには認知症患者とスタッフだけが暮らしています。

だから、認知症の方々は敷地内を自由に行動できる環境で暮らします。

自由ですので、例えば買い物にいったときに財布を忘れても、お釣りの計算ができないなどの失敗はアタリマエの世界、つまり認知症の人たちだけが普通に暮らすことができる世界となっています。

特にオランダの『ホグウェイ』は入居者のライフスタイルを7つのユニットに分類し、価値観が似ている方々と共同生活をすることできます。
つまり、これまでの生活の延長線上に暮らせるため、テレビに映っていた入居者の方々が毎日笑顔だったのがとっても印象的でした。


”認知症の人だけが暮らす村”のデメリットってある?


みんなが幸せそうだったので、デメリットをあえて探す必要はないのかなと私は思ったのですが・・・

あえて言うなら、入居費用がかかるようですね(月額70万円)。
これは個人の価値観に関わることなので、デメリットの人もいるでしょうし、メリットとして捉える人もいるのですが、とりあえずこのような費用が掛かるようです。

それと、やっぱり気になるのが”地域との交流”ですよね。
恐らく、認知症の方々は”認知症の村”だけで過ごされると思いますが、その周辺にはもちろん地域住民がいらっしゃいます。
日本の介護施設ならば、地域交流ということで地域住民の方々との交流を深めるシーンをよく見ますが、”認知症の村”というくくりかたをすると他のコミュニティとの交流がなくなるというのはデメリットのような気もしますが、テレビで観たときの入居者の方々の笑顔を観たら、果たしてデメリットなのかどうか・・・


日本の”ごちゃまぜ”コミュニティ


世界の認知症ケア事例として”認知症の村”をみてきましたが、前回ボソッとしました『認知症バリアフリー』を重視した地域住民と一緒に行う街づくりとは異なるケア方法となっていることが分かりました。

次にご紹介するのは、そんな『認知症バリアフリー』を重視したコミュニティづくりをしている日本の事例です。

そのコミュニティのキーワードは

”ごちゃまぜ”

石川県白山市にある『B’s行善寺』(運営:社会福祉法人 佛子園)は障害のある人の就労や日中活動支援、高齢者のデイサービス、3歳未満児の保育園など、さまざまな福祉サービスを行っています。

しかし、この福祉サービス施設の最大の特徴として、天然温泉、フィットネスクラブ、そば屋、カフェ、花屋、診療所などがあり、障害のあるなしに関わらず地域住民も施設内で自由に過ごしたり、働いたりしているという、まさに”ごちゃまぜの場所”です。

NHK番組『こころの時代〜宗教・人生〜』「“ごちゃまぜ”で生きていく」という番組内で、この施設を観て、「まさにこれが多様性のある社会!」と思うとともに、そんな場所が既に存在していることにただただ驚いていました。


どんな人にも居場所があるコミュニティ


従来なら、障害がある人は障害がある人だけ、高齢者の方は高齢者の方だけといった場所となるのが一般的な福祉事業でしたが、『B’s行善寺』では障害がある人、高齢者、心に病がある人、疲れている人、みんなと話がしたい人、元気になりたい人など、どんな人にも居場所があるからこそ色々な人たちが集まってくる、みんなが混ざると面白いことが起こることを社会福祉法人理事長であり僧侶の雄谷良成さんが語っておりました。

雄谷良成さん(社会福祉法人理事長・僧侶)
「障害がある人、遊びに来る人、様子を見に来る人、子供が寄ってきて何しているの?と聞いてくるとか、色々な人がここにいる、例えばフィットネスには脳梗塞で下半身まひの方でも一生懸命頑張っている人がいる、それをみて励まされて、その中で周りの人たちも元気になってくる。」

