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卵子提供と代理出産を組み合わせた妊娠率の高さと費用感

『卵子提供+代理出産』は、欧米において軒並み高い妊娠成功率を誇っているます。本記事では、卵子提供の基礎も踏まえた上で、卵子ドナーの選び方、卵子提供を受けるべき女性、流れやリスク、卵子提供で生まれた子供の遺伝子についても触れていきたいと思います。また、卵子ドナーの費用、体外受精(IVF)の費用、代理出産の費用もご案内していきます。


卵子提供とは何ですか?


卵子提供とは、20代の若くて健康な女性が、様々な理由で子供を妊娠できない他の夫婦や女性に、自分の卵子(卵細胞)を自発的に提供する医療行為です。提供された卵子と男性の精子を体外受精(IVF)によって受精させるため、高度生殖補助医療(ART)の一環として行われます。

ある女性(卵子ドナー)が、他の女性を妊娠させるために卵子を提供することによって、これまで子供が作れなかった女性でも、健康な子供を持ち、母になる喜びを味わうことができます。卵子提供は、長年の夢を叶えるための期待に溢れた選択肢と言えるでしょう。


卵子提供は40年以上の歴史

卵子提供は、2024年時点で、およそ40年の歴史があります。

・1983年 オーストラリアで卵子提供による最初の子供の誕生
・1983年7月 南カリフォルニアで卵子提供による妊娠
・1984年2月 卵子提供によるアメリカ初の子供の誕生

が挙げられます。

卵子提供がない時代には、不妊の夫婦が親になるために、養子縁組をするのが主流でした。現在では、卵子や胚の提供は、血液や主要な臓器の提供と同様に、一般的な慣行となっています。

この科学的な飛躍的進歩は、女性不妊症のために子供を持つことができなかった人々や、遺伝性疾患を受け継ぐリスクの高い人々の可能性を大きく変えました。体外受精(IVF)が発展するにつれて、卵子提供も発展してきています。

現在、卵子提供者(卵子ドナー)の卵子は、簡単な外科手術で卵巣から採取され、体外受精(IVF)の実験室で受精します。そこで得られた胚は、卵子を提供した女性に戻す(移植される)のではなく、妊娠を希望する女性(未来の母親)に移植されます。

また、レシピエント(移植希望者)の女性に子宮がなかったり、妊娠できない場合には、胚は代理出産の女性(代理母さん)に移植されます。代理母さんは、将来の両親との合意(契約)に従って胚を妊娠させます。

卵子提供と代理出産を組み合わせることで、歌手のエルトン・ジョンとそのパートナーを含む同性愛者も実子を持つことが可能になっています。

アメリカの場合、体外受精による出産の約18%を卵子提供と胚提供が占めています。米国疾病管理センター(CDC)の記録によると、1984年の最初の出生発表以来、不妊の女性に対して、ドナー卵子胚移植で誕生した赤ちゃんは47,000人以上に達しています。

どんな女性が卵子提供者(卵子ドナー)になれるのか?

通例としては、卵子提供者(ドナー)は、利他的または金銭的な理由で卵子提供を行い、レシピエント(移植を希望する側)とは無関係です。アメリカの場合の卵子提供者は、卵子提供機関または体外受精クリニックが募集する匿名ドナー(または半匿名ドナー)です。匿名である理由は、レシピエントと連絡先を交換する場合があり、それはトラブルの元になるからです。アメリカとイギリス以外のほとんどの国では、ドナーは匿名であることが法律で義務付けられています。

また、体外受精を経験した女性が、余った健康な卵子をドナープログラムに提供したいケースもあり、そのような場合には、それを欲しいレシピエントが体外受精(IVF)処置の費用を負担してくれたりします。

例えばアメリカの場合、誰が卵子ドナーになれるのか?

アメリカでも、卵子提供を通じて不妊夫婦を助ける決意をした若い女性は最大限称賛される傾向があります。卵子ドナーがいなければ、家族を作りたくても作れない夫婦は、人生に希望を持てなかったかもしれません。アメリカで卵子ドナーになるための条件例を挙げてみます。

・21歳から31歳までで、心身ともに健康な女性
・BMI 19-29 (体格指数BMI:身長体重に基づく体脂肪の尺度) 
・喫煙、アルコール依存症、薬物使用の既往歴がない
・月経周期が規則正しく、ホルモン値が健康的である
・避妊具(デポプロベラ注射、ミレーナIUD等)を使用してない
・両方の卵巣を持つ健康な生殖器官がある
・健康な卵巣予備能がある
・遺伝性疾患の家族歴がない
・過去1年以内に性感染症(STI)に感染してない

例えばウクライナの場合、誰が卵子ドナーになれるのか?

