モルガンの解釈

これはFGO2部6章の話だよ。
モルガンについて整理したくなったから書く。
想像混じりなので注意。ただの個人的な解釈。

主題は妖精が滅びたのは何が悪かったの?という話。
妖精の滅び、ブリテンの滅び、妖精國の滅びは別々の事象なのがややこしい。

だけど妖精の滅びに絞って考えると悪いのはほぼモルガンだ。
良い悪いって単純に言ってしまえることでもないけど。
でもモルガンも自分の行いが悪いってわかっているんでしょう。属性:悪だし。

モルガン=トネリコに与えられた使命はベリーイージーだった。彼女の実力や才能からすれば。
その使命は妖精を救うこと。妖精の罪を赦し罰から救うこと。
具体的に言えば、聖剣を作ってケルヌンノスをぶっ倒すこと。
そうすれば滅びの要因が消え去って妖精はみんな生きられる。
妖精は生殖こそしないが死ねば次代となり生まれ変わる存在だ。人間と変わらない繁栄を遂げ、新たな歴史を紡ぐことができる。

トネリコを除いて。
聖剣の材料は楽園の妖精=トネリコだから。
彼女は生きられない。二度と生まれ変わることもない。
なんてこった。

結局トネリコはラスボスのケルヌンノスを無視して中ボスの災厄をプチプチして回ってた。
巡礼の旅はもう何周も終えたそうです。ラスボスを倒すためのフラグはとっくに起きてるのにゲームを終わらせず同じ地域をぐるぐる回ってるんです。

でもそれは仕方ない。トネリコにはゲームクリアよりもやりたいことがあったから。
妖精たちの国を作ること。
トネリコはとにかくそれだけを目標にしていた。ゲームが想定してない遊びをして勝手に苦しんでいた。ストイックなプレイヤーだ。

なぜトネリコは特殊なプレイに走ったのか。
一つは汎人類史のモルガンの情報を受け取ったから。モルガンは自分の国が欲しかった。トネリコはそれを叶えてあげようとした。
でもそれだけじゃない。他人の頼みは断ったっていい。
トネリコ自身に二つ目の動機があったのだろう。

その正確な動機は次のことから紐解ける。
トネリコは妖精の国を作ろうとしたけど、途中で人間=ウーサーを王に据えようとした。
理由はよくわかる。
ウーサーはトネリコの恋人で彼女を愛してくれていた。
一方妖精はトネリコを嫌っていた。彼女はそれに辟易してしまった。
トネリコは、実のところ妖精の国を作りたかったのではない。
自分を愛する者のための国を作ろうとしたのだろう。

それをトネリコは妖精のためと誤認していた。
なぜなら彼女には妖精に愛され育てられた記憶があったから。

でもそのようなことをしてくれた妖精はごく少数。雨の氏族だけだ。
その雨の氏族は他の氏族の妖精に滅ぼされ、なおモルガンは妖精の国を作ろうと立ち上がった。
そして雨の氏族と他の妖精の差異に苦しめられることになる。
雨の氏族は妖精の罪を悔いていた。だからトネリコを愛した。
その差異がなぜ生まれたかはわからないが、雨の氏族は特別で、妖精が楽園の妖精トネリコを愛することはあり得なかったのだ。

その間違いにトネリコは信じられないほどの長さをかけて気が付いた。
自分が愛した者=ウーサーが妖精達に殺されるまで気が付けなかった。
それでようやくトネリコは本当に目指すべきだった国の形に目覚めたのだ。

そうして実現したのが妖精國。
モルガン以外の全ての妖精が一度絶滅し、モルガンの魔術によって再び創られた国だ。
言わばモルガン以外の全ては偽物なのだ。生きている妖精は彼女だけ。国民はどこにも存在していない。
それも当然だ。トネリコが国を捧げるべきだった存在、雨の氏族は既に滅びているのだから。

言わば妖精國とは雨の氏族の国だった。
解釈を重ねるが、バーヴァン・シーは雨の氏族の末裔だったのではないか。
バーヴァン・シーは断片的に語られる雨の氏族の性質を体現していると少なからず思われる。
ブリテンの妖精を嫌い、自身を嫌い、楽園の妖精が癒しとなる。それが雨の氏族がトネリコを愛した理由なのではないか。
そう考えれば、モルガンがバーヴァン・シーを娘とし国を捧げるとまで言った理由がわかる。当然のことなのだ。

バーヴァン・シーだけではない。モルガンは一部の妖精に対して冷徹になりきれていない側面がある。
特にウッドワス。彼もまた氏族が犯した罪を悔いた妖精だ。モルガンが彼を愛さないはずがない。
騎士として自身の悪癖を克服しようとするバーゲスト。そもそも亜鈴の子孫ではないメリュジーヌ。スプリガン(中村)。
そのように少しずつだが、モルガンの周囲に彼女が信頼を置ける臣下は増えていった。それが彼女に与えられた数少ない報いだった。

しかし妖精國の妖精は全て仮初めの存在である。
モルガンがいなければ彼らは二度と生まれ変わることができず、妖精の歴史は閉ざされてしまう。
その上仮初めでも妖精はまだ存在している以上、彼らは罰を受け救いを求め続ける。かわいそうに。
この時点で、妖精が救われる道は限られていた。

そうだ。モルガンには妖精を救うことができた。
妖精から存在税を搾り上げるという過酷な方法で対ケルヌンノスの魔術を整え、成功すれば確実に災厄を祓い妖精を存続させることができた。
だが今更そのようなことをしても全て手遅れなのだ。楽園は次の使者を送ってしまったのだから。

……というのが2部6章のプロローグまでのあらましだった。

その後モルガンは玉座を降り、アルトリア・キャスターが楽園の妖精の使命を引き継ぐことになる。
しかしそれでは妖精は救われなかった。キャスターとカルデアの一行がブリテンの真実に気が付くのが遅すぎたこと、生き残りがでないように裏で手を回していた存在がいることが直接的な原因だが、たとえ僅かな生き残りがいたとしても彼らに次代は生まれずブリテンの妖精はいずれ滅びることになる。

どうやっても救いがない。

というわけでモルガンが最初に聖剣にならなかった時点で妖精の歴史は詰んでいた。
だからまあ、モルガンが悪かった。そういうことも言えるだろう。

もちろん諸悪の根源は亜鈴、はじまりのろくにんにある。
しかし「楽園の妖精の使命を放棄した」「だから人類(妖精)が滅びた」という罪はモルガンも同じであり、彼らと彼女は対応している。
亜鈴が悪ならモルガンも悪であるということを認めなければならない。ということです。

でも善悪の話なんてしたらな。一番悪いのはこの地獄を作った作者だと思う。

お疲れ様でした。モルガン陛下。


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