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八神マキノの突然の海属性はどこから来てどこへ行くのか。

『アイドルマスターシンデレラガールズ』には八神マキノというアイドルがいる。
18歳の高校生なのだが、趣味は「諜報活動」
ただ知的好奇心を満たしたいだけで悪用するつもりはない」とのことなのでセーフです。
フィクションだし。
どう見ても事務所のPCをハッキング(クラッキング?)している描写がありますが、セーフです(断言)。
クールビューティーや眼鏡アイドルは他にもたくさんいるが、「スパイ系アイドル」というポジションは実に190人もいるアイドルの中でも一際異彩を放つ被り属性のいないキャラクターだ(某キャットウーマンは除外していいよね?)。

第5回シンデレラガール総選挙から上位圏内に顔を見せるようになり(その時はちょうど50位)、それ以降着実に人気を上げていく。
そしてシンデレラガール総選挙が『Stage for Cinderella』にリニューアルされたことで今は消滅してしまったボイスアイドルオーディションの第2回で、浅利七海、西園寺琴歌に次ぐ第3位に輝き、めでたくボイスを獲得するに至った。

ボイスアイドルオーディションでは第3位までに入賞したアイドル3人でトリオユニットを結成してのユニット曲をもらえるのがボイスを獲得することとの2大特典となっていた。
この3人が歌う楽曲は『Let's Sail Away!!!』で、「第1位の七海にだいぶ寄せた曲だな」というのが当初曲を聴いた時の私の印象だった。
方向性は違いつつも好奇心旺盛キャラである琴歌とマキノは未知への航海や冒険要素がリンクしているのがポイントか、と私は自分の中で落とし所を見付け、「これで八神マキノと海との関係は一区切りだろうな」、と勝手にそう思い込んだ。

シンデレラガールズのアイドルにボイスが付くイコール、いずれはソロ曲がもらえるということでもある。
私もファンの一人としてその日を心待ちにしていた。
そして迎えたXデー。
発表された楽曲は『ノーチラスソナー -Nautilus Sonar-』、作詞・作曲・編曲はAJURIKA(遠山明孝)氏で、かねてからTwitter(現X)などでソロ楽曲制作をしてみたいアイドルとして八神マキノの名を公言していた氏の念願が叶ったことになる。
作詞・作曲・編曲の全てを一人でこなしていることからもその想い入れの強さが窺い知れる。
ちなみにAJURIKA氏はクールアイドルの曲を「N」から始まるタイトルで制作することで広く知られていて、サブタイトルの表記を見てすぐにピンと来たものだ。
余談ではあるが、『Naked Romance』もAJURIKA曲ではあるのだが、小日向美穂はキュート属性であり、コンテンツ開始初期ではまだそういった方向性は固まっていなかった。
AJURIKA氏は当時のメインスタッフであった「ディレ1」こと石原氏に会うと未だに「やっぱ遠山は『Naked Romance』なんよな~」と言われるらしい。

話を戻そう。
『ノーチラスソナー』の「ノーチラス」とはジュール・ヴェルヌの『海底二万里』と『神秘の島』に登場した架空の潜水艦の名であり、TVアニメ『ふしぎの海のナディア』にてそれをオマージュした万能潜水艦が登場し、人気が再燃した。
近年においても様々な媒体の作品において登場する人気モチーフである。
同じく「ソナー」とは、伝播する音波を用いて水中・水底の物体に関する情報を得る装置のことだ。
つまり、『ノーチラスソナー』はどこをどう取ってもバッチバチに海に関する曲なのだ。

私は大いに戸惑った。
それまで八神マキノの海にまつわるカードは[マリンバイオグラフィー]という船上で釣りをしているものがあったぐらいで、水着のものすらなかったからだ。
過去の参加ユニットを遡ってみても海関係のものは皆無で、やはりと言おうか諜報活動にまつわるものが圧倒的に多く、肌面積が少ない方面で探そうにも温泉ぐらいのものだった。

この突然の海要素は一体どこから来たのだろうか?


ここでキーとなるのが潜水艦という代物の性質だ。
その優れた隠密性は『潜水艦イ-57降伏せず』『沈黙の艦隊』『U・ボート』『レッド・オクトーバーを追え!』『クリムゾン・タイド』などなど名作映画においての描写でも枚挙に暇がない。
AJURIKA氏はおそらくそこに八神マキノとの親和性を見出したのだろう。
八神マキノのソロ曲を制作するに当たり、その時全世界で最も八神マキノについて考え、研究していただろう氏が導き出したのは、八神マキノ+『ノーチラスソナー』=海ではなく、八神マキノ+『ノーチラスソナー』=隠密性の方だったのだ。
なるほど、腑に落ちてみれば納得しかない。
氏の慧眼には脱帽する他はない。
もちろんタイトルや歌詞以外にも曲を含めた全体の完成度及び世界観たるやすさまじいもので、私も毎日のように聴かせていただいている。

八神マキノの海属性は突然のものでもなんでもなかった。

なんならAJURIKA氏の中で長きに渡って温め続けられていた可能性すらある。

結論として、八神マキノは潜水艦属性を獲得したのではなく、やはり海属性をも獲得していた。
潜水艦は海にあってこそ輝くものだ。
シンデレラガールズには海属性を持つアイドルが多数存在する。
ファーストネームがそのもの「海」で、自らもサーフィンを嗜む杉坂海。
泳げないが部類の海好きである瀬名詩織。
お魚博士の浅利七海。
シンデレラガールズ随一のスイマーである西島櫂。
名前に「波」が入っていて、水着アイドルとしても確固たる地位を築いている新田美波。
などなど。

いや、もはや「海」にこどわる必要すらない。

ゲーマーアイドルの三好紗南的な表現をするなら、八神マキノは水属性を獲得したのだ

シンデレラガールズには190人ものアイドルがいる。
その中で目立って印象に残ってどんどん活動の場を広げていこうとするのであれば、持っている属性は多ければ多いに越したことはない。
あのシンデレラガールズの最強アイドル的存在である高垣楓ですら、「モデル出身、歌姫、酒好き、ダジャレ好き、温泉めぐり、オッドアイ、泣きぼくろ、童顔25歳児、身長171cm、朝が弱い、ミステリアス、関西弁」と、パッと思い付くだけでもざっとこれだけもの属性を持っていて、そんな彼女でもシンデレラガールに輝いたのは第6代目なのである。
属性1つごとにユニットやお仕事の可能性を秘めていると考えると、マキノがメジャー属性である「海」や「水」を獲得できたのは非常に幸運と言える。

人気アイドルの一人として地位をまずは不動のものとした八神マキノ、彼女がこれからさらに上を目指せるきっかけに「海」「水」属性がなれば望外の喜びである。

八神マキノの推し活は隠密行動である必要は全くない。


ファンのみんなで彼女の魅力を公然の秘密にして苦笑混じりにこう言わせてやろう。
「白日の下に晒すなんて度し難い」、と。

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