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#フランス

発音の矯正、発語の強制〜三浦基演出日記【音声配信】

海外ツアー通信 その3 それはmakitaの差

今回上演をしたのは、フランスのエヴルーという街とポーランドのラドムという街。どちらも郊外にある、公共の劇場でした。ヨーロッパの中心に君臨してきた(と言ってよいと思われる)フランスと、東欧のポーランド。言語の違いも文化の違いも当然あるのですが、旅する劇団として現場で味わった違い…、それは端的に言って、インパクトドライバーの違い、でした。 今回、舞台装置は日本から送ったのですが、総重量550kgほどの装置は、いずれも100kgほどの木材でいかつく梱包されて二個口に。この梱包を荷

家畜にもなれなくなった今〜三浦基・演出日記(ポーランドから)【音声配信】

海外ツアー通信 その1 チェーホフの台詞といっしょに歩く外国のまち

『ギャンブラー』フランス・ポーランドツアーも、3分の2が過ぎ、エヴルー、パリ、クラクフを経てラドムにやってきました。地点の海外ツアーは2019年のノルウェー・オスロでの公演以来、ほぼ3年ぶりになります。 今回、メンバーの多くがいつもよりひどい時差ボケに悩まされている様子。久しぶりの海外だからなのか、コロナを経て、子育て中のメンバーも増えたため、夕方17:30には稽古が終わるという完璧に昼型の生活に慣らされていたためか、あるいは歳をとったからなのか……。諸説ありますが、それで

サンドウィッチとは立って食べるものだった

もう20年も昔になってしまったが、フランスはパリ郊外にあるナンテール劇場で研修していた頃、私はサンドウィッチを座って食べることがなかった。劇場の中二階にあるカフェテリアは本番がない時間帯でも常にオープンしていて、劇場スタッフや関係者の胃袋を一手に引き受けていた。休憩時間には日本からやってきた演出家の卵を珍しがってか、方々のテーブルから呼び出されては、稽古の感想や昨日見た演目についてどう思ったのかを聞かれるのである。 当時の私は毎日のように劇場に通っていた。2年間の研修期間中