マガジンのカバー画像

読書日記

45
読んだ本の紹介と、読書感想文になります。
運営しているクリエイター

2020年9月の記事一覧

「星守る犬」の読後感【読書日記】

図書館の書架を眺めていて、「星守る犬」のタイトルが目に留まりました。文庫本を手に取ってみると、軽い本です。 中年男性と白い犬の交わりが描かれていて、切なくて悲しみを誘うような物語でした。けれど悲壮感漂う物語ではなくて、淡々とした文章のなかにも表現豊かにつづられていて、心に沁みるような切なさがありました。 この作品は漫画を原作として映画化し、そしてノベライズへと表現方法を変えていった作品のようです。原作者は村上たかし氏です。 タイトルともなっている『星守る犬』は、「犬がも

『ノーサイド・ゲーム』池井戸潤著の読後感【読書日記】

『ノーサイド・ゲーム』は池井戸潤氏の小説で、2019年6月11日にダイヤモンド社から単行本が刊行されました。また、2019年7月期にTBS系でテレビドラマ化されていて、見事なまでにメディアミックスの販売戦略として周到な計画がなされていたような作品です。 読後感としては、エンターテインメント小説の王道が遺憾なく発揮されたような内容でした。小説の筋には必ず登場人物の対立する軸を絡め、ドラマ性のある世界観を見せています。だから人々を楽しませる娯楽小説としては充分だと思います。私は

「楽園のカンヴァス(新潮文庫)」の読後感【読書日記】

最寄りの図書館を訪れたとき、書架に「楽園のカンヴァス(新潮文庫)原田マハ著」が目に付いたので、借りて読んでみました。発売当時、話題になっていたのでタイトルは憶えていました。画家のアンリ・ルソーの物語をベースにして描かれたような小説です。冒頭は少し取っ付きにくい感じがしたのですが、小説に挿入されている画家のアンリ・ルソーの物語(たぶん創作だと思います)になると、とても面白く読むことができました。 この小説は、ニューヨーク近代美術館のキュレーター、ティム・ブラウンとルソーの日本