今のわたし

私は溌剌とした新人看護師だった。
自分でいうのもなんだが。

その私でいられることが何より幸せだった。

特に看護師になりたかったわけではなかったが、
人のために働けていることがこんなにも幸せなのかと毎日が楽しかった。

私は看護師になるために色んな遠回りをしたのかもしれないなとまで思った日もあった。
患者さんから「あなたを待っていたの」と言われた日。
患者さんから悩みを打ち明けられた日。
患者さんとともに涙した日。
患者さんの家族からお礼を言われた日。
患者さんが退院し、元気に通院しているところに出会えた日。
そんな日々が私の人生で一番幸せだった。

厳しい先輩、厳しい現実。
休日もずっと勉強し、看護師として患者さんに何ができるか考えた。

そんな休日も本当に楽しかったし幸せだった。

そんな日々は1年を目前に崩れ去った。
詳細はまだ話せる気がしないが、今は失った日々のことばかりが目について仕方がない。
絶望を思い出した。
幸せを感じていたからこそギャップが辛い。

なにを考えても、どう立て直そうとしても
結論は私は無力だ。
ここに帰着してしまう。

無力は私が一番嫌いな言葉。
無力だから私は今まで搾取された。
無力だから私は負けた。
無力だから
無力だから
無力だからこうなっているんだ。

本当か。本当にそうなのか。
無力だからだと事実から目を背けているだけなのだろうか。目を背けてしまったからこうなったのか。

目を背けた罰なんだろうか。
そして私は今回もまた無力を言い訳にして罪を重ねるのか。
いつかの私がまたこの罰を受けるのだろうか。

でも正直、無力を言い訳にして今の苦しみから目を背けたい。
いつかの私に謝るから、逃してほしい。

無力だと諦めがつく。絶望の中で足掻くことをやめられる。お願いします。
今の私を助けてください。

まだ私はこのループから抜け出せていない。
どうすればいいのか分からない。
分からないフリをしているのかもしれないが。

いつかこのループから抜け出せるのだろうか。