『ディア・エターナリー・ジェム』で工藤忍はなぜ「ディア」担当だったのか。
『ディア・エターナリー・ジェム』というユニットをご存じだろうか。
これは『アイドルマスターシンデレラガールズ』に数多あるユニットの内の1つで、佐久間まゆ、北条加蓮、及川雫、そして工藤忍からなるカルテットである。
「ジェム」の名からして容易に分かる通り、宝石をモチーフとしたユニットで、宝石の「永遠の輝き」とアイドルの輝きをなぞらえたものだろう。
実はこのユニットには前身がある。
佐久間まゆ、北条加蓮、及川雫からなるトリオ『エターナリー・ジェム』がそれで、先んじること5ヶ月前に登場している。
そこに工藤忍が合流し、現在の『ディア・エターナリー・ジェム』となったのだ。
……ふむ。
つまりは工藤忍は『ディア・エターナリー・ジェム』における「ディア」担当ということになる。
簡単な引き算だ。
では、工藤忍のどこが「ディア」なのだろうか。
ここで「ディア」の意味を紐解くとしよう。
「ディア」は英語の「dear」で間違いないだろう。
「ディア」
1.「かわいい」「とても大事な」「愛しい」
2.「貴重な」「価値がある」「重要な」
辞書を引くと大体こうある。
なるほど。
工藤忍は確かにかわいい。
それに愛しいし大事だ。
だが忍の他にもかわいくて愛しいアイドルはたくさんいる。
そして貴重だの価値があるだのは宝石にかかっている部分なのでこの際除外してもいいだろう。
……あれ?
早くも詰んだ。
だったら忍じゃなくても全然いいじゃないか。
考察の方向性を変える必要がある。
「ディア」……「ディア」……。
そうだ。
手紙の書き出しなんかでよくあるやつ。
「拝啓」とか「親愛なる」的なアレ。
もしかしてそっちじゃないか?
工藤忍は『エターナリー・ジェム』に後から合流した。
その挨拶代わりなのではなかろうか。
『ディア・エターナリー・ジェム』には各自の担当宝石がある。
まゆはガーネット。
加蓮はアクアマリン。
雫はペリドット。
と、それぞれキャラクターイメージカラーに沿った物があしらわれている。
ならば工藤忍はというと。
スモーキークォーツ。
スモーキークォーツ???
遠目から見れば黒にも見えるような茶色い石だ。
仮にもキュートアイドルである忍が?
瞳に浮かぶ星にちなんでブルー系ならまだ分かるのだが。
これはもっと突っ込んで調べる必要性が出てきた。
このユニットが登場した『第37回 アイドルLIVEロワイヤル』にて採用されたカードは[つないだ光り]工藤忍+(特訓後)だ。
その台詞にこんなのがある。
「スモーキークォーツ…宝石言葉は、不屈の精神。輝くために努力を続けたアタシを、今、思いっきり見せてあげる…!」
ひとつ、つながった。
忍は『エターナリー・ジェム』に足りなかった部分、「不屈の精神」を補う要員として乞われて追加メンバーとなったのだ。
まゆのガーネットの石言葉は「真実」、「友愛」。
加蓮のアクアマリンの石言葉は「聡明」、「勇敢」。
雫のペリドットの石言葉は「幸せ」、「平和」。
そこには「不屈の精神」が欠けていた。
工藤忍が加わることによって『エターナリー・ジェム』は『ディア・エターナリー・ジェム』という完全なるユニットとして結実したのだ。
スモーキークォーツには「不屈の精神」の他にも、「安定」や「責任感」といった宝石言葉もある。
ほうほう、調べれば調べるほど工藤忍に相応しい宝石ではないか。
ただし、忍はそれに甘んじない。
「宝石の輝きにも、負けたくない!」
「衣装の魅力を引き出して…でも、着られるだけのアタシじゃないよ」
工藤忍はハングリー精神の権化だ。
シンデレラガールズのアイドル190人、どのアイドルもたゆまぬ努力をしているのだが、その中でも「シンデレラガールズのアイドルで『努力家』といえば?」ファンの間で真っ先に名前が挙がるのが工藤忍である。
それほどまでなのだ、工藤忍は。
工藤忍、『エターナリー・ジェム』に遅れてやって来た「ディア」。
佐久間まゆの友愛。
北条加蓮の勇敢さ。
及川雫の癒し。
そして工藤忍の不屈さ。
「拝啓、親愛なる『エターナリー・ジェム』。工藤忍です」
工藤忍は確かに光をつないだ。
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