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【ハマ本】夜の道標

二俣川が舞台だというので読んでみる。しかし街が描かれている感はない。一応直接駅名としての二俣川は出てくるし、南本宿とか今宿とかの地名も出る。四季美台ふれあい公園はそこだけ急に具体的で唐突感もある。
トンネルが何度か出てきていて、思い当たるのは保土ケ谷バイパスをくぐるところだが、本文中ではトンネルをくぐって線路の向こう側に出る描写がある。しかし作家自身のツイートによるとやはり保土ケ谷バイパスの下で良かったらしい。

大きな団地も出てきて、このへんだと左近山団地だろうが、B棟という表記はあたらない。左近山だと3-10とか11-5とか街区単位になるので別の団地かと思っていたら終盤に左近山団地の名前が出てくる。架空にしたいなら実在しない数字にしておくか半端な棟番号など出さなければいい話。
どこでも起こりうる汎用性を求めてあえてローカルな描写を省いたのかもしれないが、そこに期待した勢としてはすかされた感。

また、登場人物の年齢が初出の時点で勘違いした。公園でのバスケシーンでてっきり高校生かと思った。しばらくして小学6年生と出てきて回想シーンかと思ったほど。また惣菜屋にパートする女性も中高年かと思ったが30過ぎ。ミスリードかもしれないがあまりそうする意味もない。

舞台となっている時代もひと昔前で、当時の流行もちょくちょく織り込まれている。なんで現代でないのか、これが現代に繋がるのかとも思ったが、なるほど時代設定にはちゃんと意味があった。この作品の主題自体とも関わる点。
殺人の動機がずっと謎として引っ張るが、これも主題そのものと直結。解説のない単行本だが、同じく巻末にある参考資料の一覧を見てしまうとストレートにネタバレを食らうことになる。

この主題が明かされる際のインパクトは作者の狙い通りだろう。作中の刑事たち同様の衝撃を読者も受けることになる。そこまで溜めてきた分の反動もあり、動機としてありうると納得いく。


警察署が旭署でなくて旭西署にしてあるのはまぁよくある話なのでいいとして、でも旭区に2つ以上あるのは規模的に不自然なので、ありそうなのは二俣川署とか鶴ケ峰署ではある。ただそれを言うならもっとはるかに不自然なのは、干されてる組が捜査車両を自由に使ってて、しかもそれで県警の管轄外に乗って行って、挙げ句に誘拐犯ともくされる車両を追ってさらに越境していって捕物にメインで参加してる点。いや、ありえないだろ。


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