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あなたは人の話が聴けていますか?

いや、私の話の趣旨はそこじゃないんです……。
ええっと……話を聞いてほしいところが、なんか違うんだけど……。
うーん……返ってきたコメントのポイントがずれている……。

人と話している時、そう感じることはないだろうか。

私は、ある。
仕事のことで何かを相談したい時。
悩みがあって、人に話を聞いてもらっている時。
相手はよかれと思って、自分の意見やアドバイスをくれる。
ものすごく親切な気持ちでやってくれているのは、分かる。分かるのだけれど、いや……ちょっとソコじゃない……と思うことがある。

以前あった職場での出来事。上司との面談で、
「わかるわかる。私も疲れちゃって、休みの日には、一日何もできないようなこともあるよ。」
と、反応された。そのまま上司の休みの日の話になって、肝心の問題解決にはならなかった。

いや……聞きたいのは、あなたの休日の過ごし方じゃないんです……。

と、モヤモヤしてしまった。
相手からしてみたら、「あなただけじゃない」と慰めようとしてくれたのかもしれない。ただ、私は慰めて欲しかったわけではないのだ。
私の気持ちを理解しようとする言葉があると嬉しかった。
または、具体的に何をどう行動したら問題が解決するのか一緒に考えてほしかった。
何だかちょっとピントがずれた返事が続くと、最終的に相手に相談する気力を殺がれてしまった自分がいた。
自分が相手の話を聞く時には気をつけなければいけないと感じた瞬間だ。

そもそも「聞く」というのは、相手の言葉を額面通りに理解するだけでは足りない。例えば、家に帰った時、家族に、

「ただいま。お腹すいた!」

と言ったとしよう。字面だけを見ると、家族に【自分が空腹である】という状態を伝えている状況。けれど、この【お腹すいた】という発言の裏には、【だから、何か食べ物が欲しい】【だから、何か作って】【だから、何かスナックちょうだい】と言った欲求が含まれる。聞き手はそれを状況や相手の様子から読み取り、

「冷蔵庫にプリンがあるよ。」
「あとちょっとで晩ご飯だから、待って。」
「あ~。今すぐ食べられるものって何もないかも……。」

などと返す。
この「お腹すいた」の一言の裏に隠れているものが何なのかを見抜く能力、あるいは掘り下げるための質問をする技術って、すごく大切だと思うのだ。

相手の一言の【裏に隠れているもの】をおざなりにし続けると、相手からは、

「あの人に話したところで、どうせ何にもならないし……」

と判断されてしまうことになりかねない。
一度、そう判断されると、自分自身の信用にも関わってくる。
信用というのは、人間関係において非常に大切なものだ。
私生活においてもだし、ビジネスにおいても重要。西野亮廣さんは、著書の中で、これからは信用がお金を作ると語っている。(西野亮廣著「新世界」 第一章「貯信時代」(KADOKAWA)参照)

それに他者が信用できない、または自分が信用されない、というのは人とのつながりが薄くなってしまう可能性がある。人とのつながりが薄いと、人は幸福度が下がる。

そもそも「聴く」というのは、相手を受けいれるということ。

「聴す」
これを何と読むか、あなたは知っているだろうか?知った時、僕は驚いた。
「ゆるす」と読むそうだ。相手の話を真摯に聴くことを傾聴という。聴くという行為は、相手の存在自体を受けいれることでもある。だから「ゆるす」なのだと。

「コピーライターじゃなくても知っておきたい 心をつかむ 超言葉術」
阿部広太郎著 ダイヤモンド社 p,167から引用

誰もが他者を【受けいれ】、他者から【受け入れられる】ことができたら、日々のしあわせがちょっと増えると思う。

人の話を聴く時に、たった一言。
「そっか、つらかったね。」
「それは、うれしかったね。」
そんな相手の感情に寄りそう言葉が添えられるだけでも違うはずだ。

発せられた言葉の裏側にある相手の気持ちを聴こうとする。
そんなコミュニケーションを心掛けたい。

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