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#劇場

海外ツアー通信 その3 それはmakitaの差

今回上演をしたのは、フランスのエヴルーという街とポーランドのラドムという街。どちらも郊外にある、公共の劇場でした。ヨーロッパの中心に君臨してきた(と言ってよいと思われる)フランスと、東欧のポーランド。言語の違いも文化の違いも当然あるのですが、旅する劇団として現場で味わった違い…、それは端的に言って、インパクトドライバーの違い、でした。 今回、舞台装置は日本から送ったのですが、総重量550kgほどの装置は、いずれも100kgほどの木材でいかつく梱包されて二個口に。この梱包を荷

ノルウェーのニーノシュク〜『だれか、来る』(2019)

ノルウェーの劇作家、ヨン・フォッセ。毎年ノーベル文学賞候補にあがっていることは日本ではあまり知られていないかもしれません。 地点は京都移転前の2004年に『ある夏の一日』『眠れ よい子よ』『名前』の三作品を本邦初上演。同時期には、今は亡き太田省吾さんがフォッセの代表的戯曲『だれか、来る』の本邦初上演を手がけました。 2018年にアンダースローのレパートリーとして、再びフォッセ戯曲に取り組んだ地点。翌19年に、オスロのDet Norske Teatretが主催するフォッセ・

サンドウィッチとは立って食べるものだった

もう20年も昔になってしまったが、フランスはパリ郊外にあるナンテール劇場で研修していた頃、私はサンドウィッチを座って食べることがなかった。劇場の中二階にあるカフェテリアは本番がない時間帯でも常にオープンしていて、劇場スタッフや関係者の胃袋を一手に引き受けていた。休憩時間には日本からやってきた演出家の卵を珍しがってか、方々のテーブルから呼び出されては、稽古の感想や昨日見た演目についてどう思ったのかを聞かれるのである。 当時の私は毎日のように劇場に通っていた。2年間の研修期間中

ヨーロッパでもアジアでもない食堂

あれはどこの劇場だったのか。テーブルには花柄のクロス。サリャンカと呼ばれるトマトとソーセージの刻んだものが入っている酸っぱいスープ。それに黒パンを浸して食べる。食堂のおばちゃんは無言でヨーグルトをテーブルに置く。それをスープにかけろと目で言っている。酸っぱいスープはさらに酸っぱくなって病みつきになる。その魔法のヨーグルトは、スメタナと呼ばれるサワークリームで、ここの人たちはたいてい、何にでもこれをかけて食べることを知るのは、後になってからだ。そう、ここはロシアのどこか地方の劇