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【アラフォーぼっち】あなたの人生で一番大切な物語はなんですか。

是枝裕和監督作『ワンダフルライフ』(1998)という映画をご存じだろうか。

死後の世界を描いた映画である。
舞台は、死者が天国に行く前に必ず訪れる施設。
ここでは、生きている間に起こった出来事の中で、自分の一番大切な思い出のワンシーンをフィルム化するということが行われている。

映画は、比較的淡々と流れていく。
けれど、淡々と流れていくからこそ、私はこの映画を見ながら、登場人物たちにものすごく感情移入をした。
自身の人生の中で一番大切な思い出は何だろう……と、自分探しの旅をする人々。
施設の人たちは、死者の話を丁寧に聞き取り、そして実際に映像化するためのお手伝いをしていく。

映画そのものの内容については、ぜひとも、その美しい映像とともにストーリーをご自身で楽しんでいただきたいと思う。

ここで、あなたにお伺いしたいことは、

あなたの人生で一番大切な思い出は何ですか?

ということ。
これは、皆、一人一人違う答えがあるはず。
ただ、「ん?」何も思いつかない……。そう思われた方、いらっしゃらないだろうか。そんなあなたは、私のお仲間だ。

もちろん、アラフォーなので色々な記憶はあるのだけれど、

「人生で一番大切な思い出は何ですか?」

と、問われると、咄嗟に何も出てこないのだ。
映画を見ながら、それに気がついた時、正直に言って私は私に絶望した。
何も「大切な思い出」が思いつかないって、どういうこと?と。

今まで、何やって生きてきたんだろう……。
私の人生、なんて無価値なんだろう……。

そう、思った。

これが、約1年ぐらい前の話だ。

今は、ちょっと違う。
相変わらず、「一番大切な思い出」が、私には分からない。
分からないし、選べないのだけれど、

いや、ちょっと待って。私、まだ生きているよね?

と。今、決める必要なくない?と。
だからこそ、

”今”を大切にしていきたい。

と、考えている。”今"思いつかないのであれば、"今"を大切にして、これから作っていけばいいのだ。時間というのは、”今”という瞬間の積み重ねだ。

今、これをパソコンに向かって書いている”今”、私はこう思っている。
もしも、自分の気持ちを無視してしまって、辛い思いをしている人がいるのであれば、その人にこの言葉が届くといい。

私には、自分で自分のことを振り返らず、ただただ無理やりに感情を押し込めて、周囲の顔色ばかりを伺って日々を暮らしていた時期がある。
結果として、その間、とても辛い思いを抱えていた。
けれど、現在。
私は、できるだけ自分の気持ちに正直でいられるように、”今”を大切にすることを意識しながら生活している。
勿論、誰かを傷つけたり、不必要に迷惑を掛けたりしない、などの幾つかの大前提の範囲内で、だ。
そして実際、1年前に比べて、毎日が充実しはじめているし、何よりも楽しい。

そうやって、日々の暮らしを重ねていって、最終的に死に直面した時。

「ああ、いい人生だったな。一番大切な思い出……?うーん……。選べない!!だって、たくさんあるんだもん。」

そんなことを言って、人生最後の映画を作ってくれるスタッフたちを困らせられたら、実はけっこう最高なんじゃないかって気がしている。

それができるのは、今、この瞬間のあなたの選択次第。
あなたの人生、それ全てが、大切な物語。

↓「日々を丁寧に」を意識したきっかけ。


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