アメリカと同様、ウクライナの法律でも一定の基準を満たした女性が卵子ドナーになることができます。ウクライナで卵子ドナーになるための条件例を挙げてみます。

・18歳から30歳までの若くて健康な女性
・すでに自分の子供を育てていること(妊娠・出産歴がある)
・生殖能力が正常で月経が定期的にあり、妊娠する能力がある
・悪い習慣(アルコール中毒、薬物中毒など)がない
・過去に重い病気や大きな手術を受けていない
・遺伝性疾患がない
・婦人科検診、血液検査、全血球算定、血液凝固検査、感染症検査など、総合的な健康診断(精密検査)を受けていること

などが挙げられます。尚、ウクライナの場合、ドナーは匿名です。

どのように卵子ドナーを選ぶべきか?

卵子提供者(卵子ドナー)を選ぶ手続きは、卵子提供による体外受精を行う上で非常に重要なステップです。レシピエント(移植を希望する方)は、必ず上述したような基準を満たし、精密検査や心理チェックを受け、専門家から太鼓判を押された総合評価の高いドナーを選ばなければなりません。B型肝炎、C型肝炎、梅毒、HIV、性感染症の検査、ホルモン検査も必須ですし、遺伝学者、セラピスト、心理学者によるドナーの適性についての評価も必須です。

また、ウクライナを含むヨーロッパの国々では、卵子ドナーの匿名性に細心の注意を払っています。ドナー卵子を必要とする夫婦は、ドナーの女性に会うことはできませんし、その逆もまた然りです。子供のいない夫婦の子作りに協力することに同意した女性(卵子提供者)は、自分の卵子が誰のため利用されるのかについて知ることはできないのです。

『生まれてくる子供の母親に似た女性を卵子ドナーとして選びたい』という夫婦の希望にも共感しますし、『生れてくる子供は日本人とヨーロッパ人のハーフがいい』という夫婦の希望にも共感します。私達代理出産エージェントBFYもそうですが、代理出産エージェントやクリニックは、卵子ドナーを求める夫婦の様々な希望にそったドナーを見つけるために最善を尽くすのみです。

どんな女性に卵子提供が必要か?

卵子提供は、どのような女性にとって必要なのか、適しているのか、例を挙げていきたいと思います。

・自身の卵子では妊娠できず、遺伝的な子供を持つことができない女性
・自身の卵子で妊娠は成立するが、その可能性が非常に低く、自身の卵子で体外受精を行うことが得策でない女性
・卵巣で、かなりの数の生存可能な卵子を産み出すことができない女性
・年齢が高い女性(45歳以上)
・生まれつき卵巣がない女性
・病気やその他の事情で生殖器が損傷したり、手術で摘出した女性
・子孫を残すのに危険な遺伝的疾患や染色体異常を持っている女性
・代理出産(代理母さん)を利用する同性のカップル

もう少し具体的に挙げていきますと、

先天性無卵症
・ターナー症候群
・性腺形成不全

後天性卵子減少症
・卵巣摘出
・早発閉経
・化学療法(癌等)
・放射線療法(癌等)
・自己免疫疾患
・卵巣予備能の低下

その他
・X性連鎖の疾患
・反復受精または妊娠失敗
・採卵できない卵巣

これらに該当する女性は、卵子提供を受けると良いと思います。

卵子提供プログラム

では実際の卵子提供プログラムの手順についても見ていきましょう。

①卵子提供者(卵子ドナー)の選定、各種診断、検査、契約

先ず最初に必要なのは、ドナーになる女性を選ぶことです。基準を満たしており、診断や検査に合格したドナーと契約を結びます。基準や検査については、本ページの『どんな女性が卵子提供者になれるのか?』をご覧ください。また、ドナーやレシピエントの匿名性を保つために、お互いが接触することはありません。

②卵子提供者とレシピエントの月経周期の同期化

次の段階で、ドナーとレシピエントの月経周期を合わせます。医師の役割として、胚が移植される女性の子宮内膜の必要な成熟度を達成することが重要です。着床が成功するかどうかは、子宮内膜の成熟度合いによって決まります。治療の各段階で、医師は女性の血液中のホルモンレベルをモニターし、超音波検査で子宮内膜と卵巣の状態を管理します。

