アクティブファンドはインデックスファンドに比べ何故不利になるのか?具体的に言えますか?

昨今、投資といえば長期・積立・分散投資が推奨され、買う商品としてインデックスファンドが押されています。

そのインデックスファンドと対比されるアクティブファンドはなぜ不利になるのか、あなたは正確に説明できますか?


初心者向け解説:アクティブファンドとインデックスファンドの簡単な解説

インデックスファンドとは?

日経平均株価やTOPIX100指数などの平均値に準じた動きを目指した投資信託です。
決められたルールに従って機械的に売買を行うことが特徴で、基本的に低コストです。
また、原則的に全ての銘柄を織り込んだ値動きになるので、常に平均値の価格を反映し続けてくれる特徴があります。

アクティブファンドとは?

事前に定められたアクティブファンドの運用目的に沿って、独自に株や債券などの情報を収集して独自に有価証券を売買し、インデックスファンドの成績を上回ることを目標とした商品です。
まず前提として、投資の成績のベンチマークはインデックスファンドの成績です。それをアクティブファンドが上回りより多くのリターンを顧客に提供するのがこのアクティブファンドの存在意義と言えるでしょう。

さて、インデックスファンドとアクティブファンドの違いについて理解できたところでアクティブファンドがインデックスファンドに劣る理由を解説していきます

インデックスファンドに勝つために求められるアクディブファンドのリターン「8.61%」

まずアクティブファンドとインデックスファンドでは、調査コスト・投資信託の構築にかかるコストに差が出ます。
インデックスファンドであれば指数に合わせて運用をするという方針が始めから決まっていますので決まったルールに従って売買するのみです。調査コストはほとんどかかりません。
また色々な会社で売られている同じインデックスファンドは投資を行う専門の会社に委託し一括的に投資することにより効率化を図っています(マザーファンド方式)。


一方アクティブファンドは、ファンドマネージャーがなんの銘柄を買うべきか調査する時間とコストをかけて判断を下すことになります。
また、投資信託を販売した会社ごとに運用チームが存在している為、一括化したことによるコスト低減がインデックスファンドより効きづらく比較的コスト増になる傾向があります。

つまりインデックスファンドと比較するとアクティブファンドは仕組み上不利にならざるを得ないという訳です。

インデックスファンドに対してリターンで上回るのがアクティブファンドの勝利条件だが、条件を満たすのはとても難しい

インデックスファンドはベンチマークになっている訳ですが、そのベンチマークに勝つためには以下の条件を満たす必要があります。

アクティブファンドの成績+販売手数料&信託財産留保額(購入時と売却時にかかる)+信託報酬(年間手数料) > インデックスファンド+信託報酬

※正式には投資信託を購入した時の手数料は販売手数料、売却時の手数料を信託財産留保額と言いますが、これ以降双方を合わせて売買手数料と略します。

全世界株式であれば過去100年の平均リターンは概算で7%程度です。そして信託報酬は0.05%です。合わせると全世界株式のリターンは「6.95%」という事になります。

一方でアクティブファンドの場合、売買手数料で2%~3%程度がかかります。ここでは平均を取り2.5%を売買手数料としましょう。
そして信託報酬でも1%以上は支払う事になる商品が多数を占めています。
売買手数料は買った時、そして、売った時に発生しますのでそこに投資信託の平均保有期間を求めれば年平均どれくらいの手数料を支払うのかが解ります。

投資信託の保有期間が長期化しつつある。2024年3月末時点で、ファンドを購入してから解約せずに継続保有している人の保有期間は全ファンドの平均で2.9年となり、10年前に比べて1年近く延びた。

日本経済新聞:投資信託の保有期間、長期化傾向が定着 より引用

この条件からおおざっぱに3年で投資信託を解約するものと仮定します。
すると、売買手数料として売り買い双方合計で年平均1.66%(2.5%*2(売り買い双方の売買手数料)/3(売却までの年数))がかかり、1年ごとの信託報酬として1%分支払うことになります。
つまり参考値として、年平均2.66%の手数料を支払うことになります。

