やさしいEmpanadas!

金曜の夜、「My placeでEmpanadasをつくるよ!」ときいて、在宅ワーク終わりに電車へとびのった。

誘ってくれたのは、旅先のゲストハウスで出会ったアルゼンチン人のEma。
東京に住むアルゼンチン人の友達が集まるパーティーなどに、スペイン語でほぼ「Si! (=Yes!)」しか知らない純ジャパの私をときどき誘ってくれる。

今日はアパートのゲストルームをレンタルして、アルゼンチン料理のEmpanadasをつくるみたい。
Empanadasとは、日本でいうと揚げ餃子らしい。しかし生地がマサというコーンをつかっていて、餃子よりも分厚いし、なによりもこんがりと揚げている。
だからEmpanadas一つ分が、私の胃へもたらすダメージもすごかった!

「empanadas とは」とあとで調べてると、「具入りのパンまたはペイストリーである」とでてきた。パン⁈!!どおりで、食べ応えがあるわけだ!
そうとは知らずに、餃子の調子で
パクパクッパクパクッ
たくさん食べて、これを執筆している今まさにしっかり胃もたれ中だ。

もし読者の中で、アルゼンチン人に「empanadasは、日本でいったら餃子だよ!」と説明をうけることがあっても、「いや、これは餃子揚げパンだ!」という心づもりをもって挑むとよいとおもう。そうするときっと程よいペース配分を守りながら、美味しく食べ終われるはずだ。

さて、話を金曜の夜に戻そう。
ゲストルームに入ると、見慣れたメンツと、何人かの初めましての外国人が、EuroVisionのMucicVideoをみながらゆったりと座っていた。

キッチンでは、Lucioが一人でempanadasの下準備をしてくれている。彼に会うのは二回目だけれど、以前も一緒に生地からタコスをつくった仲だから、私の中での彼は、料理好きなエンジニアである(東京で出会う外国人は、ほとんどエンジニアな気がする)。

スペイン語の話せない私にとって、ここでの共通言語は必然的に英語になる。
私以外にスペイン語を話せない人物は、アメリカと日本を行ったり来たりして、今は日本企業で働いている音楽好きのSeanだけど、彼は簡単なスペイン語のリスニングができるようだ。

こういうところにくると、「スペイン語できたらいいのにな〜」と毎回思う。そう思うだけで、いつも帰っても勉強しない私に、純ジャパなのにスペイン語がペラペラなカノさんが「スペイン語は日本語より単語数少なくて覚えやすいよ〜」と教えてくれる。(empanadasのつつみ方も、彼女から教わることになる)

そうこうしてるうちに、ゲストルームのピンポンが鳴る。
入ってきたのは、ペルー日系人のサユリさん。一瞬名前や見た目から日本人だと思ったが、洗練された雰囲気や、豊かな表情はどことなくラテン系を感じさせる。うん、美。

そして(個人的に)待ちに待った、empanadasの生地づくりタイムがはじまる。
クッキーづくりのように、棒とワインボトルで生地をのばして、お皿で丸い型を抜き、具を包む。それをLucioが揚げていってくれるという流れ作業。
生地伸ばしは楽しそうにみえるけれど、やると意外と疲れるので、代わる代わる。

手を動かしながら、アイルランド人のRocio、ポーランド人の女性(名前覚えられなかった‥)とも少し会話する。
ポーランド人の女性は、高校がスペインの学校だったらしく、母国語も英語もスペイン語も日本語も話せる。しかも日本語の発音がきれい!金髪美女というだけで無意識に気が強そうな第一印象をもってしまっていたのだが、
日本語で私と会話する時には謙虚な言葉選びで、ずいぶん日本人的なマインドをもった人だなとおもった。
と思えば、みんなの中で英語やスペイン語で話す彼女は、自信を感じさせる振る舞いで発言している。
最近よく思うことだが、「言語が話せる」ということよりも、文化的背景を深く理解したうえでそれっぽく振る舞うことの方が、人との関係性がうまくいく気がする。

いよいよ、私たちがつつんだempanadasが
Lucioにより次々に揚げられていく。
そういえば、empanadasを私たちが包んでいるときは、Lucioは休んでいたな。
気づけば、誰かがスーパーへいって必要なものを買い足してくれていた。
何もしていないようにリラックスしているEmaだって、実はみんなのためにレンタルスペースを借りて準備をしてくれていた。

日本語では「阿吽の呼吸」や「和」という言葉があるが、何も言わずに自分の役割を自然にみつけて、各々が自分の判断で、みんなが気持ちよく過ごせるように、阿吽の呼吸で和をつくりだしているようにみえた。
私はその彼らのリズムに自然に溶け込めていたかは謎だが、Seanと一緒に最後に皿洗いをしてお返しできたようにおもう。
日本では、皿洗いをしてると、必要以上に有り難がられ、私も何かしようか?!と声をかけてもらえることがあるが、今回は誰にも特に感謝もされなかった。それがその場での自然にできた私の役割であったと思い、居心地よく感じた。

みんなのために動くことと、みんなと一緒にゆっくり楽しむこと、代わる代わるに荷を担い合う。それでみんなにとって居心地の良い空気を保つこと、彼らはそんなことがとても上手だなとおもう。

調和でできたEmpanadasは、
胃もたれしたけど、みんなのやさしさに包まれてた。

そんなことを回想する土曜日。
そして今晩は、私の誕生日パーティーをシェアハウスのみんなが企画してくれている。
もちろんパーティーメニューは、、、
揚げ餃子パン!の方ではなく、日本の焼き餃子!!
私の胃に荷を担わせすぎないように、ランチはコーヒーで済ませることにしようかな‥。

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