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【リンカイ! #1】競輪プロ○○○○○○○アニメ

※この記事は「リンカイ!」について書く全3部作となる予定の第1部です。

0.はじめに・プロバガンダとは

プロバガンダとは、特定の思想・世論・意識・行動へ誘導する意図を持った行為の事である。(ウィキペディアより)

こんにちわ、リンカイ!ファン半年のツルオカです。
前回の艦これの記事にたくさんの閲覧、スキマーク、他SNS上でのご感想頂き、ありがとうございました。
そのおかげもあり、いろいろと実績解除のバッヂを頂きました。ちゃんとエゴサしてるぞ☆

さて今回は、2024年4月期よりテレビアニメが放送された「リンカイ!」のお話です。
これを機に、色々と競輪の世界を感じていたら、相当量の文字数になってしまったので、ここでは「リンカイ!」そのものと、アニメ放送への所感に重きを置いて書いていきます。

最後まで宜しくお願いします。

1.「リンカイ!」とは

『リンカイ!project(以下「リンカイ!」)』とは、MIXIによる女子競輪を題材にしたキャラクターコンテンツです。
プロジェクトは2022年12月末に始まり、2024年4月期にはテレビアニメ化がされ、今もなおファンからの注目度は高い、メディアミックスコンテンツです。

テレビアニメだけでなく、コミカライズや声優さんによるYouTubeチャンネルでの生放送、Twitterのスペース機能を用いた音声の放送もあれば、各地の競輪場の開催時にはブースの出展もあり、キャラクターのパネル展示、キャラクターグッズなどのガチャ・販売も行われています。
※有識者の方、テレビアニメ放映以前の取り組みで、上記以外に過不足あれば、お手数ですがコメント等でご教授願います。

公式アカウントのツイートから、ある程度調べてみましたが、間違いがなければ2022年のグランプリ(年末総決算の最高位のレース)にもブースを出展してるんですよね。早々攻めてますね。S取ってますね。

2.アニメ「リンカイ!」について

テレビアニメ「リンカイ!」は先述の通り2024年4月に全12話によるアニメ放送がなされ、放送の延期トラブルもなく、無事に全話放送されました。
自分もこの放送…ではなく、ニコニコ動画での配信をきっかけに「リンカイ!」を知りました。
※テレビ放送の延期はありませんでしたが、ニコニコ動画での配信は外部攻撃によるサービス停止に伴い、終盤の配信が9月まで延期となりました。

ニコニコ動画にて配信の第2話より一部スクショ(コメント付き)
ニコニコの配信では一躍人気者のキャラ、磐城平颯来(いわきたいら・そら)ちゃん
小さい身体ながらも食欲旺盛、作中屈指のスタミナお化け
どこのカットでも口がでかい

そもそも知ったきっかけが、同作品で声を務める杉山里穂さん、高橋雛子さんの出演を知った事です。

高橋雛子さんは、元広島カープの高橋慶彦さんのご息女という事で元々存じていたのですが、なかなか大きな作品に恵まれず、名が知られないのが寂しいところでしたので、大変嬉しい起用でした。

杉山さん自体は、主演作品であった『波よ聞いてくれ』で知ったのですが、この作品は、主演の杉山さんを始めとしたキャストの方々の演技に、自分のアニメに対する考え方が変わる程に衝撃を受けた作品ですので、原作マンガ・アニメ共々おススメしておきます。
これについても、いつか記事に起こしたいですね。

杉山さん・高橋さん本位で見ていた「リンカイ!」でしたが、次第に作品に引き込まれて今に至ります。脳が焼かれました。
「リンカイ!」に脳を焼かれて約半年、YouTubeで各地の競輪場がライブ配信されていますので、それらをBGMがてら、在宅勤務の時には眺めたりしています。

この作品のどこがよかったかと聞かれたら、競輪の世界を描き切った脚本でしょうか。
また、どういう人にアニメ「リンカイ!」が刺さるかと聞かれると『スポーツドキュメンタリーが好きな人』と自分は答えます。

一例として、2023年のWBCのドキュメンタリー映画『憧れを超えた侍たち』を挙げていますが、以前から各プロ野球球団発信でシーズンを振り返るドキュメンタリー映画やDVDが世に出ていますので、それらを見た経験があったからこそ、競輪に詳しくなくとも、途中で見限る事なく「リンカイ!」に最後までついて行けたのかなと思っています。

大まかなストーリーとして、主人公ら登場人物達が生で見た競輪と憧れの競輪選手のバキバキの肉体に感化され、競輪選手になるぞと養成所へ受験、入学、厳しい訓練や鎬の削りあいを経て、養成所を無事に卒業。
卒業後、プロの競輪選手となった各登場人物がそれぞれの視点で「ルーキーファイナル」と呼ばれる、世代の新人最強決定戦のレースへの出場を目指す、というのが12話分の流れです。