③卵子提供者への刺激

卵子提供の次の段階は、ドナーの女性の卵巣を刺激することです。1回の排卵で、1個の卵子を得るのではなく、1回で複数個の卵子を得る必要があります。そのために、過排卵を促進する薬物療法が行われます。その結果、受精可能な複数の健康な卵子が得られます。ドナーは定期的に超音波検査で監視されますが、入院は必要ありません。

④卵子提供者の卵巣穿刺(せんし)と採卵

卵胞が希望の大きさに達すると、受精の準備が整ったとみなされます。この段階で穿刺を行い、卵胞に特殊な針を刺して中身を吸い出し、卵子を採取します。採卵は全身麻酔で行われるため痛みはなく、所要時間は約20分です。

⑤夫またはドナーの精子による卵子の受精(体外受精)

精子も、ドナー卵子と同じ日に採取する必要があります。男性は、予定された手術の数日前から性交渉を控える必要があります。研究室で精子の成分検査が行われ、最も良い精子がドナー卵子の受精に使われます。卵子と精子を結びつけるには、体外受精(IVF)を行うか、マイクロインジェクションを用いた顕微授精(ICSI)で精子を卵子に注入します。様々な事情から冷凍保存の精子を取り扱う場合もあります。

⑥胚の培養とレシピエントの子宮腔への移植

受精の手順が成功した場合、得られた胚は、医師の監督下で研究室で成長(培養)をモニターされます。その後、最も良い胚を選び、最も適切なタイミングで、レシピエントの子宮への移植が行われます。

⑦受胎者の黄体期のサポート

妊娠検査薬が陽性であった場合、レシピエントはエストラジオールとプロゲステロンの服用が必要になります。これらの薬剤は、妊娠を維持するために12~14週間まで服用する必要があります。その後、女性の身体は必要な量のホルモンを自分で産生し始めます。

卵子提供プログラムの料金

2024年の時点での卵子提供プログラムの値段(費用)についても見ていきましょう。卵子提供は、国によって法律が異なり、違法である国もあります。代理出産については更に複雑で、ほとんどの国では違法もしくは法整備がきちっとされていません。したがって今回は、卵子提供、代理出産ともに法整備がされている国(アメリカとウクライナ)の料金を挙げてみます。

◆アメリカの卵子ドナー関連費用

アメリカでは卵子を買う(売る)ことはできません。卵子を含む臓器や人間の一部を売買することは法律で禁止されているためです。しかし、卵子そのものではなく、卵子ドナーが費やした時間と労力への対価を補償する(支払う)ことはできます。下記に、新鮮なシングルサイクル卵子ドナーの補償と費用を挙げていきます。

例:カリフォルニア、1サイクル

・代理店手数料:8,000~17,000ドル
卵子ドナーの確保(リクルート、審査)、卵子提供サイクルの管理監督をするための調整作業手数料です。例えば、プレミアム卵子ドナーや既にドネーションラウンドを成功させたドナーの場合、より高額な料金を請求されます。

・卵子ドナーへの補償:10,000~40,000ドル以上
卵子ドナーへの補償は、卵子提供者の居住地、民族、教育(大学)、ドナー経験などにより大きく異なります。例えば一流大学を卒業したドナーはより高額です。

・弁護士による法的調整料:1,500~3,000ドル
ドナー弁護士、親権者弁護士、契約書など書類作成費用を含みます。トラブルが生じた場合には、その内容に応じて更に高額になります。

・卵子ドナーの審査:1,000~1,500ドル
生殖内分泌専門医は、卵子ドナーの卵子を生産する能力を検査し、卵巣機能と予備能を判定します。また、一般的な健康状態、血液型、感染症、薬物使用の検査も行います。心理学者は、ドナーが卵子提供のリスクと利点を理解し、正しい意思を持っていることを確認します。遺伝カウンセラーは、先天性欠損症や遺伝性疾患の家族歴の審査を行います。

