面白き事も無き世は面白くなくていい

近頃世間に流行るもの

近頃世間に流行るもの
押し込み強盗 高利貸 賄賂をもらう偉ぇ人
金、金、金の世の中で 泣くのは弱い者ばかり
涙を拭いておいでなせぇ
恨みを晴らす仕事人 陰膳据えて待っておりやす
[必殺仕事人Ⅳ口上より]

近頃世間で流行るもの
姥捨て 子殺し 承認欲求
田舎で新たに建つ物は 病院 葬儀場 養老院
皆が皆して 無駄削り 余裕を失くす 畜生道
当世の SNSは古の 都大路と 心得よ 
狂人の真似して 走る者を見よ
我が身を省み 御用心
[ゲンダイニッポンの口上] 

日本人の遺伝子に深く刻み込まれた五七調・七五調。俳句、和歌、狂歌、都々逸、戯れ歌など数多くの場面で用いられるこの調は、日本人として知っておくべき伝統文化の一つだろう。

世の中に 蚊ほどうるさき ものはなし ぶんぶ(文武)といふて 夜もねられず

白河の 清きに魚(うお)の すみかねて もとの濁りの 田沼こひしき

上の2つはほぼ同時期だ。
老中・松平定信(白河藩主)によって実施された、「質素倹約・文武奨励」を旨とする寛政の改革(貨幣経済が進んだ江戸後期に緊縮財政を実施)を皮肉り、上は幕府官僚が「うぜぇ」という人々の気持ちをペンネームを使って表し、下は「好景気の田沼時代の方がマシだった」という懐古だ。

泰平の 眠りを覚ます 上喜撰 たった四杯(しはい)で 夜も眠れず

教科書にも出てくる、ペリー来航と右往左往する幕府と江戸庶民を皮肉った狂歌。

明治以降も、日本人の洒落っ気と皮肉は変わらなかった。

散切り頭を叩いてみれば 文明開化の音がする

輜重輸卒が兵隊ならば 鳥やトンボも兵のうち

空があんなに青いのも 電信柱が高いのも
郵便ポストが赤いのも みんなあたしが悪いのよ

勝手なイメージだが、こういうのが好きな人ってロシアのアネクドートも好きというケースが多い気がします。


介護が怖い

古典落語に『まんじゅうこわい』という演目がある。『寿限無』『目黒のさんま』と並んで、聞けば多くの日本人が「あぁ、アレか」と思いつく、三大古典だ。

起承転結がくっきりしてオチまである『まんじゅうこわい』こそ国語の教科書に掲載されるべきなのではないだろうか。

それはともかくとして、下記を見ると、これからの日本人は死ぬ間際に「日本人で良かった」とは思えずに逝くんだろうなと思います。

なにも「まんじゅうこわい」的文脈で語られている訳ではありません。ガチで、介護されるのを怖がっています。

2025年問題を前にして、介護業界の人手不足が深刻化している。
それまで散々問題にされてきた「介護職の長時間労働と激安給与」を全く解決する気もなく、ここまで日本人らしい先延ばしと惰性の結果である。

と同時に、介護業界インサイダーの方々に密かに囁かれている、もう一つの2025年問題が存在する。
「団塊世代の対処の難しさ」から来る離職問題だ。
何せ、「お客様は神様です」や「情けは他人の為ならず」といった言葉を自分勝手に誤用してきた、そのモンスターカスタマーぶりは広く知れ渡っている。どんな無理難題を突き付けられるかわかったものではない…というイメージが広範囲に広がった結果、「空きがない」「介護職の人手不足」という最もらしい理由をつけて、リスク回避名目で彼らの入居を拒否するという施設もあるようだ(と、介護業界の方から伺った。しかも一度二度ではない。)

当然、彼らには彼らなりの言い分はあるだろう。「終の棲家まで競争しなければならないのか」という嘆きも理解できる。
ただ、「情けは他人の為ならず」の意味の誤用が跳ね返ってきた…という冷たい意見も相当数存在する。冷酷だが、終の棲家で己の間違いを反省していただきたいものだ。(最も、それができればここまで子世代から怨念を向けられていないだろうけど)


姥捨ては既に実施されている

それともう一つ、重要な視点がある。

「最期は生まれ故郷で」という名目で、地方で最期を迎える高齢者の増加だ。上で『田舎で新たに建つ物は 病院 葬儀場 養老院』と戯れ歌を披露したのはこれの伏線でもある。

良く言えば、故郷への郷愁と都市部より物価が低い(という誤解)を逆手にとって、都市部に住んでいた高齢者を地方へ。都市部は過密が解消され、地方は税収が増える…ウィン・ウィンじゃないか、そう思ったあなたは「日本人の悪意」を舐めている。

悪く言えば、労働力を絞りまくって、その残滓の処分を地方に投棄しているようなものだ。
郷愁を利用した立派な姥捨てです、ありがとうございました。

…という単純な話ではないし、人間の邪悪さの底はまだまだ見えない。

[本文抜粋]
九州差別の文脈の一つにある、「九州では、女に学は必要ないという考え方が主流である」というのも真っ赤な大嘘です。むしろ、高校から更に上の学校に進学して、自活する事が求められます。

「大学進学率が低いじゃないか!」とお怒りの方々もいるでしょうが、九州の場合は大学に行くより医療看護福祉介護保育分野の専門学校・短大に進学するケースが他地域より多いです。うちの叔母や従姉妹もかなりの数が大学の看護学部に進学していますし(中には大病院の看護部長を務めている傑物もいる)

それに、大学でも医歯薬理工系に進学すると、むしろ喜ばれます。「そうか、あんたのお孫さんは医学部か。なら、看取ってもらおうかのう」なんてブラックジョークが九州の農村で飛ばされます。

身も蓋もない事を言ってしまうと、九州地方というのは本州に比べて所得が低いです。結果的にSTEM系に進学する女性も増える
[抜粋終了]

あー、なるほどね…と、色々と察しがついてしまいましたね。

「お前は差別主義者だ!」「レイシストだ!」と言ってる連中の相当の割合が、ガチモンの差別主義者だったんですね。

本当に、面白くもない人間が面白い世の中にしているんだな、と実感した瞬間だった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?