この2.66%に全世界株式の平均リターンから手数料を差し引いた6.95%を足し合わせれば8.61%という数値が出てきます。
概算ではありますがこの8.61%がインデックス投資と肩を並べられる最低限度のリターンということになります。

これを安定的に毎年叩き出し続けなくてはならないのですからアクティブファンドの運営は至難の業と言わざるを得ないでしょう。

投資家と販売会社は利益の出方が違う。そして販売会社の利益が優先された歴史がある

投資家と販売会社は利益構造が違います。具体的には顧客が損をしても投資信託販売会社は信託報酬と売買手数料で利益を出します。顧客が特をしても信託報酬で会社は利益を産むという構造なのです。

投資家は実利でリターンを得るが、投資信託の販売会社はほぼ手数料で稼いでいる

先ほどの話しの内容を引用します。
アクティブファンドの一例としてどのような手数料がかかるのかおさらいしてみましょう。

アクティブファンドの場合、売買手数料で2%~3%程度がかかります。ここでは平均を取り2.5%を売買手数料、そして信託報酬でも1%以上は支払う事になる商品が多数を占めています。

この数値を元に顧客が得した時と、損した時に販売会社がどのような利益の出方をするのか考えてみましょう。

  • 投資家が得した場合…その投資信託を持ち続ける。そして信託報酬は預けている資産額に比例するので肥大化した信託報酬が販売会社に流れ込んでくる。

  • 投資家が損した場合…その信託を売り払う。信託報酬はその後入らなくなるが高めの販売手数料と信託財産留保額が入ってくる。

という構図です。投資家が損して損切りを行っても高い手数料が待ち構えているのです。

悪しき習慣、回転売買

そして怖いことに、損したら別の投資信託を勧め、得しても利確して別の投資信託を勧めるという悪しき習慣が証券業界で長いこと蔓延っていました。
上記の利益が確実に手に入る構造に加え、さらなるリターンの向上を考えると、何度も投資信託を売買させるのが最も儲かる手法であった訳です。

ちなみに新NISAにおいてはこの回転売買の勧誘自体が行政処分の対象になっているくらいです。
回転売買は投資家の利益を損なう悪しき習慣という訳です。
参考資料

目立つアクティブファンドは賞味期限切れな事が多い

巷で噂の銘柄・業界のアクティブファンドはつくられた頃にはピークを迎えている

アクティブファンドはまず売りやすく目立つ事が求められます。
ニュースで話題になったでも良いですし、記事や雑誌で有名になったという内容でも構いません。
よく解っていない顧客に儲かりそうだという説明が出来そうなファンドを用意しなくてはならないのです。目立った成績を伝えられない先見の明をもって投資するようなものを出しても食いつきが悪いでしょう。

さて話題沸騰なアクティブファンドを作ったとしましょう、しかし既にその信託自体が販売の始めから賞味期限切れになっている可能性が高いと考えられます。
理由は簡単、話題になって株価が上がったのを見てから投資信託を作っているので完成した頃には株価は上がりきっているのです。また記事や雑誌で取り上げられているということは価格上昇を伝える話になっているでしょうからやはり旬を過ぎている可能性があります。

プロは日々投資先をどうすべきなのか研究し監視し続け自己判断で投資を行っています。
話題性に後追いし投資信託が完成した更に後、記事かニュースか広告か、はたまた販売員に紹介された時点で旬は過ぎ去っていると見るのが妥当でしょう。

まとめ

  • アクティブファンドはインデックスファンドより大きいリターンが求められる

  • 投資家とアクティブファンドの販売会社の間では収益源が違っており、しばしば販売会社の利益が優先されている

  • 目立つアクティブファンドは賞味期限切れなことがざら

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