・卵子ドナーの保険その他雑費:1,000ドル
保険、エスクロー口座サービス料、予備費も考慮しておきます。

・卵子ドナーの宿泊交通費:1,000~5,000ドル
例えば、カリフォルニアで検診と採卵を実施するための宿泊費や交通費も考慮しておきます。

※冷凍卵子を利用することもできますが成功率は下がります。

◆アメリカの体外受精(IVF)関連費用

・体外受精(IVF)の基本費用:15,000~25,000ドル
周期中の骨盤超音波検査、エストラジオール、LH、プロゲステロン検査、採卵と移植後凍結すべての処置、胚培養手順、妊娠確認検査、手術室および麻酔費用を含めた、基本的な体外受精の費用です。

・卵子ドナーの薬剤:4,000~6,000ドル
IVFサイクル中、卵巣刺激、複数の卵胞の発育を促進、早発排卵の予防、胚の着床と発育サポートなど、個人のニーズと不妊治療専門医の推奨に基づいて薬剤が利用されます。

・レシピエントの薬剤:1,000~1,500ドル

・着床前遺伝学的検査 (PGT):5,000~12,000ドル
体外受精の遺伝子検査(PGT)は、子宮に移植される前に胚の遺伝的健康状態を評価するために使用される高度な技術です。体外受精のための遺伝子検査は任意の手順であり、必須ではありません。通常、遺伝性疾患のリスクが高い場合、または母親の年齢が高く染色体異常の可能性が高まる場合に推奨されます。 検査のタイプ(PGT-A、PGT-SR、PGT-M)によって費用が異なります。

・顕微授精(ICSI):1500~2500ドル
従来の体外受精では受精できない場合(例えば、精子の数が少ない、精子の運動率が悪い、精子の形態に異常があるなど、重度の男性不妊など)において、顕微授精(ICSI)を行います。

・余分な胚の凍結と保存(1年間):1,500ドル
体外受精サイクルから複数の高品質な胚が得られた場合、後の凍結胚移植(FET)に備えて凍結保存できます。

・アシステッド・ハッチング(Assisted hatting):500~1,500ドル
アシステッドハッチング(AH)は、体外受精において、胚が子宮内に着床する確率を高めるために用いられる技術です。着床の初期に胚の孵化を促進するために、胚の外側の層(透明帯)を薄くしたり、小さな隙間を作ったりします。一般的には、母体の年齢が高い、体外受精に失敗したことがある、卵胞刺激ホルモン(FSH)のレベルが高いなど、ケースバイケースで利用されます。

※1回で妊娠できるとは限りません。
※体外受精(IVF)は成功率を考慮する必要があります。価格が非常に安い反面、成功率が低い(安かろう悪かろう)クリニックも存在します。
※2024年4月現在の調査による金額

◆アメリカの代理出産関連費用

例:カリフォルニア、1サイクル

・代理出産エージェンシー費用:15,000~60,000ドル
代理出産を決断した場合、多くの夫婦は経験豊富なエージェントを利用することを選択します。代理出産エージェントは、夫婦が求める代理出産の最初から最後まで付き添い、全行程で専門的な助言と管理を行います。例えば、法律家(弁護士や公証人)の管理や書類作成、優れた代理母の募集や面接や管理、体外受精(IVF)などの高度生殖補助医療(ART)を行うクリニックの管理、卵子ドナー登録会社の管理、代理母の妊娠中や出産の管理、生まれた赤ちゃんのパスポート手配、国境で必要な書類の作成や手配、全行程の財務(支払いや報酬)管理などが挙げられます。

・代理母マッチング費用:5,000~20,000ドル
条件に当てはまる代理母であれば誰でも良い(誰でも同じ結果がでる)というのは間違いです。優れた代理母を選ぶために3段階以上の審査プロセスで十分に吟味されます。数年に渡る代理出産の旅の中でも骨の折れる作業です。代理母マッチングは、代理母のネットワークを持つ専門のリクルーター部署が行います。マッチングが成功するまで、アメリカの場合で1ヶ月から5ヶ月くらいを要します。代理母のマッチングプロセスには、医学的、心理学的、法的な評価も含まれ、クリニック、セラピスト、弁護士への追加支払いが必要になる場合もあります。例えば、不妊検査(ホルモン検査、超音波検査)、一般健康診断、血液検査、性病検査、心理学的評価、身元調査などが行われます。代理母マッチング費用は、エージェント費用に含まれている場合もあります。

