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大きな河と灯された火


灯った火が消えないようにずっと見守り続けなくてはならない。

 鰻屋さんや焼き鳥屋さんの秘伝のタレは何十年、百何年と継ぎ足し、継ぎ足しで味に深みや代え難いものを作っていると聞く。
 
 始めてしまったものを続けていくことは地道な日々の営みがあってこそなのだが、やめてしまったものをまた始めるのは難しい。

 誰かの一言や思いつきで始まったことが徐々に大きくなり、それを通じて多くの人々の助けもいただき段々とともに歩むものも増えていく。

 思い描いた形とは違ってくることもあるかもしれないが、時代の流れと人の揺らめきの中、大きな川を柔軟な水が流れるように、流れを絶やさずに前へ前へ、大きく、大きくなっていく。時に雨が降らず水が少なくなってくる時もある。時には大量の雨が川の流れを強くして濁ってしまうこともある。大きな岩が道を阻むこともある。どんな時も流れを止めずに川上から川下へと流れていく。純粋な水だったものが流れていくにつれたくさんのものを連れて一緒に流れていく。流れている時代によっても違うのであろう。純粋だった水もゆっくりと流れていく先には海にたどり着く。

 海にたどり着いたものはやがて雲になりそしてまた大きな流れを作っていく。

 大きな川も、綺麗な川も、秘伝のタレも、受け継がれていく料理の手法も、商売も流れていく水のように柔軟に前へ前へと流れていく。その流れがとどまらないようにしていくことはとても大事だと思う。

 灯り続ける火とずっと流れる川。たくさんの人たちの支えと、献身により灯り続けることができる火と、大きな自然の流れにある程度任せてしまう川の流れ。

 我々はどちらも大事に意識しながら前に進むのであろうか。

 大きな河へと成長した彼は多くの方々に潤いや心の豊かさを与えていった。

 彼が灯した火は、その時々に受けづがれ様々なところで新たな火として灯され続けている。

 海へ帰っていく大きな河と、残していった数々の火を残されていったものが守り受け継いでいく。それはまた川の流れのように変化していくのであろうが、川の流れが続く限り残っていくのであろう。

 たくさんの心や活動に灯した火はきっとたくさんの形で続いていくのであろう。

 その火を大切にしながら、川が流れるように前へ前へと進んでいこう。活動、行動は川に流れる水のように柔軟に、思いや気持ちは灯し続ける火のように熱く。

 まだまだ続く物語のように、大きな河と明るい灯火は語り続かれるのであろう。

 

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