「障害があっても認知症であっても、人の状態に限らず、皆さんが感じられているのは「なんか居心地がいいなぁ」ということはのではないでしょうか。

ごちゃまぜの場所と言っても、”ただそこにいるだけ”。

それが心地よいと思う人たちがつながっていく場所である。」

NHK番組『こころの時代〜宗教・人生〜』「“ごちゃまぜ”で生きていく」


”ごちゃまぜの力”が化学反応を起こす


「”ごちゃまぜの力”が化学反応を起こす」、そう、これこそが”多様性のある社会”が持っている力だと思います。


様々な人たちが”ごちゃまぜ”となる関係の中で、予想もしなかった力を目の当たりにしたということを雄谷良成さんがおっしゃっていました。

雄谷良成さん(社会福祉法人理事長・僧侶)
「重度な障害がある若い男性と認知症のおばあちゃん、
おばあちゃんが男性の面倒を見てあげる、うまくいかない、なんどもやっているうちに、彼はマヒした体を動かすことができた。2年くらいリハビリでやっていたがなかなか可動域を増やせなかったのに、あっという間にみるみるうちに動くようになった。

おばあちゃんは深夜に色々なところに遊びに行ってしまう、そのことで家族も疲弊してしまう状況だったのが、認知症が改善されているわけではないが、「私があの男性の面倒を見ないと死んでしまう」という認識を持つことで、彼とかかわりを持ちたいがために、深夜もしっかりと寝て朝起きて、彼の面倒を見てあげたいということに生きがいを感じていた。

人はいろんな人と関わることで元気になっていく。

決められた人間関係の中では”足りないものがあるんだ”と理解した。

面白かったですね、わー何が起こっているんだろう!と」

NHK番組『こころの時代〜宗教・人生〜』「“ごちゃまぜ”で生きていく」


多様性ある”ごちゃまぜの場所”はCIAよりも優秀


今回ご紹介した認知症ケアとして『認知症の街』と『ごちゃまぜのコミュニティ』をご紹介しましたが、私はどっちも今後の社会には必要だと思っております。

将来的にはどちらかに集約されるかもしれませんが、いまは”選べる”ことが大事だと思います。


ただ、将来的に社会を成熟させていくためには私は『ごちゃまぜのコミュニティ』があらゆる地域に誕生して欲しいと願っております、なぜならば・・・

多様性ある”ごちゃまぜの場所”はCIAよりも優秀だからです。

皆さんもご存知の通り、CIAは『世界最高峰の情報機関』です、つまり「世界一の組織」と言っても過言ではないでしょう。


CIA史上最大の失敗の原因は「多様性がなかったから」


しかし、CIAは史上最悪のテロであったアメリカ同時多発テロ『9.11』を防ぐことができませんでした。

『9.11』が起こる前までには実は複数のテロの「兆候」があったにもかかわらず、CIAは気づかずテロが実行されたことから、CIAが犯した「史上最大級の失敗」と言われています。

その失敗の原因を「CIA組織が多様性がなかったから」と書籍『多様性の科学』(著:マシュー・サイド)ではあげておりました。


『多様性の科学』の中では、最高の人材を採用してきたはずのCIAが9.11のテロを見逃したのは、職員のほとんどが「白人、男性、アングロサクソン系、プロテスタント」で構成されていたからではないかということが書いてありました。

『9.11』の反省から、CIAは画一的な集団であることを改めて多様性の組織になろうとしているようですが、どこまで変わるかは未知数でしょう。


”ごちゃまぜ”には期待しかない


”ごちゃまぜの場所”である『B’s行善寺』では、沢山の色々な人たちが集まるからこそ多様性のあるコミュニティになっています。

だからこそ”ごちゃまぜの力”が化学反応を起こして、予想もしなかった効果を生み出していることを考えると、いまのところCIAよりも”ごちゃまぜの場所”のほうが人類社会にとって優秀なことがお分かりいただけたのではないでしょうか。


”ごちゃまぜの場所”で今後どんなことが生まれるんだろう、そんなことを考えたらワクワクドキドキしませんか?

CIAが”ごちゃまぜの場所”になったら…もしかしたら戦争を止めさせる奇跡を起こすかもしれませんね、そう願っています。

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