・代理母への報酬:30,000~97,000ドル
代理母への代理出産への報酬です。代理母の報酬額は住んでいる地域、代理出産経験の有無、その他によって異なります。例えば、カリフォルニアで経験豊富な代理母の場合97,000ドルの報酬が必要になります。アメリカでは、代理出産の報酬は全額エスクロー口座に前払いされます。その後、妊娠期間中に毎月代理母に支払われます。

・代理母への追加手当て:10,000~30,000ドル
双子、三つ子、予定外の帝王切開などには手当てを支払います。

・卵子提供、体外受精(IVF)、胚移植費用:前項に記載

・出産費用、追加医療費:10,000~20,000ドル
出産費用と合併症は代理母の医療保険でカバーされる必要があります。しかし、保険会社は通常、一部の請求を拒否し、その他の請求については自己負担金を要求します。そのため、保険で拒否される可能性のある出産費用をカバーするための予備資金を残しておく必要があります。帝王切開は、手術室、麻酔、長期の入院を必要とする高額な手術です。帝王切開出産は30%の割合で発生します。また、体外受精(IVF)で生まれた赤ちゃんは早産の可能性が高く、未熟児や低出生体重児の平均医療費は、合併症のない新生児の医療費の10倍かかります。

・パスポート等の書類手続き:3,000ドル
外国人の両親は、帰国するために赤ちゃんの国籍やパスポートを取得しなければなりません。この手続きによってアメリカ滞在が3~4週間延長されます。アメリカにおけるDNA検査は1回につき1,000ドル程度かかります。外国人の両親の場合、DNA検査、申請料、翻訳料、公証料、4週間の滞在にかかる追加旅費を見込んでおく必要があります。

・法的(弁護士)費用:5,000~15,000ドル
弁護士(法律家)は、子供の親権が明確な合意で慎重に定められることを保証するために、代理出産にとって重要な部分となります。弁護士費用は、最初の契約書類作成時と、出生前後に親権を法的に確保するための書類作成時と、2回に分けて支払うパターンが多いです。アメリカの場合、ほとんどの州で、赤ちゃんが生まれてから数日または数週間以内に地方裁判所が「出生後命令」を発行します。「代理出産に優しい」州においては「出産前命令」が発行されることもあります。どちらも同様の法的効果を持ちます。

・保険料:10,000~30,000ドル
健康保険は代理出産の全工程をカバーしませんが、妊娠と出産をカバーするために、代理出産を希望する家族が代理母に代わって加入できる保険プランもあります。しかし、これらの保険は免責金額が高く、割高になります。

・カウンセリングサービス:7,000ドル
クリニックによっては、両親と代理母の両方がカウンセリングを受けることを義務付けているケースがあります。

・隠れたコスト:???
代理出産では双子を希望する夫婦は多く、双子を妊娠させることで赤ちゃん1人あたりのコストを抑えられる(1人産めば1人無料)と考えているケースもあります。しかし、双子の妊娠や出産にはリスクも存在するため、推奨されていません。例えば、双子の代理出産には予想外で深刻な経済的負担が発生することがあります。双子は早産になる確率が高く、双子の妊娠の約50~65%が早産になります。早産児は後年、身体的、認知的な発達障害を起こすリスクも高いです。このような理由から、ASRM(アメリカ生殖医学会)は胚移植は1つの胚のみを使用することを推奨しています。また、多くの代理母は、双子を意図的に妊娠させるために複数の胚を移植することを拒否します。双子が自然に生まれた場合は別です。早産は、分娩時の合併症による不測の事態に備え、追加の医療、保険、その他の費用がかかることが多く、双子の妊娠で予想される費用の内訳(例)は以下の通りです。

 双子の代理母への追加報酬:10,000ドル~
 帝王切開の場合:5,000ドル~
 安静期間中の保育料や援助:450ドル/週
 新生児の民間健康保険:25,000ドル~
 代理出産と妊娠のための民間健康保険:8,000ドル~
 健康保険の自己負担分:10,000ドル~

ここには隠れた問題があり、第一に、双子の妊娠のために保険に加入するのは難しく、入れたとしても高額です。第二に、もし保険に入らなければ、2人の赤ちゃんが新生児集中治療室(NICU)に滞在する費用は1日約5000ドルします。1ヶ月NICUに滞在すれば15万ドル、手術(外科的処置)を必要とする場合には、100万ドルを超えることもあります。

