ホップについて③【ビール用語辞典】ホップにはいろいろなタイプやその他にも役割がある! クラフトビールがより楽しくなるコアな知識
今回はホップについてもう少しだけ深堀していきます!
過去2回に分けてホップについての”苦味”と”香り”についてお話していきました。今回は生ホップや色々なタイプのホップについてや、その他のホップの役割についてお話していこうと思います。
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生ホップとペレットホップの違い
比較的簡単に手に入るペレットホップが主流ですが、近年では自宅でホップを栽培しそれを使用してビールを作る方も増えてきているように感じます。
そもそもペレットホップと生ホップは何が違うのでしょうか?
ペレットホップは収穫後すぐに乾燥させて粉砕圧縮したものです。ホップをすり潰して圧縮するペレットホップは、乾燥工程により若干香気成分が揮発してしまっているものの、ルプリンもすり潰されるので、麦汁に溶け込みやすく香りが付きやすくなるといわれています。
それに対して生ホップは収穫したホップをそのまま、もしくは凍結粉砕してビールに入れます。ホップを乾燥させる工程がないため香気成分が揮発しておらず、ペレットホップではつけることができない新鮮な香りをつけることができます。
しかしながら生ホップには1つ絶対に気を付けなければいけないことがあります。それが生ホップに付着している微生物と細菌です。ビールの汚染対策が必要になります。
生ホップの使いかた
ビタリングホップとして使用する場合は、煮沸工程で投入するためそこまで気にする必要はありません。しかしながら発酵タンクにてホップを調乳する場合は汚染対策、つまりは生ホップの殺菌が必要になります。
生ホップの殺菌方法は60℃×10分以上(70℃以上推奨)が必須です。
殺菌方法としてはいくつかありますがここでは一番簡単な方法をご紹介します。
①4~5L/ホップ㎏の70℃以上のお湯を寸胴に用意する
例)ホップ10㎏の場合は40~50L
②大きな桶の中に70~75℃のお湯を用意
③①で用意したお湯にホップを投入、それを寸胴ごと②の桶に入れる
④かきまぜ、ホップ懸濁液が65℃以上になったら10分保持
⑤20℃以下まで温度を下げて液体ごと発酵タンクへ
ホップの保管方法
先述したように生ホップは乾燥をさせていないためなるべく早く使うことが必須ですが、ペレットホップも同じように保管方法によってはビールをダメにしてしまう可能性があります。ホップは基本的には要冷蔵品です。4℃以下で保管する必要があります。1度開封したものに関してはなるべく早く使いましょう。また、空気に触れさせることは酸化に繋がり、酸化したホップを使用するとビールの劣化及びオフフレーバーの発生につながるため、保管する場合は真空パックなどで空気に触れさせないようにしましょう。
CRYOホップ
最近ビールの説明で”CRYOホップ”という言葉を目にすることが増えてきたかもしれません。正式名称は”CryoHops®ペレット”で”Yakima Chief Hops”という国際的ホップサプライヤーや販売している商品です。
通常のペレットホップはルプリンと苞葉を一緒にペレット状にしたものに対して、CRYOホップは極低温のホップ処理技術を使いルプリン(ホップ粉)と包葉にわけ、樹脂と芳香油を含む全葉ホップの濃縮ルプリンのみで作られています。強烈なホップのフレーバーとアロマを提供するように設計されており、醸造者は収斂性のフレーバーや植物性物質を導入することなく、大量のアルファ酸とオイルを効率的に投与できます。
〈CRYOホップを使うメリット〉
・従来のペレットの約2倍の樹脂含有量
・強力なホップのフレーバーとアロマ
・ルプリンのみを抽出しているため、草や植物のような香りを抑える
・コスト削減とバッチあたりの収益の純増
ホップエキス
生ホップやペレットホップが主流であるクラフトビール業界ですが、今また新しいホップのタイプが出てきています。それが”ホップエキス”です。ホップのルプリンのみを抽出しエキス状にしたものです。そのなかでもホップサプライヤーの”HAAS”が販売している”INCOGNITO(インコグニート)”が日本では最も使用されているのではないでしょうか。
ホップエキスの最大の利点は何といってもバッチ当たりのロスの削減です。ホップエキスには固形物が含まれていないため、ホップが麦汁を吸い込んでしまったり、オリ引きなどでロスを生む心配が少なくなります。
使用はワールプール時で1,000Lに対し500g~2,000gが使用目安です。
アルファ酸も40~55%と非常に高く、ホップ特有の香りもきれいに出ます。
ホップはビールの泡にも影響する
ビールの泡ってなかなか消えないですよね。同じ炭酸が溶け込んでいるジュースに比べても泡持ちの良さは圧倒的です。ビールの泡は、ビールという液体に溶解している炭酸ガスが、気体となって液体から遊離・分散したものです。いわゆる「白い泡」としてビールの表面にとどまっているのは、炭酸ガスの気泡を包んで壊れないようにしている物質があるため、あのようにキメ細かく持続する泡ができています。
その主たる物質は、タンパク質(ポリペプチド)とホップ樹脂(イソフムロン)です。 炭酸ガスが細かな気泡になってビールから遊離するとき、その表面にタンパク質を付着させ、さらにその周りをホップ樹脂でコーティングするのです(実際には、タンパク質とホップ樹脂が結合して表面活性物質をつくつていると考えられています)。その結果、グラスにビールを注いだときに、泡立ちが目に見えるとともに、泡がしばらくのあいだ消えずに保ち続けます。
また、炭酸ガスは泡の形成(泡立て)を行いますが、ヘッドリテンション(泡持ち)には関係しません。したがって、泡消えの早いビールは炭酸ガスのレベルが低いのではなく、タンパク質やホップ樹脂が十分に備わっていないということです。
ウイートモルトを多用するヴァイツェンビールやIBU値の高いビールは泡持ち時間が非常に長いのは、前者は炭酸ガスを大量に含みかつタンパク質を多く含んでいるためであり、後者はホップ樹脂を多く含んでいるためでなのです。
ウィートモルトについては過去記事をご参照下さい。
次回は皆さん大好きHazyIPAの”濁り”について!
近年どこに行っても見かけるHazyIPA。その”濁り”についてお話していこうと思います!
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