葬送のフリーレン感想文(アウラ自害に際して)

アニメでアウラの首が切れるまで見た人間の感想。

葬送のフリーレンの世界観はざっくりしている。時代劇の江戸時代とかと同じ、ざっくりと理解されたファンタジーの世界だ。
具体的にはドラクエとSWの合いの子のように思える。勇者と魔王の対立はドラクエ的でありエルフやドワーフと組むパーティはSW的だ。

なんだけど魔族の描き方が特異すぎる。今までに見たことがないタイプの魔族だ。ハドラーみたいに鼻水垂らしたりとかする愛嬌がない。

フリーレン世界の魔族の特徴ざっくり
・言葉を話す。
・人間の肉を食べる。
・長命。
・家族を持たない。自然発生?
・独自の社会性がある。
・魔法大好き!

フリーレンはこいつらのことをめちゃくちゃ嫌っている。
彼女はエルフだが人間に友好的だ。故郷を魔族に滅ぼされたという過去もある。むしろ魔族への復讐のため人間と手を結んだというのが順序か。
とにかくフリーレンは人間を欺き殺す魔族を嫌悪し貶しまくる。言葉を話す獣だの化け物だから容赦なく殺せるだの。後者に至っては畜生より劣る扱いをしている。

確かに作中の魔族は(対話可能な存在でありながら)人間と絶対的に相容れない存在としてデザインされている。そこが特異だと感じた面だ。
しかし容赦なく殺せるなんて言い切れるものではない。
作中の魔族は知性を持ち独自の社会を築いている存在でもある。生態がまるで異なるとしても、ここは決して無視できない。
人間を食べるのは彼らの習慣であって我々が豚肉を食べるのとはさして変わらないだろう。そこに理解を示すことは難しいことではない。ただ人間社会と相容れないというそれだけだ。

そもそも相容れなさを問うなら人間同士でも同じだ。
フリーレンの弟子であるフェルンも戦争で親を亡くしたというのだから人間が人間にとって魔族と比較して善良であるとは限らない。
フェルンとフリーレンは相似の関係である。奪ったのは人間か魔族か。そこにさしたる違いなどないだろう。

フリーレンはそうした人間社会を省みず魔族に対してのみ化け物と呼び容赦なく殺すと言い放つ。それは完全に彼女の私怨によるものだ。
それゆえ魔族の側にもまたフリーレンを非難する権利がある。
魔族にとって卑劣な方法で同胞を虐殺するフリーレンをアウラは確かに非難した。アウラにとってフリーレンこそ化け物に見えていたはず。
あの場においてフリーレンとアウラの立場は対等だった。あるのは力の差だけだったのだ。
互いに平行線を辿る罵り合いをして、最後は力の比べ合いで一方が死に、反省も理解もないまま終わった。戦いとはそういうものなのだろう。

フリーレンは正義でも悪でもない。個人的な感情に囚われてるただ一人のエルフとして描かれている。
そう考えればこの話は公平だったのかもしれない。
あと、振り返ってみればアウラもハドラー並みに愛嬌はあったと思う。以上

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