貧乏の何処がいけないのか。

人間は何故貧困を恐れるのか

常に日本について回る「貧困問題」だが、何故人間は貧困を恐れるのか?という話。

  1. 人生の選択肢が極端に減る。

  2. 生命の危機に陥る

  3. 変な考えを起こさない

1と2については散々言ってきたので割愛する。
では3はどういう事だろうか、という話です。


貧困が狂気を誘い、太平洋戦争へと。

太平洋戦争の戦犯として真っ先に思い浮かぶのは軍人である。確かに高級官僚化した軍人の戦争指導筆頭に、終戦するまで陸海軍で縄張り争いやっていたとか、陛下の赤子を消耗品の如く扱ったとか、そもそも大元帥陛下の統帥権を悪用した関東軍等々、戦争指導層のしょうもない逸話のオンパレードには事欠かない。

だが、高級軍人の大半は論理的思考だった。
「米軍と殴り合って勝てるとか正気じゃねーだろ」という考えは結構あった、「一年くらいは暴れてみせます(あとは知らん)」という山本五十六の言葉は余りにも有名だが、組織の長としての彼の言葉は多くの軍人を代弁したモノでもあっただろう。

正気じゃないから開戦したのだ。

では、正気ではなくなったのは何故か。

そこには「日本人が全体的に貧困になっていったから」というのは間違いなくある。つまり、「貧困になると変な考えを起こしてしまう」、その究極系だったのだろうと。

太平洋戦争真の戦犯・濱口雄幸

では、日本の貧困化を招いたのは何であったのかというと、昭和恐慌にぶち当たる。

日本政府の伝統の一つに、大事な時に経済政策を必ず間違えて大惨事を招くというものがある。リーマンショックしかり、バブル崩壊しかり、アジア金融危機前後の消費税増税しかりだ。

その極悪な伝統の切っ掛けになったのが、昭和恐慌を招いた時の濱口雄幸首相と井上準之助蔵相の対応だった。

彼らは本来、財政出動をすべき時にも関わらず、不適切な時期に緊縮財政と金融引き締めを同時にやった。
結果は後の歴史が記す通り、東北では娘の身売りが多発、日本では食っていけないからと移民が海外に出て、それでも職が足りないので徴兵増やした結果が軍備拡張、そして食う為の侵略路線だ。

しかも彼らの緊縮財政と金融引き締めの動機が酷い。
「財界の要請に応えた(日本の財界なんて今も昔も己の利益しか考えない連中の集まりというのがよくわかる)」
「金本位制復活は世界の一等国の条件(結局外面と体面だけ)
「明日伸びるために今日を縮む(まるで今でも財務省が言いそうな台詞だよな)」
「ライバルの立憲政友会が積極財政だから(動機が政争かよ)」

これのどこが『男子の本懐』なのだろうか。
(司馬史観以上に城山三郎経済史観は害悪)

結果として五・十五事件で濱口雄幸は暗殺されたのだが、その際の世論が犯人に同情的だったというのは救いがたい。そして、彼への銃声は、そのまま泥沼の十五年戦争の開幕の合図となった。

[余談]
ドイツにおけるナチスの躍進から政権奪取を「第一次世界大戦で重すぎる賠償金とハイパーインフレによるドイツ経済の破綻、そして国民全体の貧困化」と客観的に分析できるのに、自国になると途端にお留守になるのは何故なのだろうか。


結論・人間とは面倒臭がりな生物

人間って結局の所、腹が膨れて満たされていれば「戦争?やだよそんなの、面倒臭い」という生物だ。だって、命の危険から遠ざかる訳だから、わざわざ戦争なんて起こす必要がない。
(基本的に戦争というのは宗教絡み、土地争い、利権絡み、国民を食わせるために起こるものだから)

戦争を起こす狂気、その原因は貧困化である。
故に、昭和恐慌において、その対応に大失敗して貧困化を招き、国民を狂気へと誘った濱口雄幸と井上準之助は真の戦犯なのだ。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?