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#旅ナカ 鎖国、日本。

旅ナカは、航空券、ホテルに次ぐ第3の旅行商品と言われ、世界的に脚光を浴びています。

日本でも人気が高まってきていますが、運営は前近代的。ソフトウェアもなく、海外の旅行サイトにもオンラインで繋がっておらず、鎖国状態です。

今回はこの問題について考えてみます。

#旅ナカ ってなに?

旅ナカ( #タビナカ #旅中 )は、旅行中に行う消費をまとめて指す言葉です。
日帰りツアー、スポーツなどの体験アクティビティ、博物館などの観光アトラクション、空港送迎のほか、旅行用に使うスマホのSIMカードなども含まれます。

何社くらいが #旅ナカ をやってるの?

日本の某旅ナカ大手旅行会のサイトに掲載されている運営会社は件数で延べ13,000件以上あります。カテゴリーにまたがった重複もあり、実際には9,000社程度だと考えられるのですが、ここに掲載されていないアクティビティ、博物館や美術館といった観光アトラクションを加えると、有料の旅ナカだけで日本には20,000件を超える会社があるのではないかと考えられます。商品化されているツアーなどの数もおそらくこのくらいあるでしょう。

このうち、2/3にあたる約6,000社程度が販売を日々オンラインで行っている業者さんと言えます。約半分が外国人もターゲットにしていると推定されるので、 #インバウンド#訪日旅行 外国人)を扱うのは3,000社くらいでしょう。

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まだエクセルでやってる

これら6,000社のほとんどは予約で商品を販売していますが、いまだにEXCELか紙台帳を使って手作業で予約を管理しています。予約の多くは未だにEメールか電話です。みんな零細企業なんです。

こうした会社が海外のお客様に販売したいと思ったら、海外のオンラン旅行会社(OTA)の業者用サイト(エクストラネット)を開いて在庫を登録し販売してもらうしかありません。世界でもっとも大きなアクティビティ・サイトであるViatorExpediaといった大手総合旅行サイトにそれぞれ在庫を登録して、売れたかどうか確認しなくてはならない状況になっています。これはとても手間がかかる作業です。

オンラインで旅行会社にリアルタイムで接続できている会社は多く見積もっても200社程度と考えられるので6,000社のうち3%前後です。

海外ではどうかというと、オンライン接続して販売しているのは20~30%と言われています。つまり、日本は海外の10分の1程度しかオンラインの予約システムが普及していないのです。そのため、海外への商品の販売はViatorExpediaVeltraなどに限られてしまい、鎖国中に出島から海外と取引しているような姿になっています。海外では数百の旅行会社がオンラインで販売する商品を求めているのに。

海外の #予約管理ソフト を使えば

驚くことに、日本では利用できる既製品のソフトウェアがほとんどありません。大手の数社は自分でソフトウェア会社に開発を依頼して使用していますが、海外ではこうしたソフトウェアを既製品のパッケージにして提供している会社が数十社あります。

こうしたソフトウェアを使えば、次のようなことが可能になります。
・柔軟な価格設定(ダイナミックプライシング)
・在庫をオンラインで流通
・PCやスマホで予約販売をリアルタイムで管理
・ツアー間際まで予約を受け付け
・手仕舞い(予約の締め切り)を自動または手動で設定
・バスやガイドの予約管理(リゾースマネージメント)
・当日にはネームリストをガイドのスマホに配信
・スマホのQRコードを使ったチェックイン
・コミッションの支払やインボイス処理が容易

#サイトコンローラー に接続しよう

海外のソフトウェアには、サイトコントローラーという機能をもったものも30社以上あります。この機能は海外で「チャネルマネージャー」と呼ばれており、1つの在庫を出して多数のオンライン旅行会社(OTA)などで共有してもらうシステムです。

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日本では、予約管理ソフトウェアとサイトコントローラー(チャネルマネージャー)をまとめて「サイトコントローラー」と呼ぶようになってきていますのでご注意ください。

#Googleで販売 しよう

こうしたソフトウェアの中には、ホテル向けBook on Googleの旅ナカ版であるReserve with Googleに対応しているソフトウェアがあります。Google Mapや検索で旅ナカ商品が表示され、直接予約ができるシステムで、海外では熱い注目を集めています。

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ここに登録されている予約管理ソフトウェアはたくさんありますが、旅ナカ用のには次のようなものがあります。
Bookeo, Bookingkit, Checkfront, Fareharbor, Redeam, Regiondo, Rezdy, XOLA, Palisis(TourCMS), ZAUI

日本でもやっと #予約管理ソフト が登場

日本でもようやく昨年2019年の暮れから2つのソフトウェアが紹介されました。

一つ目は旅行会社H.I.S.の子会社でアクティビティを国内で販売する日本のActivity Japanが開発したACTIM。もちろん日本語です。サイトコントローラー機能ついていて販路は日本が対象。機能的にはこれから期待したい、といったところです。

もう一つが、TripAdvisorが買収したアイスランドのBokunです。これは海外の販路を対象としており、多機能でUI(ソフトウェアの操作画面)の多くが日本語化されています。マニュアル等は残念ながら英語のまま。月額使用料がないのが特徴ですが、TripAdvisorが所有するViatorは2020年8月から掲載料を$29を徴収すると発表され、今後使用料がどうなるのか注目されています。

それぞれに一長一短があるけれど、両社とも親会社に所有されており、独立性・中立性がない、という点が憂慮されています。パナソニックのお店に行ったら、どうしてもパナソニック製品を買うようになりますよね。

これからの波

他に、アジアに強いシンガポールのBeMyGuestが日本参入を目指していると聞いています。この会社には日本のベンチャー系旅行会社の資本が入りました。

また、楽天は2016年に米国のXolaに資本を投下していますが、日本への参入は見送られたままです。ちなみに、楽天はグループのアクティビティ会社Voyaginを今年2020年7月から自社ブランドにしました。 楽天がXolaをどうするのか注目しています。

独立系のソフトウェアでは2020年4月から日本に参入しVeltraなど約5,000社の販売チャネルに接続しReserve with Googleにも対応しているオーストラリアのRezdy、UIの70%程度が日本語化され有名OTAに接続しているスイスのTrekkSoftなどが挙げられます。

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まとめ

旅ナカをやってゆこうと思うなら、適切なソフトウェアを使って予約を自動処理し、在庫をうまく管理して販売を伸ばすことが大切だと思います。
機能や接続先をよく確認してから選択し、お仕事を楽にしたいですね。










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