パピコって聞くと ピノコを思い出してしまう。
ブラックジャックの。

語感が近いからだけだと思うのですが それにしたって毎回思うからもう私の中でコーヒー味のアイスと無免許天才医師の助手はセットに、いやほぼイコールで結ばれてしまっている。
というかピノコがパピコでいいし、パピコがピノコって名前でもい。いいってなんだ。

ゴディバって聞くと なんか北斗の拳の擬音っぽいなぁ と思ってしまう。
なんというか殴られている時の音と「ひでぶ」「あべし」系の叫び声が合わさった感じ。

相当重い拳だと思う。たぶん背骨折れてる。

パイの実と聞くと なんかエロいなと思ってしまう。
これは語感もあるけど無意識のうちに「パイのみ」と変換してて風俗のオプション的なものをイメージしてしまうからだと思う。パイのみ70分6000円的な。

パーリーピーポーは ウーパールーパー的な珍しい生き物を想像してしまう。たしかに生体的には近しいところがある気がする。
言語道断 という四字熟語を聞くとなぜか浦安鉄筋家族を思い出してしまう。しかも初期の頃の。
レンタルなんもしない人 という単語を聞くとセンチメンタルジャーニーと同じ区切り方を頭の中でしてしまう。ほんとにただしてみてるだけなのですが。

語感やら文字数やら言葉の持つイメージやら
それらを取り外す作業を毎回出来るほど脳ミソが発酵しているわけでないのですが、たまにぼんやりとそれらが絡みついてほどけなくなる。

発している言葉は鳴き声に過ぎず
書いてる文字は足跡に過ぎず
これらの羅列は異星人から見たらただ落書き
いやマーキングという意味合いの排泄行為に過ぎない。

世代差はあれどそこに落っこち転がっている成分は足の踵の角質、エビフライの尻尾、浜辺に落ちてる使用済みコンドーム、田中邦衛のモノマネ、死んでから売れたゴッホの絵 どれもそこに本質的な価値は無い。

ただなんか面白い。
なんか面白いだけに過ぎない。

こういう文字の解体を頭の中でしてると思い出す事がある。

私の父の言葉だ。

私が3〜4歳くらいの頃
まだ言語と交流と関係と間合を覚えて使いこなせてなかった頃。
父親に怒られた事がある。

それは自宅でテンションが上がってた私は相手の気分やテンポを考えず 子供特有の延々と同じ事を繰り返すコミュニケーションを図っていた。

もうなにを喋ってたか覚えてないが確か父親に同じ種類のギャグ、絡み方、リアクションの強要、かまってちゃん精神を繰り出していたのだ。

私の高揚感がMAXに達していたであろうその時いずれ訪れるダムの決壊。

私は急に怒鳴られた。

「うるさいな!もうやめろ!」

その時父親に言われた言葉が今でも鼓膜に響く。

「お前は考えないでものを喋り過ぎだ!もうちょっと考えてものを喋れ!わかったか!?」



私はどうやら考えずにものを喋ってるらしい。
そしてそれがどうやらあまり良くないらしい。
確かに中身の無い事を連射していた。
それに我が父はご立腹みたいだ。
さっきまで笑ってたのに。
すごい形相だ。こえぇ。
この空気なんか言わなきゃ場は収まらないっぽい。
なんて言おう。なにを言おう。
なんか 考えずに喋る事に対して怒ってるからとりあえずこれからは考えて喋るという事にするという同意の意思を示せばいいのか?
いやでも待てよ。
それって考えずに相槌打ってるだけじゃないか?
考えて喋れって怒られてるのにそれに対して
はい。考えて喋ります。って返し
考えずにものを喋り過ぎじゃないか?
本人が意図してない壁圧にただ面倒臭いから納得せず屈服してるだけじゃないか?
あぁぁ でも確かになんかよくわからないけど謎のそのなにかに押し潰されそう。息苦しい。逃れたい。なんだか早くなにか言わないといけない気がする。どうしよう。どうしよう。どうしよう。…

私は2秒くらい黙った後に

「はい」と答えた。