この「プロの競輪選手となって」からがこのアニメの本番ですよといった所があり、競輪の世界が競輪ファンも納得する程にしっかり描かれています。
養成所にいる間のお話も「どういうプロセスを経て競輪選手になっていくのか」を描いている為、こうやって選手になるのだと、実情を知らない自分にとっては新鮮でしたし、面白くない・つまらない事はないと思います。

なお、アニメの監修として(更には声優としてほぼ本人役で出演もされました)元女子競輪選手の高木真備(たかぎ・まきび)さんが参加されており、この方の参加があったからこそ、現実に近い女子競輪アニメが描けたのではと思います。
実際、高木さんの選手人生のアウトプットのような所もあるのかもしれませんね。

EDが好きな人が多いようですが、自分はOP派です。イントロすき

3.アニメ放送の外部的評価とそれに対して

そんなアニメ「リンカイ!」
自身は高評価だったのですが、いざ他の方の評価はどうだったのかというと…

酷評なんですよね、ええ。

これらの所感としては「そこがメインじゃないんだよなあ」という的外れレビューや感想を喋る茶番劇しかありませんでした。
マグロのお寿司を食べるのに、シャリを口にして「この寿司はまずい!」と言ったり、パッケージを見ただけで「このおにぎりはダメだ」と言ってるようなものです。
果てには「競輪プロバガンダアニメ」とまで呼ばれる始末。ファンにとっては逆に名誉らしいです。
いちいち突っかかるのも大人げないので、この場でより詳細に所感をお話ししたく思います。

この先、配慮はしますが、作品のネタバレとなる文言がある可能性がありますのでご注意ください。

①見どころは脚本

先述しましたが、このアニメの見どころは、競輪の世界を描いた脚本です。
軸が「実際の競輪の世界をアニメーションで表現する」に重きを置いているので、展開に大きなブレがありませんでした。

養成所の入所まで3話も使って長いかな?と思ったのですが、2話で主人公達が「トラックサマーキャンプ」という、自転車競技への理解を目的とした女子競輪の夏季イベントに参加します。
現実世界では「トラックサイクリングキャンプ」と称され、アニメ放送後の2024年8月に物語の主な舞台となった伊豆と、9月に松山で行われました。
※伊豆と書かれていますが、写真からして伊東温泉競輪ではなく、修善寺の養成所かと思われます。

トラックサイクリングキャンプ紹介の為の2話と考えたら、入所まで3話を要した点は理解できるかなと思いました。

入所してからは、ただ自転車に乗って練習するだけでなく、座学や筋力トレーニング、自転車へのメンテナンスなど、実際の養成所で行われているであろう授業や訓練、過酷な成績反映が描かれており、細かい下調べをされた事が伺えます。

ニコニコで配信された第5話より(コメント付き)
白>黒>赤>青 帽子の色でランク付けされる厳しい世界
ここにはいませんが、金色帽子は白より上の優等生の証
白より上は報奨金がもらえます
上の画像の直後のカットより、リンカイ!のアイドル
この怒涛の赤文字コメントが毎回の楽しみでした
ちなみ第5話放送前に、いわき平競輪にてG1レースが行われていました

その合間にはパリオリンピックも近かった事もあり、自転車競技のナショナルチームの存在についても触れるシーンがあるのですが、あくまでも競輪に沿った事を意識してか、一部のキャラクターが興味を持つ程度に抑えて、描写は控えめだったのは、パリオリンピックが近かったとはいえ、どっちつかずにならなくてよかったかなと思います。
※この理由については12話ラストで言及されているのではと思っています。

終盤については、よりプロの競輪の世界を描いており、放送当時でも「よくぞ描いた」「その脚本にGOサインを出した決断に敬意を表する」などといったプロスポーツに見られがちな、キラキラした世界だけにしなかった点は、本当によかったと思います。
上述の、スポーツドキュメンタリーが好きな人には刺さると書いた理由は、ここも当てはまるかと思います。

最終回のレース結果を予想させる企画もよかったですね。私は見事に外しましたが。

全体の総括として、度々申し上げますが、脚本や構成が本当に素晴らしく、可能な限り競輪の世界を描いた点は賞賛してよいと思います。
「競輪選手ってこういうものなんだな」と知見を得られる作品であると強くおすすめします。

