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史上最高値を更新する米株。ここから気をつけたい事。

先週からのリスクオンムードが続いており、米株は最高値を更新し、金利も上昇している。CNN(下図参照)が出しているマーケットのブルペア指数もかなりブルサイドに振れている。こういう時こそ、自分達が次のような相場の格言において、どの位置に立っているかを考えるいい時間帯だろう。

「相場は悲観の中で生まれ、懐疑の中に育ち、楽観の中で成熟し、幸福の中で消えていく」

まず、8月は悲観のピークであったと言えるだろう。8月は米金利の2年債と10年債が逆イールド(10年金利が2年金利の水準を下回ること)になり、米国でもリセッションという言葉がかなり使われた。マクロの動向は米中間題が最悪期を迎ええた月で8/1にトランプ政権は中国製品3000億ドル相当へ加関税を発表していた。

9月のマーケットは懐疑的な時間帯が続いたと思う。9月は2か月ぶりに米中協議が再開され、投資家は米中の関係に懐疑的ながらも8月の悲観からは立ち直りつつあった。また、中国の大豆購入やトランプ大統領が(10/1 の建国記念日から10/15に関税を延期させるという)中国に対して善意を示すなど、本質的ではないが前進が見られた月でもあった。

10月に入ると、米中閣僚級会議が開かれ 10/15の関税延期や米産農作物購入などフェーズ1と称されるものが大枠合意に至った。加えて、アイルランド首相とジョンソン首相の会談をきっかけに Brexit が急展開を見せ始め、No Deal Brexitのリスクが大幅に後退した。これまで地政学リスクのトップ2であった“米中通商間題”と“Brexit リスク”が大きく後退し、投資家は楽観モードになった。加えて、FEDがマーケットの期待に応え、今年3回目となる利下げを行ったことや、3Qの企業決算が思いの外、好調であったことも楽観ムードを後押しした。

ではこの先の株の上昇はどうだろうか。ここからの上昇を市場参加者は幸福と受け止めるだろうか、それとも上昇はまだペインサイドだろうか。これは言いえ替えれば“すでにポジションが十分にロングかどうか”ということになるだろう。CNN のブルベア指数(下図)や、過去何度も紹介してきたように、そもそも9月頃からニューヨークのHFを中心に年内リスクオンで見ていた筋が多いことからは、間違いなく答えは”幸福状態にいる”だろう。

それが消えていくかどうかは、この先何が出てくるかを予想しなければいけない。米中とBrexit といったマクロなテーマはポジティブサイドの話が続きそうだが、7割~8割は織り込み済みであろう。半導体を中心にした景況感の回復は中国の5G需要を根拠に語られることが多いが、先日、その真偽を確かめる為に急遽中国に出張し、そこで得た現地の情報からはマーケットの期待が先行しすぎていると感じた。企業の4Q決算見通しについてはEPSの伸びが9/27 時点の+2.4%予想から11/1時点は▲0.4%予想まで下がっている。以上のことを考えると、相場が「幸福の中で消えていく」どうかを測る時間帯に来ていると結論づけるのが適切であると感じている。

買うのは技術、売るのは芸術。

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