映画感想「スズメの戸締り」

注意:考察でも批評でもなく、個人の視聴感想です。また内容についても触れているのでネタバレが嫌な人は回れ右してどうぞ...っていうか未視聴でネタバレが嫌なら視聴感想なんぞ見に来るんじゃねーよ。気になったら映画見に行け。
評価:★★☆(お勧めするほどではないけど、乗り気なら楽しめるじゃないかな)
感想:まぁまぁ感動したし、面白かったけど腑に落ちないところもしばしば。新海誠監督作品は感情をぶつけ合う台詞回しと音楽の使い方が上手いがストーリーは大袈裟な茶番劇に見えて残念。

評価ポイント

①旅の軌跡は過去に大きな震災があった場所で、そこを物語に絡めていくのは演出として面白かった。
宮崎=南海地震
愛媛=芸予地震
神戸=阪神淡路大震災
東京=関東大震災
東北=東日本大震災
※宮崎、愛媛は過去の地震歴から推測で当てはめている

②閉じ師という地鎮を担う(?)職業
土地を利用する始まりの為の行事として"地鎮祭"というものが行われるが、土地を利用し終えた後始末の行事って無いよねということを発想の元にしてるらしい。祝詞は良かった。
ただ、特殊な鍵(物理)は要らなかったと思う。

スッキリしないポイント

①叔母(環)さんの愛情が重く感じてしまった理由って、単純に思春期ってことなの?
環さんの20代を奪ってしまったことに対して"申し訳ない"と感じたせいなのか分からないが、環さんへのリスペクトがないのは"リアルな若者"を描きたかったからなのだろうか。一方的に見えて環さんかわいそう。

②過去の自分に向けた言葉がふわっふわ。
「ちゃんと大きくなるよ」が母を探す幼き"自身"に向けた言葉としてはモヤっとした。
時間に解決させるしかないものだし、答えは自身で生み出す者だろうけど。せめて「探してる人がいる」くらいは言えんのかったのか?それとも、やはり環さんに迎えに来て欲しくなかったんだろうか?って思えた。

③常世って何なのさ?
結局は常世がなんたるかは全く不明であった。視聴者が得られるのは草太(ヒロイン)が知る限りの説明の為、人類には不可解な領域だったのかもしれないが、震災を引き起こす厄介な空間、スズメが幼い自分と遭遇する不思議空間として便利に使われただけっていうのもなぁ...。正直、迷い込む必要があったのか疑問。というのも別に既視感を頼りに草太を追いかけなくても物語が成り立つ。母の記憶もまた然り。

④閉じ師の組織が脆弱
鍵が1本しかないのか、成り手がいないのか分からないが重要な地鎮の役割を背負った人間が一人活動するってなんなのよ?さらにそれだけでは生活が成り立たないという劇中内の発言。便宜をはからってくれる後ろ盾もなしに廃墟で活動してたらフツー捕まるよね?とも。活動申請も何もなかったしなぁ。

⑤ダイジン
神様扱いのわりには草太(椅子)と取っ組み合うの草。
要石になっていた原因が何処にあったかわからないが閉じ師(草太)を一方的に嫌悪してたところは"?"が消えなかった。
曲解される善意で"後ろ戸が開きそうな場所"へスズメを誘っていたのも、"?"。だって、スズメは一般人ですし。あの時点では草太の"閉じ師"の仕事を手伝うとは言ってなかったような...。

⑥サダイジン、なんで猫の姿なん?
大神に紐づけてか、おおきな狼っぽい化け物になったのはいいんだけど、なんで普段は猫の姿だったんだ?犬は可愛くないですか?ダメですか?

⑦稔(環さんの同僚)の扱いが雑。
なんとかアプローチをしようと声をかけてもスパッと切り捨てられてて可哀想としか。なんかギャグ要員にされてて身につまされる悲しさを感じた。

⑧椅子の謎
幼いスズメに、母との思い出の品として椅子を手渡すのだが、この椅子は時間軸を飛び越えて存在する為、"閉じた世界"を繰り返す。経年劣化で壊れるという矛盾があるが映画の中では語られない(小説には記載ありとのこと)。
神の力で要石の依代になったから経年劣化では壊れないパワーが与えられたとか、安直なモノだったら草。
また、幼いスズメは母の形見を未来のスズメから渡されるのだが、母の形見の椅子は草太の依代として常世に持ち込まれたモノであって自然にたどり着いたモノではない。流れの矛盾が発生してる気がする。存在がなぞなぞ。

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