②レースシーンの作画、CGの弱さ

続いて唯一の短所についてですが、レースシーンのCGが未熟だった点です。

見て頂ければわかるのですが、キャラクターの線が皆細く、レースの迫力に欠けています。
女性とはいえアスリートなので、もう少し身体の厚みやスピード感を出してほしかったですね。
個人的な所感として、公式サイトのプロフィールを見るとわかるのですが、キャラクターの体格はそれぞれ異なりますので、その差が顕著に描ければ、キャラ同士の描写の解像度がもっと上がるような気がしました。

4番車のキャラAと7番車のキャラBがデッドヒートをしていたとして、AとBで描かれているのではなく、4番車の青のユニフォームの選手と7番車の橙のユニフォームの選手として描かれていて解像度が弱い、と書けば伝わるでしょうか。

アニメーション制作を担当した『トムス・エンタテインメント第6スタジオ』は調べたところ、2022年から発足した制作部署のようで「リンカイ!」はテレビアニメ作品では2作品目にあたります。
他の部署からのノウハウを享受して「リンカイ!」に限らず、今後の作品制作に期待したいところです。
※第6スタジオさんについてはざっと調べたことなので、誤り等あればコメントでご指摘ください。

③別に他作品にあやかる気は毛頭ない(と思う)

アニメ自体の評価ではなく「リンカイ!」そのものの評価の話になるのですが、同じく公営競技を元ネタにしている「ウマ娘」との比較、自転車競技繋がりで「弱虫ペダル」との比較が散見されました。

ここにはハッキリ言っておきます。
全然違うでしょ、見りゃわかるでしょ、と。

ましてや、リンカイ!が上述2点の作品を目指そうとしているかと言うと、そんな事は全くないと思っています。

競馬・競輪は公営競技であるのは、皆さんご存じかと思います。
ウマ娘では意図はわかりかねますが、ギャンブル要素はナーフされ、プロ野球やJリーグのようなスポーツエンターテイメントの一つとなっています。
※ナーフの理由をご存じの方、ご教授ください。

話が逸れるので手短に。
ナーフされた事に否定的ではなく、端的に考えるとウマ娘は「金を賭けるより夢を賭けている」点に重きを置いたのではないかと推察しています。
いろんな人が関わって馬が走っている事を表現したいのかなと。
あなたの夢、私の夢が走ります。

話を「リンカイ!」に戻して、こちらはギャンブル要素にちゃんと寄り添った内容となっています。
作中でも「お客のギャンブルの上に選手はいる」と選手・視聴者に説くシーンが何度かあり、このシーンが発言したキャラ(一部)も相まって競輪ファンに受け、アニメ屈指の名シーンの一つとされています。

また現実として調べてみると、2022年の競輪の売上の総額が約1兆円。
そのうち、実際にレース開催中の競輪場へ足を運んだ人による投票(賭けられた)額は約150億円と、全体の2%しかありません。
8割近くがネット投票、残りが他競輪場のレースへ間接的に投票する「場外投票」となっています。

一方の競馬はその約3倍となる、約3.2兆円。
稼ぎは多いに越した事はありませんが、JRAが今以上に賭けへの入口を増やす必要もないと考えているのでは、と思っていたりします。
比較してこれが上だ下だとするのが意図ではありませんが、調べてみると競輪は動いているお金の量は他と比べると少ないのが現状です。

JRAもとい、国が管理する競馬とは違い『競輪場は各自治体の所有物である以上、この「2%」を少しでも上げたい』
だからこそ、賭ける事を包み隠さず書いた事は「リンカイ!project」の真意の一つなのではと考えています。

弱虫ペダルは作品こそ知ってますが、サッカーとフットサルを比較するような的外れと称して割愛します。

競輪プロバガンダアニメ?
いいえ、競輪プロフェッショナルアニメです。

4.今後の理想・展望

直近の話で言えば、アニメの2期でしょうか。
アニメ放送終了後、秋頃から月に1度のペースで新キャラが追加されており、2期放送の有無を問わず、プロジェクトの拡充がなされているのが現状です。

第2期のテレビアニメ放送があるとしたら、彼女のファンには申し訳ないのですが、別に伊東泉ちゃんが主人公でなくてもいいと思いました。
演じる川村海乃さんや伊東泉ちゃんが嫌いなのではなく、1期の脚本から見るに「誰が主人公に置かれても、相応に良い物語が描かれる」確信があるからです。

各キャラクターのプロフィールを見るに、弥彦ちゃんの元アイドル、那古屋さんの令嬢など、選手を志す背景が皆それぞれ、ちゃんと芯として立っているように思っています。
なおかつ、その背景を選手としての個性に強く影響されていないのも個人的にはGood。

それから、選手規模からしてなかなか実現は難しいと思いますが、女子競輪の開催時にも、男子競輪並みの展開をやってほしいですね。
この点は実際の女子競輪の協力も必要なのでしょうか。

