これから宣伝会議賞を目指す人へ⑥

「書けた!」の罠。


秋のせいか、競馬が当たらないせいか、
ここんとこなんだかアンニュイな気分。どうも、ボキです。

気づけばもう明日から10月で、
ということは応募スタートなんすね。
早いなぁ、人生。

さて、ウンウン唸って考えていると、
ときどき天啓のように閃く時がありますよね。
これすげーコピーができたんじゃね!?
と興奮して部屋の中をぴょんぴょん飛び跳ねて、
受賞を確信するあの瞬間。
こんな発想した俺は天才だ!と、自分にシビれます。

そして大概、そういうコピーは1次も通らないことが多いです。
なんだったんだあの電気が走った感覚は。
通過発表号を眺めて呆然とする感覚。
誰もが一度は味わってますよねー。

かくいうおいどんも何回も同じ落とし穴に落ちました。
毎年毎年、「書けた!」→ズボッ。
というパターンを数え切れないくらい。
失敗から学ばない男、それがおいどんです。

ことしの失敗の話をします。

・喫煙所ができるまでは、街がまるごと喫煙所でした。

JTさんの課題で、というコピーを書きました。
街が喫煙所だった。というのが発見があっていいかと思って、
やったぜ。と思いました。そして考えることを辞めました。
どうしてもっと発想を転がさなかったのか!
それは浮かれてしまったから!

その結果、一次は通りましたが2次まで行きませんでした。
そして3次に残っていた他人のコピーがこちらです。

・かつては、街全体が喫煙所でした。

なんと!切り口は同じ!
というか後半部分というか下半身はほぼ同じ!
これはもうおいどんのコピーといっても過言ではない!
と思いました。

いうまでもなく、明暗を分けたのは上の句です。
「喫煙所ができるまでは、」という説明的で文字数も使う
私のコピーにたいし、3次まで残ったコピーは
「かつては、」という簡潔かつ非常にスマートな一言に収めています。

どちらも同じことを言いたかったことは明らか。
なのに、おいどんのコピーは野暮ったくなってしまいました。
「街まるごとが喫煙所」という言葉を生み出したことに
満足してしまい、さらなる改良をしなかったからです。

どうしてもっと発想を転がさなかったのか!
それは浮かれてしまったから!
ああ、このくだりはさっきやりましたか。

つまりですね。
いいコピーができた、と思った時こそ、
もっとそこから考えた方がいいんじゃないですか、
というお話です。

「書けた!」と思ったコピーは原石なのかもしれません。
どう磨いたらもっと輝くのか。
もっと違う言葉はないか。短くできないか。視点を変えたらどうか。
などなど、いろいろこねくり回していくうちに、
さらに輝きだすかもしれないし、
逆に実はそんなに大したコピーじゃなかったってことに
気づけるかもしれません。

「書けた!」の感触で思考を止めないで、
その先を考えることが大事なんじゃないかと思います。
それがなかなか難しいんですけどね。。。

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