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10/11 NYヘッジファンドからのマーケットアップデート

1.米中協議の結果は、①米国は10/15 の関税を延期、②中国は 400-500 億ドルの農作物を購入、③今回の合意をフェーズ1として11月のAPEC での調印を目指す、といったものになった。通貨協定も含まれると米国は主張しているものの、既存関税はおろか12月の関税引き上げもどうなるか分からない中で、中国が人民元高に誘導するとは考えにくい。また、ファーウェイ制裁については言及されておらず、想定された合意の中ではやや期待はずれの小さなものになったと言える。一方、11月の APECまでは時間が空くのでしばらくマーケットのテーマの中心からは離れていくと思われる。

2. Brexit は昨日のアイルランド/英国のトップ会談がゲームチェンジとなり、本日もさらに進展。英国バークレイ離脱担当相は EU のバルニエ主席交渉官と Tunnel negotiation(弁護士などを同席させ、詳細について話し合う交渉のこと)を行った。バルニエはその後、Brexit の法的文章作成を指示しており、月内の合意離脱への期待が一層高まっている。ここまでマーケットは米中協議ばかりに焦点が行き、Brexit については“どうせ延期されるだろう” 程度にしか考えていなかった。その為、今回のゲームチェンジでポンド対する見方は大きく変わってきている。

3. FED がバランスシート拡大のアナウンスを急遽行った。今月のFOMC で発表すると見られていた為、このタイミングでの発表はサプライズ。10/15から月間 600億ドルの短期証券買い入れを、2020年第二四半期まで行う予定で、金額も市場のコンセンサス(月間 200-300億ドル)よりかなり大きめ。ただ、一部で言われていた米債など、実質的にQEに繋がるような長い年限の購入は発表されなかった。

4. トルコ包囲綱が米国、EUを中心に広がっている。 トルコはシリアへ侵攻し「テロリストを数百人殺害した」と発表しているが、米国では各紙が「Turkey attacks US allies(トルコが米国の味方を攻撃)」と報道しており、メディアの論調を考えるとこれ以上攻撃が続けば、制裁せざるを得なくなってきている。本日も記者会見でムニューシンが強い口調で非難し、トルコ制裁の関連法案が出てくる模様。詳細は不明ながら一部の企業や金融機関に対する制裁が出てくると思われる。また、欧州でも来週(17日)の EU首脳会議でトルコへの制裁を検討する予定。

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