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MSIで感じたDFMの改善点

はじめに

本日行われたMSIの試合で、DFMは惜しくもランブルステージに進む事は出来なかった。
今回は、SGBとの試合を通してDFMがMSIで勝ち切る事ができなかった要因について、いくつか自分が感じた事を書きたいと思う。

1.オブジェクトに向けた意識

まずオブジェクトに触るのであれば、その数分前からそれに向けて各レーナーが準備をする必要がある。ヘラルドファイトであれば、BOTはレーンコントロールをして、SUPがロームを始める。ADCもチームとして寄る寄らないの判断を予め決めておく。MIDとTOPはレーンと自分の状況をチームに報告し、それに向けた装備更新やウェーブ管理を行う。JGはレーンの状況を聞いてチームの状況を整理し、オブジェクトの判断をする。
しかし、DFMの試合を見ているとこの辺りのオブジェクトに向けた準備や判断がチームとして共有されていない様に感じた。

例えば、先日行われたSGB戦。

この試合DFMは序盤に有利を取る事に成功し、ウーコンは3キルを獲得。この時点でのJG間のゴールド差は約1000ゴールドになっていた。
マッチアップの関係もあり、1つ目のヘラルドはDFM側からすれば獲得できたものだった。

しかし、DFMはヘラルドが湧き始めた8分9秒でMIDガンクを試みる。
このガンクが失敗し、Stealの使うウーコンのULTがダウンしてしまう。

ウーコンはULTが無い状態では強さが半減してしまう。その後ULTが無いにも関わらず、ヘラルドに触りここでの集団戦で負けてしまう。

ULTの有無の差で集団戦に負けてしまうDFM

DFMとしては、このタイミングでしっかりとリソースを温存してヘラルドファイトをすれば勝つ事ができただろう。
この様に、オブジェクトが迫ったタイミングで重要なリソースを落としてしまい、オブジェクトファイトができない事が多々ある。

このプレイの数分後にもドラゴンが湧く10秒前にTOPサイドで仕掛け、ウーコン.トリンダメアのULTがダウン。これによって相手はドラゴンを獲得する事に成功している。

ウーコンはキルを取るがオブジェクトが取れない

もちろん、その後にウーコンがキルを回収する事に成功しているので必ずしも悪かったとは言えない。しかし、ヘラルド.2ndドラゴン共に、DFMがしっかりと準備をしていれば獲得する事ができただけに、序盤の有利をオブジェクトに繋げるチーム内でのプランの共有は必要だと感じた。

2.IGLの不在?

DFMは序盤に有利を取る力が非常に高く、T1相手にも序盤ゴールド有利を取るほどだ。
しかし、その有利をあまり集団戦に活かすことができていない。その理由として、集団戦の際に狙う相手のフォーカスがバラバラになってしまっている事がある。これは、コミュニケーションの問題などもあるかもしれないがDFMがいまいち勝ちきれない要因になってしまっている。

例えばSGB戦 試合時間30分頃の集団戦。この場面、アリスターとトリンダメアは視界を取りにきたセトをキャッチしているが、このタイミングでウーコンはバロンサイドの相手にエンゲージを仕掛けている。これに対してバックラインの二人ははウーコン側に合わせ、結果としてEviが孤立しデスしてしまい1-1交換になってしまう。

フォーカスがバラバラで狙う相手が定まらない

この集団戦において、バックラインの2人はほとんどダメージを出す事ができておらず、チームとしてバラバラな集団戦になってしまっている。しっかりとフォーカスを合わせてYutaponのアフェリオスが殴れる状態を作り出すことが出来ればより良い集団戦をする事ができた。

このように、各メンバーがその場の判断で狙う相手を決め、エンゲージを仕掛けてしまっている様に思える。
LoLというゲームではIGL(In Game Leader)の存在が非常に重要で、集団戦においてもどれだけチームとしての判断を統一できるかが重要になってくる。DFMにIGLがいるのかどうかは分からないが、個々の判断ではなくチームとして
動く為にIGLの存在を明確にする必要がある。

