エピソード その3 結婚式でのお父さんの思い出
明るい晴れた空の下、私達は都内の教会で 小さな結婚式を挙げました。
40歳を過ぎ運良く私達は出逢えました。 バリバリ仕事をし、あっという間に婚期を逃し、仕事に生きる後世を覚悟しながら やはり、支え合えるパートナーに巡り逢いたいと努力して本当に良かった。
父の顔に驚愕
夫44歳私43歳。両親は高齢者です。
私の父は、足腰が弱り一時は家での歩行もおぼつかず。当日の為に歩行トレーニングしていたそうです。
教会到着し、父の顔を見て、驚愕。
よりによって記念すべきこの日に、 鼻毛が、ごっそり出ていたのです。
カットお願い出来ますか?
今日はたくさんプロカメラマンに 写真を撮ってもらう予定です。
鼻毛写真が形に残るのは不本意だ!!と 意を決してアテンドさんに耳打ち。
「父の鼻毛が出ています。 カットお願い出来ますか??」
『お父様、嫌がって拒絶なさらない でしょうか。。』 確かにそうだ。
さて、どうしよう。
控え室から家族ルームの弟に電話。
「お父さん鼻毛が 大量に出ちゃってるよ。切れる??」 弟『わかった。やるわ。』
私は鼻毛の行く末が気になりながらも ヘアメイクを施してもらい 特別の装いに仕上げて頂き、高揚。
「ご新婦様、お時間です」 いよいよ階下の挙式会場へ向かいます。
教会大扉の前。
父と腕を組みオープンの瞬間を待ちます。
まずは父の鼻毛チェック。
「よし、綺麗になってる」
お父さん、もうちょっと。
ホッとした矢先、 『それではお願いします。開場します。』
バーーーン、と重い扉が開かれ、 目の前が一気にに明るくなりました。
父はちゃんと、歩けるのだろうか??
私の不安をよそに、父は歩き出します。
普通に歩こうとするので、腕をガシッと つかまえ、私の一歩ずつ歩行に 合わせるよう仕向けます。
少しずつ彼の姿が近づいてきて あとちょっと、というゴール手前で ありゃりゃ、父は立ち止まってしまった!
「お父さん、もうちょっと。」 父の耳には届かず、 彼が笑いながら歩み寄り迎えに来ました。
父と彼がお辞儀をし、私の手が 父の腕から、彼の腕へ。
新郎新婦は、牧師先生の元に 歩いていきます。
すると背後で、父の声。
「え??もう行っていいの??」 「え??サッサと歩いていいの??」
私達を見守り立ち止まっていた父。
周りに退散を促され、 さらに、退散する歩き方が 先程と同じ一歩ずつ歩行だったので 普通に歩いて良いと促されたそうです。
背中ごしの父がおかしくて大笑いを こらえながら牧師先生に向かい合う私達。
厳かな場面で笑いをこらえるのは 本当にしんどい笑! 心温まる思い出の結婚式になりました。
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