◆アメリカの卵子提供+体外受精+代理出産トータル費用

卵子提供:22,500~67,500ドル(平均値 45,000ドル)
体外受精:20,000~50,000ドル(平均値 35,000ドル)
代理出産:95,000~282,000ドル(平均値188,500ドル)
______________________
合計費用:137,500~399,500ドル(平均値268,500ドル)

2024年の為替レート(1ドル≒155円)で計算をすると、
合計費用:21,312,500~61,922,500円(平均値41,617,500円)

となります。

※依頼主(レシピエント)の宿泊、交通費、食費、雑費は含んでいません。
※1回で妊娠できなかった場合の追加費用も含んでおりません。
※成功率の高い有名クリニックの場合、上記上限費用より高額になります。

◆アメリカのまとめ

アメリカで卵子提供+体外受精+代理出産を検討する場合、最低金額の準備では足りなくなってしまいますので、平均値4200万円に加え、旅費と1回の移植で妊娠できなかった場合の追加費用も考え、5000万円は準備しておくべきでしょう。高額ではありますが、アメリカの物価や商習慣を考えると致し方ありません。そして、アメリカにおける価格幅は、安ければ安いほど、経験が浅く、サービス項目が少なく、サービスの質が悪く、リスクが高く、妊娠と出産成功率が低い傾向があります。その結果、時間とお金を無駄にする可能性が高くなりますので、一段上の注意が必要です。
※2024年4月現在の調査による金額

◆ウクライナの卵子提供+体外受精(IVF)費用

ウクライナの場合、アメリカのような卵子ドナー単体のサービスではなく、体外受精(IVF)や顕微授精(ICSI)とセットになっているサービスとして取り扱われます。

例:首都キーウ、1サイクル

・代理店手数料: 1,500ドル
代理店の手数料には、卵子提供や体外受精プログラムに必要な書類の翻訳や作成、法律家(公証人や弁護士)の管理、クリニックや病院の管理、プログラム全体の管理監督など、卵子提供と体外受精に必要な一式を含むことが多いです。

・卵子提供者(卵子ドナー)のマッチング:1,500ドル
卵子提供者の写真と詳細情報、卵子提供者の健康診断(遺伝子検査を含む)、ドナーの宿泊交通費などの全般が含まれています。

・卵子提供者(卵子ドナー)への報酬:700~1,500ドル
卵子提供者への1回限りの報酬額です。

・体外受精前の検査:300ドル
専門医師による診察、HIV、梅毒、B型肝炎、C型肝炎、血液型Rh、一般血液検査、凝固像、生化学的血液検査(総蛋白、尿素、クレアチニン、ビリルビン、ALT、AST、グルコース)、風疹(Ig G)、クラミジア、PCR、FSH、細胞学的検査、女性の尿道性器分泌物の顕微鏡検査など、体外受精前に必要な検査と評価一式が含まれています。

・IVF+ICSIプログラム(初回):2,200~7,500ドル
排卵誘発、OPU-卵子穿刺、レシピエントの子宮内膜の厚さの準備、精子検査および体外受精のための精子準備、顕微授精、胚培養、胚移植、胚の凍結保存、凍結保存卵子の融解、麻酔サポートなど、体外受精に必要なパッケージが含まれています。

・薬代:1,200~1,700ドル
体外受精(IVF)にかかる薬剤費全般が含まれています。

・オプション(必要に応じて or 2回目以降)
 
 超音波管理下での卵子刺激(医師の診察付き):500ドル
 経膣卵子穿刺:600ドル
 胚培養:800ドル
 胚移植:500ドル
 細胞質内精子注入法(ICSI):卵子1~10個 700ドル
 細胞質内精子注入法(ICSI):卵子10個以上 850ドル
 PICSI法による精子選択:1,200ドル
 エンブリオジェンシステムによる胚培養:550ドル
 着床前遺伝子診断(PGD)
  5染色体:2600ドル
  7染色体:3100ドル
  9染色体:3600ドル

◆ウクライナの代理出産関連費用

アメリカと比較した場合、ウクライナの代理出産のほうがきめ細かいサービスを提供する傾向があります。ウクライナ人は日本人と価値観が近く、細かいことでも、土日でも、お客さんに寄り添って即対応をするイメージです。