3.ゲームをたたむ中盤.終盤のマクロ

また、DFMが序盤に有利を取ったにも関わらずゲームを畳む事ができない要因として、中盤.終盤のマクロでミスが目立っていた。

SGB戦 試合時間13分のタイミング。SGBはヘラルドを活かすためにBOTサイドにリソースを割き、DFMはBOTタワーを折られてしまう。相手がリソースを割いていたこともあり、視界差.ゴールド差がある為botでのアクションはあまり望ましくない。

定石としては、カウンターで逆サイドの有利を取りに行く事が多いが、ここでDFMはBOTサイドの視界を取り返す判断をする。SGBとしてもADCのゴールド差.視界差によってカウンターが用意できた事もあり、結果として1-3交換。ゴールド差も逆転してしまう。

集団戦で1-3交換になりゴールド差も逆転

その後DFMは何とか立て直し、バロンを獲得。Eviは倒されてしまうが相手のSUPを倒し、バロンでのタワーシージを開始する。
このタイミングでDFMはサイドタワーではなくmidのネクサスタワーを狙いに行く。

バロンバフでネクサスタワーを狙うDFM

しかし、MAPを見ると分かる通りサイドレーンのタワーがかなり残っている。更にJG内の視界がほとんど無い上に、Eviが寄ることもできない非常にリスクのあるタワーシージになっている。
これによってグウェンの横からの入りに気づく事が出来ず、このバロンバフを通して一つもタワーを取る事ができなかった。

前回のJDGの記事で少し触れたが、自分達のラインを押し上げる為にはサイドレーンのタワーを壊す事が重要で、この様な一点突破の場合はリスクが非常に高くなってしまう。この辺りのマクロの判断は国際線の焦りからくるものかもしれないが、国際戦で勝つためにはリスクを抑えた戦略も必要になってくる。

その後、色々あってDFMはセカンドバロンも獲得し、TOPに5人でグループしてタワーを狙う。

バロンバフ5人でTOPタワーを狙う

この際MIDとBOTは押し込まれており、ワンレーンでのシージになっている。
ここで相手に上手くエンゲージされてしまい、5-3エースを取られてしまう。相手の構成はオールイン構成で、ワンチャンスをしっかりモノにしたSGBを褒める形となった。

しかし、DFMからすればワンチャンスを与えてしまったともいえる。

DFMはトリンダメアにサイドを任せ、4人でmidシージをする1-4配置にすることで、2レーンでタワーシージをして相手を揺さぶる事ができた。
SGBの構成では、トリンダメアを一人で止める事ができるプレイヤーはいない上に捕まえるスキルも少なく、スプリットプッシュを止める事が難しかった。
もし4人に対してエンゲージを仕掛けられたとしてもStealのウーコンが育っている上に、後入りでEviのトリンダメアが暴れる事ができた。

DFMは大会を通して、序盤に有利を取ってもゲームを綺麗にたたむことができなかった。
中盤終盤にかけたマクロが改善されれば、より一層強いチームになると思う。

最後に

DFMはMSIを通して非常に高いパフォーマンスを見せ、T1相手に途中までは負けずとも劣らない試合展開を見せてくれた一方で、マクロ面での判断ミスや意思の疎通といった面では、チームとしての完成度はまだまだ低い様に思えた。

しかし、DFMは一年目のメンバーを加えた新体制のチームであり、まだまだこれから強くなる可能性を秘めている。これからのSummerシーズンを通して更に強くなったDFMがWorldsで見られる事を期待したい。

追記2023/5/6
MSI2023を終えて

DFMはオブジェクトに対する意識と試合後半のマクロをフィジカルでなんとかしていたところもあり、それはEviがいた昨年のMSIから変わっていなかった。チームがEviのフィジカルを失えば今回の様な結果になるのはある意味必然だったのかもしれない。これはDFMだけの問題ではなく、LJLではTOP-JG間でフィジカルの差がそれほど出なかったのも事実。StealのJGを咎める事が出来るJGやTol2に有利を取りきるTOP、DFMよりも優れたマクロを持ったチームがいなかった。これがLJLの現在の実力であり、DFMや特定のプレイヤーを責めることは出来ないと感じた。
国際線で勝つためには国内の競争力を更に高める必要があるが、LJLは今年3強の様な形になり、DFM以外のチームの躍進も目立っている。良い流れはできているので悲観的にならずに長期的な視点を持って応援していきたい。

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