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『THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS UNIT LIVE TOUR ConnecTrip!』山形公演を視聴して。

2024年2月3日、『THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS UNIT LIVE TOUR ConnecTrip!』山形公演の昼夜公演が開催された。
本来であれば2公演目になる予定だったのだが、石川公演が大地震の影響で延期になってしまったため、本公演が最初の公演となった。
今回のツアーの最大の目玉は、その名の通りユニットに特化したものであることだ。
これまで生バンド、ストリングス、ロック公演などと並んで切望されていた形式がついに実現したのだ。
そしてもう1つの特徴として、近年大都市の大規模会場でばかり行なってきたライブだが、それをこれまでからぐっとキャパシティを抑えた会場にし、ファンとの距離を縮めることを意図する。
以上がぶっちゃけ理想であり建前である。

私は今回のツアーは地元での開催がなかったということもあり、最初から配信のみで観ることに決めていた。
いや生で神崎蘭子役の内田真礼さんや鷺沢文香役のM・A・Oさんを観たいのは山々なのだが、そもそも長い時間家を空けられないというやむにやまれぬ事情もあったので。

お、会場内からの中継が始まった。
てっきりライブハウス的なハコを想像していたのだが、それよりずっとちゃんとしたホールといった印象だ。
座席がしっかりしているのも良い。
なんならナゴヤドームですら連結パイプ椅子に座らされていた身からすると羨ましいぐらいなんだが!?
ライブ開始前に流れている歌もいい感じに聞こえており、音響も悪くないどころか某国際展示場などより優れているのでは?と。
さすがはシンデレラガールズ運営、会場選択が上手い。

などと感心していたら、いざライブが始まって進んでいくにつれ、無い無い尽くしなのが明らかになってきた。
まず大型モニターがない
短冊状の縦に細長い商店の軒先にある電光掲示板みたいな奴は何本もあるが、演出的にはなんとも寂しい。
大型モニターがないということは、曲始まりと終わりの曲名と歌唱メンバーのテロップもない
始めと終わりにあれがあることでその曲の世界観に入り込み、そして「終わっちゃったかー……」と余韻に浸るのが好きだった私としてはなんとも収まりが悪く、不便に感じてしまった。
「じゃあライブ終盤の告知はどうするんだろう?」とずっと不安視していたら、なんと天井からスルスルと紙が3枚下りてきたではないか。

電車の中吊り広告かよ!

出演者も「まさかこんな形式になるとは」と苦笑いしていたが、今回のライブ中最もショボさを感じた瞬間だった。
さすがにあれには激萎え。

そして今回もダンサーさんがひとりもいない
前回の『Shout out Live!!!』公演はコンセプト的に納得できたが、今回は純粋に狭いからだろうか。
ダンサーさんたちはこの状況をどう思っているのだろうか。
定期的に呼ばれていたところからお声がかからなくなる、それすなわちその界隈の斜陽を感じてはいないだろうか。
私などは明らかにスケールダウンを感じてしまい、「経費削減もここまで来たか」と寂寥感を禁じ得なかったものだが。

さらにはダンサーさんどころかちひろさんまでもがいない
346プロダクションもついに労働基準法を遵守し、彼女を土日祝日まで働かせることをやめたのだろうか。
そんな冗談はともかく、1stからずっといてくれた存在が何も知らされることなくいなくなってしまったのはなんともモヤモヤする。
救いとしては告知をするのが出演者自身になったことで、彼女たちのリアクションがその場で楽しめるようになったことで、無理矢理「一長一短ある」と落とし所を見付けられないこともない。
緑のコンサートライトの出番はまたいつかの時に。

レーザー演出だの火の玉だのスモークだのは大会場でまたやる時に置いておけばいい。……やるかどうかは知る由もないが。
同日に同じサイゲームスブランドかつメンバーがかなり共通しているウマ娘が15000人規模の会場で2DAYSしていただけに余計にその差に複雑な感情を禁じ得なかった。

だがもちろん良かった点もいくつもある。
それはむしろあの会場の規模だったからこそ実現できた良さであり、このコンテンツの魅力を再確認できたのは僥倖だった。
「今回のライブはちょっとなあ……」などと見送った人たちには得られなかったものだ。
最も実感できたのはやはり距離の近さである。
出演者とお客さんとの距離はもちろんそうだが、配信におけるカメラワークもアップや煽りショットなども多く、これまでのライブでは観られなかったアングルを楽しめたのは新鮮だった。
ラストのお客さんとの集合写真撮影などもそうだが、背後からの構図はライブではなくデレパ(『CINDERELLA PARTY!』)のイベントなどぐらいでしか普段は見られないものだ。

ライブ自体の内容にも触れよう。
ちひろさんもダンサーさんもいない分、開始と同時に出演者たちが勢揃いする。
出し惜しみしないのはいいことだ。
それに、おお。
期待されていた通りのユニット衣装だ。
さすがにね、こうでないと。
それにしても再現度が高い
共通衣装でもなく個人衣装でもなくユニット衣装で歌う曲たちにはまた違った趣があるものだ。
昼夜公演通しての1曲目は『レッド・ソール』
河瀬茉希さんの第一声「Ah~♪」で一気に上がる会場のボルテージ。
彼女にはもうすっかりライブの口火を切るポジションのイメージがありますね。
MC能力も非常に高く、彼女の加入はこのコンテンツにとって非常に大きかったと言っても過言ではない。

