見出し画像

『ススメ!シンデレラロード』はボイスなしアイドルにとってのストーリーコミュである。

『アイドルマスターシンデレラガールズ スターライトステージ』(以下『デレステ』)において、2024年1月23日よりイベント『ススメ!シンデレラロード』が開催された。

すっかりお馴染みである本イベントだが、ルートを2つとも読み終わって改めて感じたことがあった。
それが今回の表題ともなっているように、『ススメ!シンデレラロード』はボイスなしアイドルたちにとってのストーリーコミュなのではないか、というものだ。

ストーリーコミュというのはデレステにおいてボイスが実装されたアイドルがもらえる個別シナリオであり、最後にソロ曲が解禁されてゲーム内でプレイ可能になる。
裏を返せばボイスなしアイドルのままでは絶対に(現行システムにおいては)与えられない代物だ。
さらに言うならボイスが付いていてもソロ曲がもらえていないことにはそこには辿り着けない。
つまりはボイスなしアイドルたちにとっては目の前に高い高い2つのハードルが立ちはだかっているのだ。

『ススメ!シンデレラロード』は基本的にボイスなしアイドルが毎回2名選出されてスポットライトを浴びる。
過去には椎名法子姫川友紀などが起用されたこともあるがそれはイレギュラーケースであり、シンデレラロードのイベント自体はボイスなしで進行するのでSRカードでボイスが再生されるぐらいの差異しかない。
ボイスなしアイドルたちが多数登場するのがシンデレラロードの醍醐味でもある。
今回その対象は矢口美羽西川保奈美だ。
担当Pは「やっと順番が回ってきたか」とさぞや万感の想いであったことだろう。
しかしまだまだ順番待ちの行列は長いですぞ運営さん?

両方のコミュを全て読み終わっての感想としては、アイドルの内面と本質に迫る素晴らしいものだった。
かえすがえすもフルボイスで声優さんの熱演とともに楽しみたかったものだがそれはここで言っても詮無きこと。

矢口美羽はオリジナルカレンダーを作ることになる。
今では珍しい12枚綴りで、表紙は黙っていれば超絶美少女である彼女が飾る。
どうせなら日めくり形式にして毎日矢口ギャグを楽しめるようにすればいいのに、と思ったが、今回は「綺麗な矢口美羽」で行くとのことなのでそちらはまたの機会に。
「ギャグを封じられた矢口がみんなをちゃんと笑顔にできるのかな?」と本人も不安そうだったが、『矢口美羽と愉快なアイドルたち』こと仲間たちの協力もあって最終的に非常に完成度の高いものに仕上がった。
「彼女はいつも一生懸命で、協力したくなる明るさがあります」とのプロデューサーの矢口評は見事に正鵠を射ていた。
『Teeenage☆Groovin'』でのリンリンが抱えていた悩みにも共通する部分を感じた。
「人を笑顔にするためには、とてつもないパワーが必要ですからね!」と言う美羽。
「あの子は特別なパワーがあるんですよ。いつもみんなをわくわくさせてくれる」とプロデューサーは言った。
おまえにはそのパワーがあるんだぞ矢口!

西川保奈美は新作ミュージカルのヒロインに直々のオファーで抜擢される。
彼女の土俵であるオペラではなくミュージカルだ。
憧れの歌劇団の元スターとの共演ということもあり、大いに意気込んでいた保奈美を待っていたのは、「がむしゃら感が足りない」との痛烈なダメ出しだった。
それに「オペラは待つばかりだったから」と回顧する彼女。
ショックを受けこそすれ、そこで折れなかったのは彼女が持つ芯の強さに他ならない。
のみならず、自ら「口だけの人間だった」とまで自戒する。
西川保奈美、なんとストイックか。
「十代に見えないほど大人びている」ネタで有名な保奈美。
十代に見えないどころか彼女はまだ16歳だ。
ハイティーンどころかミドルティーンでしかない。
「貴方は大きな拠り所で……私の心の支え」と弱さも見せる。
シンデレラガールズの世界ではなかなかお目にかかれないほどのパートナー感(色んな意味で)でギルティ案件に発展しないものかとハラハラさせられた。
幸い(?)プロデューサーはプロデューサーのままでいられ、保奈美も己の立ち位置を再確認した上で大きく成長を遂げ、今後の飛躍にさらなる期待感を抱かせる。

『ススメ!シンデレラロード』はシステムこそシンデレラキャラバンに近いものがあり、長くさらなる差別化が叫ばれてきたが、やはり最大の強みはこうしてアイドルの深い部分に迫るシナリオが読めることだと今回再認識することができた。
シンデレラキャラバンがデレステのサービス縮小の波のあおりを受けて新規のSRが実装されなくなってしまったことで、相対的にもなおさらシンデレラロードの価値は高まったと言える。
デレステのサービス終了のその時までに全てのボイスなしアイドルがこの『ススメ!シンデレラロード』にてピックアップされることを望んで止まない。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?