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『この恋の解を答えなさい』についてあれこれ。

『アイドルマスターシンデレラガールズ スターライトステージ』(以下『デレステ』)のイベント『この恋の解を答えなさい』が終了したのであれやこれや語っていこうと思う。
いやまさか総選挙曲がアタポンイベントで来ようとは。
まずそこに驚いた。
総選挙曲って特別で、アタポンイベントには特別感がない(失礼)ので余計に。
総選曲イコールLIVE Carnivalっていう固定観念が未だに抜けないんですよねえ。

なにはともあれ、なにかとおめでたいイベントになりました。
大石泉にボイスが実装されたり、病気療養明けの夢見りあむ役星希成奏さんの復帰後初イベントであったり。
そしてそして、Stage for Cinderella予選グループD上位入賞者5名による総選挙曲だったり!
作詞・作曲・編曲をお一人で手掛けられた鶴﨑輝一さんは『サマーサイダー』と『アタシガルール』の作詞・作曲・編曲も同じくお一人で手掛けてらっしゃいます。
うーん多才。
デレステの分類としては全体曲だが、全体の雰囲気としてはかなりキュートめ。なのに歌唱メンバー5人の中にキュートはいないという。
うむ、あえて狙ったってこともあろう。
イベント専用アイテム(トリガーアイテム)は『コウシキボウ』(公式+指揮棒)で、「振るたびに、まだ知らない気持ちが数式となってあふれ出す」らしい。
いや毎回そんなことされたら演奏者が困るのでは。
イベントSRアイドルは久川颯と大石泉で、予選グループD1位の颯とめでたくボイス実装となった泉がピックアップされた形だ。

イベントコミュについてもぜひ語りたい。
私は今回のコミュが非常に好みで、これまでのものの中でもトップクラスに気に入っている。
全体に流れる雰囲気が非常に甘酸っぱく、適度にアイドルたちを葛藤させながらもそれを成長へととつなげ、プロデューサーに対してはそれぞれが小悪魔的なアプローチをしかけてくるというサービスぶり。
近頃のコミュでは「ファンのため」を全面的に押し出していたこともあり、勝手に長らくのおあずけを食らっていた気持ちになっていた分破壊力が高く感じたのかもしれない。
ちなみに今回の小悪魔MVPは藍子だと思います。
この子はちょいちょい普段とのギャップで魅せるのが上手い&ズルい。

やはりというか、今回のイベントで最もスポットライトが当てられていたのは泉でしたね。
予選グループDのイベントと同時に彼女の掘り下げを行なっていた印象を強く受けました。
蘭子曰く泉は「数字の魔法使い」だそうだが、プログラミングとかかっているようないないような。
理数系を表すにしてももう少しなかったのかな、と少々残念。
ベタに「電子の魔法使い」辺りでよかったような。
点数で分かりやすく表すことを望んだり、データの少なさを嘆いたり、アドリブが苦手だったり。
テクノロジー系キャラにありがちな弱点を引き継いでおり、設定的に八神マキノとの明確な差別化に今後の課題を残した感じ。
2人のユニットとしては『ファタ・モルガーナ』がありますが、早々にユニットイベントを打ってそれぞれの路線の違いをユーザーに知らしめるべきではないかと(大いに願望及び私利私欲を含む)。
その時はきっと『ノートの中のテラリウム』コミュの時のように浅利七海が2人の間を上手~く取り持ってくれるような気がする。

颯の泉に対する「頭が良い分、いろんなことを考えすぎ!」という評が実に的を射ていた。
反面りあむの泉評である「さてはちょっと不思議ちゃんカテゴリの子だな?」が伝わりづらかったのが惜しい。
そこをもっと膨らませるには尺が足りなかったのか、りあむからは泉の世界が難しすぎたが故に理解できずに不思議に映ったのかが判断に迷うところ。
……あ!
弟がいる姉としての泉の姿を恋愛シナリオを通して我々プロデューサーにもおすそ分けしてもらえたのはとても良かったです!
ご馳走様です!

泉以外のメンバーについても触れておきましょう。
藍子は前述したように要所要所でギャップや新鮮な一面を見せてくれたことで満遍なく印象に残った陰のMVPと認定したい。
いやーまたファン増えちゃうなー。
りあむはひとり19歳というハイティーンであり、他の4人との溝に悩むかと思いきや、本人自ら太鼓判を押す精神年齢の低さでなんら違和感がなかった。
さすがだ。
でもいつもよりバブさ加減は控えめだったような。
自重したか?
あのりあむが?
いやまさか。
きっとたまたまだな。
蘭子は今回は楽曲やメンバー的にもほぼキュート蘭子。
彼女との関わりが深いアイドルがメンバー内にいなかったことやツッコミ陣の弱さもあってやや割りを食った感がもったいなかったがやむなしか。
はあのブツ切りENDとして悪名高いストーリーコミュからの『サマーサイダー』を経て一皮剥けた颯をキープしていた。
相変わらず全てにおいて高水準であり、見事1位通過したその総合力の高さでリーダー的ポジションを担う。
他が「私が私が」という面子でもなかったことでの結果適任だったが、器用貧乏に陥りそうな彼女の突破口は案外こんな所なのかもしれない。

「恋の方程式」とはそれこそ昭和の時代からある恋愛ソング用語の定番だ。
『この恋の解を答えなさい』はその古き良き甘酸っぱいエッセンスを受け継ぎつつも、それを見事に現代風にアレンジし、デレステ世界に落とし込んでいた。
公開されたMV2Dリッチのクオリティも素晴らしく、こちらも私は過去イチクラスに気に入るものとなった。
今回のイベントで最も上手いと感じたのは期待のさせ方からのそれのいい裏切り方からの最終的な魅せ方で、タイトルや今回の目玉アイドルとなる大石泉から理数系の内容を想像させつつも蓋を開けてみればなんとも国語的な命題を与えられ、しかしやはりそれも理屈では解決できないと知る。
「恋に解などない」のではなく、「それぞれの恋にはそれぞれの解がある」のだ。

シンデレラガールズのアイドルたちは何かと言えば「それってアイドルみたいだね」とやたら「アイドル」を万能ワードとして使いたがる傾向にあるのだが、今回こそ実はまさにそれで、それぞれの恋にそれぞれの解があるように、それぞれのアイドルにはそれぞれの道があり、それぞれのアイドルの悩みはそれぞれの解決法でしか解決できない。
颯のあと一歩突き抜けきれないもどかしさも、藍子の一歩引いてしまうところも、りあむの生き方の下手さも、蘭子の現実や世間との葛藤も、泉の型にハマりがちなところも、それぞれみんな別の解決方法がある。

シンデレラガールズの物語はシンデレラストーリーでありつつも終わりがない。
シンデレラガールになってもまだまだ先がある。
夢の続きがある。
「この」解の次にはきっとまたすぐに別の問題に対する解が求められることだろう。
フェルマーの最終定理も解かれた今、「アイドルとは」という難問に最適解を出すのは誰か。
それをみんながこぞって追い求めることで、シンデレラガールズというコンテンツはさらに盛り上がりを見せていくことだろう。

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