セットリストとしては、ほぼ私が予想していた形式だった。
各アイドルのソロ曲とユニット曲と全体曲という構成になるものと考えていたが、全体曲と呼べるものは最初の『レッド・ソール』とラストの『Come to you』のみだったのが予想外であり、大槻唯桐生つかさ一ノ瀬志希による『Gossip Club』、桐生つかさ&八神マキノによる『Gaze and Gaze』はサプライズだった。
昼夜公演共通だったのが残念と言えば残念だったが、出演者の負担を考えれば贅沢を言うものではない。
「ユニットライブツアー」と銘打っているだけに全体曲ではなく他のユニットの曲を歌うのはしっかりとツアーコンセプトを貫いていたと言える。
それを歌唱したのたのが既存ユニットではないことに不満が出たようだが、今後そのメンバーがユニット化する可能性もある上に新鮮さもあり、そんなことでは当初より「挑戦」をライブコンセプトに掲げていたシンデレラガールズというコンテンツへの理解度が低いと断じざるを得ない。

「『ユニットライブツアー』なのにソロ曲が多過ぎる」との意見はそもそもが論外である。
誰かがソロ曲を歌っているからこそその間に他の出演者たちは次の準備をしたり休憩をしたりできるわけで、コンサートというものの仕組みそのものを理解できていない
一度自分が1時間半の間にどれだけの曲を歌って踊れるかを考えてみれば簡単に分かることだ。
知らないことは罪ではないが、想像すらできないことは恥である。
それに実際に今回のライブを観てみれば、ソロ曲のクオリティの高さとパフォーマンスし終わった彼女たちの充実感を感じ取れたはずだ。
個々の能力の高さたるや脱帽である。
昼と夜とで複数のソロ曲を持つアイドルは入れ替えて披露してくれたことにも感謝しかない。
正直「昼と夜同じソロ曲をやるのではないか」とどこかで諦めていた自分がいたもので。
さすがはシンデレラガールズ、内容への妥協は一切なかった。

新田美波のソロ2曲目である『Voyage』は、20220年2月16日の7thライブ大阪公演のアコースティックアレンジ以来、実に約4年ぶりの披露となった。
しっとりとしつつも伸び感があって力強いその歌声は、今なお大地震の余波に苦しむ洲崎綾さんの故郷である石川県へのエールに聴こえた。
そして昼公演で自ら上げた『ヴィーナスシンドローム』のハードルを夜公演で超えるエンターテイナーぶり。
改めて彼女がシンデレラガールズになくてはならない存在だと実感した。
これは余談だが、演出家であるJUNGO氏を呼び捨てにするムーブが非常に好きだったりする。

大槻唯役の山下七海さん。
夜公演でソロ1曲目である『Radio Happy』を久々に歌えたことを喜んでいたが、ルビーカウンテスのユニット曲である『Night Time Wander』をオリジナルメンバー揃って初披露できたことも感慨もひとしおだったことだろう。
楽曲自体は『燿城夜祭 -かがやきよまつり-』において披露されはしたが、あの時に彼女自身はドクターストップがかかって参加できなかったのだから。
今回のライブでも遠目からでもひと目で見付けられる華やかさと抜群のスタイルの良さは健在で、どんな衣装にも負けない魅力とパフォーマンスは替わりの効かないものだと再認識させられた。

河瀬茉希さん、二ノ宮ゆいさん。
他のメンバーが複数のソロ曲を持つ中、昼と夜とで同じ曲を2回披露することに。
「昼よりも夜公演ではすごいものを観せなければならない」という尋常ならざるプレッシャーを見事に跳ね返し、会場を大きく使い、観客を手玉に取り、大きく力強くなったパフォーマンスを見せ付けてくれ、「やはりライブは通して観てこそ」を痛感させてくれた功績は計り知れない。

出演者の洲崎綾さんが「1stの舞浜公演の時のことを思い出した」と回顧していたが、奇しくも私も同じことを感じていた。
私は1stの舞浜公演2日目に現地参戦しており、昼公演は最後列、夜公演は最前列という極端さだった。
あの時の規模感と距離感、そして1日2公演。
あの時は備え付けの奈落の他には踏み台とカーテンしかなかった。
それに比べれば何もかも進化してはいるが、共通するものは確かに多い。
その意味においては「原点回帰」が今回のライブの裏テーマと呼べるのかもしれない。

『お願い!シンデレラ』が公演を通してなかった初めてのライブ。
これまでにあったものが色々なくなったこれを「終わりの始まり」と捉えるか、「新たな挑戦」と捉えるかでどれほど楽しめるかが変わってくる。
今回のユニットライブツアーが終わった先には何が待っているのか。
この先の旅の道のりはどこまで続いているのか。
宮本フレデリカ役の髙野麻美さんが「これからもいっしょに長生きして楽しんで行きましょう!」的なことをMCで仰っていたが、それには激しく同意する。
が。
いやまずそれには。

デレステが長生きしてくれよ!!!!


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