・代理出産エージェンシー費用:15,000~25,000ドル
ウクライナの代理出産エージェントは、下記のようなサポート、管理監督、調整を行います。

 翻訳や通訳
 送迎の手配
 宿泊先(ホテルやアパート)の手配
 体外受精プログラム前の両親の健康診断
 両親の遺伝子検査
 代理母の募集、面接、検査
 代理母との契約書の作成と公証
 クリニックや産院の管理
 卵子提供や体外受精の管理
 卵子提供者の選択と報酬
 精液と胚の凍結保存
 代理母への報酬と支払い
 代理母の妊娠中の生活費の補償
 代理母の医療サポート、心理サポート
 代理母の出産時の立会い
 代理母の退院時の手配と調整
 子供の出生証明書受領時の管理と法的サポート
 領事館訪問に必要な書類に関する情報提供
 子どもの国籍取得およびパスポート取得に必要な書類の準備
 書類の翻訳とアポスティーユ

・代理母マッチング費用:2,000~3,000ドル
ウクライナは、以前と比べると、優れた代理母を探すのに時間と費用を要します。それに伴い、エージェント料金とは別に代理母マッチング費用がかかるケースが増えています。

・代理母への報酬:22,000~29,000ドル
ウクライナの代理母価格は上昇傾向にあります。特に代理母の経験がある女性は人気です。

・代理母への追加手当て:4,000~10,000ドル
双子、三つ子、予定外の帝王切開などには手当てを支払います。

・卵子提供+体外受精(IVF)、胚移植費用:前項に記載

・出産費用、追加医療費:4,000~10,000ドル
ウクライナの代理出産エージェントは、国立産院と私立産院との両方と業務提携していることが多いため、予算に応じて選択が可能です。私立産院のほうが高額になります。

・パスポート等の書類手続き:3,000ドル
アメリカと同様にウクライナの場合も、外国人の両親は、帰国するために赤ちゃんの国籍やパスポートを取得しなければなりません。各種書類作成や手続きは法律家(弁護士や公証人)と行います。

・法的(弁護士)費用:3,000~5,000ドル
ウクライナの代理出産サービスでは、最初から最後まで弁護士が活躍します。代理出産やその他の高度生殖補助医療に精通した弁護士となります。

◆ウクライナの卵子提供+体外受精+代理出産 トータル費用

卵子提供+体外受精:7,400~14,000ドル(平均値 10,700ドル)
代理出産:49,000~85,000ドル(平均値67,000ドル)
______________________
合計費用:56,400~99,000ドル(平均値77,700ドル)

2024年の為替レート(1ドル≒155円)で計算をすると、
合計費用:8,742,000~15,345,000円(平均値12,043,500円)

◆ウクライナのまとめ

ウクライナは、不妊治療の中の高度生殖補助医療(ART)、特に卵子提供、体外受精、代理出産が進んでいる国です。お客さんはウクライナ人よりも、欧米からの外国人夫婦が大半を占めています。ウクライナがこの分野で人気を博している理由は、

・法整備が整っていて完全なる合法で進めることができる
・近代的な不妊治療クリニックが多い
・アメリカと比較すると料金システムがシンプルで分かりやすい
・アメリカと比較すると料金が安い
・質の高い卵子ドナーが豊富
・質の高い代理母が豊富
・サービス提供者のサービス精神が旺盛
・人種差別が非常に少ない

などが挙げられます。

一方で、ウクライナは2022年2月24日にスタートした戦争により、各方面で制限や不安を感じる場合があります。例えば、2024年時点で、ウクライナ国内の空港は利用できないため、ウクライナ国内に入るときには、ポーランドなどの隣国経由で、電車やクルマで入国する必要があります。また、代理母さんが戦地の近くに住んでいる場合、被害を受けないか心配することになります。
※2024年4月現在の調査による金額

卵子提供プログラムは最大75%

卵子提供は、不妊との闘いにおいて素晴らしい結果を示しています。不妊症に悩み、様々な不妊治療を試してきたものの、結果を伴うことができなかったつらい経験をお持ちの夫婦にとって、卵子提供プログラムは、待望の子供を妊娠・出産するためのこの上なく効果的な方法であると言えるでしょう。卵子提供プログラムは、着床可能性の高い健康な卵子を使用するため、妊娠成功率は最大75%にのぼります。もちろん、自身のお腹の中や代理母さんのお腹の中に、新しい命が誕生するまで疑念は消えないでしょうが、これまでとは比較にならないほど期待値も大きくなっていくことでしょう。親になるための終わりのない試み(不妊治療)に疲れたすべての夫婦は、代理出産を含む卵子提供プログラムにいつでもお越しになることができます。

