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言葉が伝えるものと、言葉から感じているもの

大学で文学言語を専攻していました。

3回生以降は文学か言語に分かれてゼミに入ることになり、わたしはアメリカ近代文学に進んだんですが、言語の方も基礎は学びまして。

そこで言語にはverbalとnon-verbalという概念があると知りました。

日本語でverbalとは「文字どおりの・言葉の」という意味で、non-verbalっていうのはそれ以外の非言語の物を指します。


ありがとうが伝えるもの

たとえば、「ありがとう」って文字(言葉)からはどういうことが感じ取れますか?


ありがとうの意味は文字どおり(verbal)「感謝」の意味ですよね。


では、

              と
 り          りが う
あ がとう  と、  あ     


ではどうですか?


前者は標準語、後者は関西弁です。文字ではどちらも「ありがとう」ですが、実際の会話ではこうやって

イントネーション・口調・語気・感情・機嫌

などの言葉以外のものも言葉として伝わります。これがnon-verbal。


同じありがとうでも、

・あいさつがわりの「ありがとう」
・照れくさそうに伝える「ありがとう」
・しぶしぶ言う「ありがとう」
・ずっと言えなかった「ありがとう」
・尊敬する人から言われた「ありがとう」
・大っ嫌いなあいつの厭味ったらしい「ありがとう」

と、ありがとう以外の条件で「ありがとう」の意味は大きく変わるんですよね。


活字あふれるネット社会

若者の活字離れが叫ばれるようになったけど、メールやLINE・ブログなど、画面を通して活字を目にする機会は圧倒的に増えた。

いつでもどこでも世界中と繋がれるテキストベースのコミュニケーションはとても便利だけど、言葉の後に生まれた活字だけのコミュニケーションはnon-verbalを排除しているのでいろいろ気を付けないといけない。

純粋好意のからくる「ありがとう」なのか、厭味ったらしい「ありがとう」なのか、社交辞令の「ありがとう」なのか。


特に顔も見えない、会ったこともない人間相手のコミュニケーションだと、少なくとも人柄を知ってないと難しい。

なので、140字のつぶやき・30秒の動画・1ページの記事、これだけの世界にどっぷりつかる集中力が問われているように感じる。



好きで結婚した夫婦でもコミュニケーションって難しくて、思ってることが思ったように伝わらないなんてしばしばで。


コミュニケーションは「伝わりえない前提」だということを忘れずにいたい。






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