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読書日記

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読んだ本の紹介と、読書感想文になります。
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2023年3月の記事一覧

「太陽の子」灰谷健次郎著の読後感【読書日記】

この児童文学書に目を通したのはいつのころだろうか。 10代の後半のころに読んだような記憶がある。内容はまったく忘れてしまっていた。 たまたま読む機会があり、再読してみた。読み進めるに従い戸惑いがひろがり、途中から読むことが辛くなってきた。その理由が理解できたのは、読み終えてからのことだった。物語の構成として、「伏線の張り方」に問題があるのではないかと思ったからだ。 物語が終盤に入り、この小説の肝の部分が力強く語られる。心に染み渡るような文章でよかったけれど、そこに至るまでの伏

「非色」有吉佐和子著の読後感【読書日記】

「非色」というタイトルは、漢字の「非(ひ)」と「色(しょく)」の組み合わせでできています。「非色」とは、色彩を持たず、無色透明であることを表しています。また、このタイトルが意味するところは、主人公の内面の複雑な感情を色に変えることができない、感情の深い部分が抽象的であることを表しているように思えました。 小説のタイトル「非色」は、人種や国籍、性別、年齢などの社会的なカテゴリーにとらわれない「非色」という概念を提唱しているようです。多様性を認め、異なる文化や価値観を受け入れる