展望を考察するきっかけの一つとして、アンケートを実は取っていたのですが、それはこの記事内で書ききれなかった為、別途書かせてください。

5.余談・メイン声優の川村海乃さん、葵あずささんに対して

「リンカイ!」本編に対する所感とは逸れるのですが、アニメではメインキャストを務め、プロジェクトで登場したキャラクターの1番手と2番手である、伊東泉役の川村海乃さん、平塚ナナ役の葵あずささんに対して、いくつかの考えがある為、そちらを述べていきます。
結論から言いますと、この2人のキャスティングには物凄く気合い入れてたんじゃないかな、と。

まずは、平塚ナナ役の葵あずささんから。

葵さんは「リンカイ!」で初めて知ったのですが、お父様の多田司選手は2024年1月まで競輪選手で、引退時は60歳でした。という事は葵さんの本名は
競輪選手に定年は無いようですが、平均的に40代での引退が多いようなので、相当長いプロ選手生活を送られてきた事になります。
葵さん自身も現役選手としてのお父さんを長いこと見てきたかと思います。

で、その葵さんなのですが、アニメの収録にあたり、お父様の現役時代での経験や考えを共演者の皆さんにアドバイスし、アフレコの参考にしたとされているんですね。
競輪選手を父に持つ葵さんの起用は、プロジェクトのスタートダッシュとして、大きな期待が寄せられていたのではないかと思っています。
この経験がアニメ放送成功の一因としてもよいでしょう。
今回の「リンカイ!」に留まらず、これからの多くの作品の出演へのきっかけとなればと思います。

続いて、伊東泉役の川村海乃さん。

川村さんは、この記事を書いている2024年11月現在では、声優さんではなく、俳優さんとしてのキャリアの方が長い方なんですよね。
上記のWikipediaより調べてみると、かなり名のあるドラマや舞台、有名企業のCMの出演をされています。

どういう経緯で声優のお仕事も始めたかはわかりませんが、舞台やドラマの経験が活きているのか、人に見られる仕事・芝居については、他の声優さんと比べて、胆力があるように思えました。

そんな事を思ったのは、2024年9月に放送された「リンカイ!」のYouTubeチャンネルでの生放送、アニメ放送終了後から初となり、アニメ放送前の3月以来ご無沙汰だった『リンカイ!LIVEきゃんぷ』の第12回。
MCは川村さん、ゲストには新登場となる栃木県は宇都宮競輪のキャラクター『宇都宮鳴(うつのみや・めい)』さんを演じる、八巻アンナさん(新キャラクター及び演じる声優さんは放送前まで伏せられた状態でした)を迎えました。

アニメ終了後初の生放送・新キャラ追加の予告、更には機材トラブルで放送開始が大幅に遅れ、あたかもゴール前の観客のような温度の高い怒涛のコメント欄に八巻さんはついてこれず、演じるキャラは元ヤンキャラなのにオロオロした様相を見せます。

そんなコメントの熱気に崩れることなく、川村さんはしっかりとMCの仕事を進めていき、余裕のある表情を見せてきます。
「よしよしリンカイ!ファンはこうでなくちゃあなフヘヘw」
「はいはい八巻は私が引っ張ってやっからなハハハw」
そんな気概を感じました。

そんな剛腕MCからふと思い、調べてみたら川村さんこういうキャリアだったのかと知った次第です。
あの場慣れ感はキャリアが成してるものだ、となりましたね。

役者さんに限らず、過去の仕事の経験が別の仕事に役立つ事は、稀によくありますからね。
そういった、葵さん同様に先頭をSを引っ張っていく人として、川村さんの起用が考えられたのかなと思った次第です。

「リンカイ!」がどこまでも大きなコンテンツになっても、中心にはこの2人がいる姿が、長くあり続けている事を願っています。

6.最後に…したかったのですが

ここまでお読み頂き、ありがとうございます。

冒頭にも書いた通り、なんとこの記事は全3部作の第1部です。
2024年10月の書き始めから今に至るまでに「リンカイ!」から想像以上の供給があり、1つの記事で書くのは不可能となってしまう、嬉しい悲鳴が上がってしまいました。
という事で次回第2部は、実際に生で競輪とリンカイ!のブース・ステージを観に、人生初の競輪場訪問となる、東京都は京王閣競輪場へ行ってみた『リンカイ!リアイベ編』
第3部は、この記事執筆前に私的興味から「リンカイ!」ファンの皆様から募ったアンケートに対しての『アンケート編』を執筆予定です。

「リンカイ!」への心中はまだ始まったばかりです。

残り2つの記事も頑張って執筆しますので、お読み頂ければと思います。
※記事記載時にはリンクを添付します。

ここまでお読み頂き、本当にありがとうございました。