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10/30 NYヘッジファンドからのマーケットアップデート

1. FOMC前に発表された米国第三四半期 GDPは予想を上回る結果。前期比年率換算で1.6%の増加が予想されていたが、+1.9%となった。純輪出はマイナス寄与と海外需要の弱さを反映したが、個人消費が+2.9%と引き続き確りした数字となっている。米株と米債はオープン直後に株売り債券買いとなったが、月末のリバランスと思われる。チリがデモの混乱で11月のAPEC開催を見送るとの報道でアルゴリズムが反応し、一瞬リスクオフになる場面も見られた。また、カナダの金融政策決定会合は声明文のトーンがハトになっており、来年の経済見通しも引き下げている。これを受けてカナダドル売りとなったが、 FOMC前の米国市場は総じて静かであった。

2. FOMCは次回以降の利下げ期待を剥がすー方で、株は上昇、金利は低下、為替はドル売りとなっておりゴルディロックス相場をうまく演出させ、中銀としては成功したものになったと評価できそう。声明文で注目されたのは、①景気見通しが変わらなかったこと(タカ)と、②これまで使われていた “適切に政策調整を行う” という文言が消え、代わりに“政策が適切であるかを評価する”という文言に変わった点 (タカ)だろう。一方、パウエル議長の Q&Aで注目されたのは、①米中やBrexit の進展をポジティプと評価した点(中立) 、 ②利上げはインフレ率が相当上がらない限り考えていないと明示した点(ハト) だろう。

3. 当面利上げが無いことに確証が得られたことで、一部で心配された98年型の“予防的利下げ” ではないことが株買いの安心材料になったといえるだろう(当時は半年後に利上げに転じていた)。後はヘッジフアンドが年内リスクオンシナリオの根拠の一つとして挙げていた “FEDが利下げを行う”という期待が事実になった上でもまだ最高値を更新していけるかという点がポイントか。それにはシナリオの別の根拠である、①米中協議の前進(既存関税巻き戻しも一部期待されている)と②半導体セクターを中心とした景況感の好転があるか、といったところが進むか否かが重要になってくると見ている。

その他(ヘッドラインのみ)
※南ア予算案、Eskom 救済で2023年までに債務が 71.3%まで上昇するとの見通しを発表したことで南アランドは大幅下落。 (2月時点の予算案では59.7%の見通しであつ
た)
※チリは11月APEC 首脳会議を取りやめ(デモの影響)
→米中は別の開催地での合意を模索。

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