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パブリックコメントの書き方

私はNPO活動をしている際、活動目的と関連するパブリックコメント(以降、パブコメと称する)が募集されるごとに、意見を提出してきた経験があります。提出した意見の中には、採用されたものもあれば、採用されなかったものもあります。パブコメを担当されたことのある方に色々アドバイスをいただき、自分なりに調べたり、考えをまとめたりしてみたので、これからパブコメを書く人にとって参考となれば幸いです。
本記事では、国や地方自治体などの行政が募集するパブコメが対象です。

パブコメとは

  • 「行政手続法」で定められている「意見公募手続」のこと

  • 行政機関が政令などをつくるときに、事前に案を公表して意見を募り、集まった意見をもとに修正を図る仕組みのこと

  • 2005年から始まった制度

  • 地方自治体では、行政手続条例・パブリックコメント条例などで同様に「意見公募手続」を定めている

パブコメの流れ

基本的には、行政が主催する委員会などで専門家やステークホルダー(当事者団体など)が何度か集まり、政令などの案を検討・作成する。
そのあと、案をe-govサイトなどにて公示し、意見を募集する。そのあと、30日以上の募集期間を経て集まってきた意見を考慮し、修正案を検討・反映し、政令などの策定を行い、結果をe-govサイトなどにて公示する。

意見公募手続等の普及啓発用パンフレットより引用
(https://www.soumu.go.jp/main_content/000526565.pdf)

パブコメの目的

  • 市民参加の機会と公正さの確保

  • 行政運営の公正さの確保と透明性の向上を図る

  • 国民の権利利益の保護に役立てる

→これまで国民の視点に立った政策を進めてこなかった反省から設立
 民主主義の更なる進展を期待している

パブコメによるメリット

•国民に意見を聞くことで、行政は、国民の意思とずれることなく国民のニーズを把握しながら政令等を作れる

→行政の公正・適正をはかれる
→政令等の制定に国民が参加できる (民主主義が進展する)

パブコメに対する誤解

  • 署名活動ではない(賛成・反対を決めるだけの制度ではない)

  • 多数決ではない(同じ意見が多数集まってもそれが絶対に採用されるわけではない。多数の意見があってもそれが重視されるわけではない)

パブコメの対象

国の行政機関が行う場合:「政令」「府省令」「処分の要件を定める告示」「審査基準」「処分基準」「行政指導指針」の6点
地方自治体が行う場合:「基本的な計画」「重要な条例」など

 パブコメを提出する目的

  • 自分の考えを理解してもらいたい

  • 自分の考えを伝えたい

  • 自分の考えを反映してもらいたい(表現の変更、注釈の追加、補足案 など)

基本的な書き方

意見募集要項に従う

  • 意見募集の趣旨に沿っていること=関係ない内容を書いてはいけない

  • 様式(形式)の指定があればそれに従う

書き方のヒント

  • 短い意見でも良いのでひとまず出してみる

  • 身近な人(家族や友人など)と話し合ってみる

  • 問題意識を持っている人と話し合ってみる

  • 過去に出された類似したパブコメ結果報告を参考にする

  • 意見相手に伝わるような書き方をする

  • できるだけ読む相手に親切に負担をかけないようにする

  • 示された案のどこに対する意見かはっきり書く(例 第○条 ○項についてなどと先に書く)

書き方の例

3W1Hに沿って書いてみる

  • WHO(だれ) :立場 (自分はこういう立場です…)

  • WHAT(なに) :具体的な箇所の明示(このページのこの項目が…)

  • WHY(なぜ)   :修正して欲しい理由(こういう理由でおかしいと思うから…)

  • HOW(どうやって):具体的な修正案の明示(こう直してほしい…)

書き方ポイント

  • できるだけ募集元に負担をかけないようにする

文章の書き方:シンプルにわかりやすく書く

  • 募集元の参考になる意見を出す

解釈の仕方:新しい視点から考えを出す
表現の拡充など:注釈の追加の提案、補足案、変更する文の提案(曖昧な解釈がある部分や不足している部分を補足する)


あらゆる人が楽しくコミュニケーションできる世の中となりますように!