卵子提供に伴うリスク

卵子ドナーにとってのリスク

卵子提供者(卵子ドナー)に対する処置や投薬は、一般的な体外受精(自分の卵子を使用した体外受精)で使用される処置や投薬と同一です。したがって、卵子提供者にとってのリスクは、卵子回収手順による出血や、卵巣過剰刺激症候群(OHSS)、過排卵(複数の卵子を産む)を誘発するために使用されるホルモンに対する反応、肝不全など、体外受精による合併症のリスクがあります。

親になる人にとってのリスク

レシピエント(卵子提供を受ける女性自身や代理母さん)が伝染病にかかるリスクは最小限ですがあります。例えば、ドナーはHIV検査で陰性であった場合、検査当時に陰性であっても、ごくごく最近HIV感染した可能性を排除しきれるものではありません。つまりレシピエントは少ないながら残留リスクに直面します。そのようなリスクを軽減するために、ドナーの卵子提供数日前に再検査を受けてもらったり、卵子提供者の親密なパートナーにも検査を受けてもらうことがあります。

国ごとにルールが異なるリスク

卵子提供に対する考え方や法律は国によって大きく異なります。例えば、完全に違法である国(イタリア、ドイツなど)もあれば、匿名かつ無償(つまり卵子提供者への補償や報酬無し)である場合のみ合法である国(フランスなど)、無償である場合のみ合法である国(カナダなど)、匿名である場合のみ合法で卵子提供者は補償を受けることもできる国(スペイン、チェコ共和国、ウクライナ、南アフリカ共和国など)、匿名でない場合のみ合法で卵子提供者は補償を受けることができる国(イギリスなど)、匿名であるかどうかにかかわらず合法であり、卵子提供者は補償を受けることができる国(アメリカなど)、法律で禁止されてはいないが実施するためのルールが整備されておらず実質的に受けることができないという認識が定着している国(日本)などです。また、ルールはしばしば変更を伴うため、利用時点での確認が必須です。

卵子提供で生まれた子供の遺伝子(DNA)

卵子提供で生まれた子供のDNAには、卵子提供者の女性(卵子ドナー)のDNAと、精子を提供した男性(父親)のDNAが含まれます。卵子ドナーの卵子を使って妊娠し、出産をした女性(代理母さん含む)のDNAは含まれません。

代理出産を含む、卵子提供で生まれた子供の遺伝子(DNA)について、ほとんどの心理学者は、幼い頃から子供に対してオープンで正直であることを推奨しています。自分の遺伝的親が誰であるかについての生涯にわたる理解を覆すことは、親への信頼に傷をつけてしまうこともあるからです。

卵子提供に関するFAQ

Q、卵子提供に最適な国はどこですか?

 A、卵子提供の単体で考えるとスペイン、ギリシャ、チェコ共和国は人気です。卵子提供を受ける形での代理出産を考える場合にはウクライナ、ジョージア、カザフスタンが人気です。

Q、ウクライナでは卵子提供は匿名で行われますか?

 A、はい。ウクライナでは卵子ドナーは匿名で登録されます。

Q、卵子提供に最適な年齢は何歳ですか?

 A、20~29歳までの心身ともに健康な女性です。

Q、ドナー卵子の方が成功率が高いのでしょうか?

 A、はい。一般的には厳しい基準をクリアしたドナー卵子のほうが妊娠成功率は高くなります。

Q、卵子提供が必要になる年齢はいくつですか?

 A、平均で、40~45歳以上の女性です。

Q、卵子ドナーはどうやって選ぶのですか?

 A、卵子提供による体外受精を進めたい夫婦にとって、ドナー女性の体重、身長、目の色、髪の色、血液型、国籍、人種、学歴、職業や趣味まで気になります。もちろん、各種健康診断や遺伝子疾患等の検査はオールクリアしていることが大前提となります。

Q、卵子提供のデメリットは何ですか?

 A、重篤な合併症として考えられるのは、出血、感染、腸や血管の損傷などです。極めてまれな状況ですが、内臓の損傷を修復するために手術が必要になることがあります。

Q、タトゥーがある場合でも卵子を提供できますか?

 A、通常、卵子提供者は、卵子提供を開始する前の12ヶ月の間にタトゥー、ボディピアス、輸血を受けてはなりません。


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