お店で哀しい気持ちになった話

今日、古着屋さんとカフェに行った。

お買い物をしてパンケーキ食べて満足なんだが、ものすごく些細なことでやたらと哀しくなってしまったので、お焚き上げのつもりで書くことにした。それは、最初に書いた今日利用した古着屋とカフェであった、どちらもなんてことはない些細な出来事である。

1件目は古着屋さん。そんなにしょっちゅうは行かないけれど、可愛いものに出会えることがちょいちょいあるので、たまに行くお店。シャツが欲しくて行ったんだが、可愛いショートブーツを見つけてしまった。古着屋さんの靴(レディースは特に)は小さいものが多いので、可愛いと思ってもサイズが合わないことが多い。見つけたそのブーツはサイズを確認しても、ちょうど私のサイズだった。しかもセールで3割引になっている。安い。いい感じだ。嬉しくなって手に取ってみると、すごい大きさの埃と言う名のグレーのモコモコがヒールの部分についていた。

埃…うん。まごうことなく埃…。

別に古着だし、清潔感をとにかく求めている訳ではないのでいいんですが、それにしても立派な埃の塊。ここまで育てるには色々な苦労もあったであろうと思われる埃のサイズ。苦労なんてないか。放っておけばいいだけか。まぁ、それはおいといて。サイズ感のイメージとしては、千と千尋の神隠しに出てくる坊がねずみになった時くらいのイメージである。ちょうど灰色だし。いや、ちょっと盛りました。もう少し小さいか。でも、凡そハムスターサイズだったと感じた。ハムスターそんなに触ったことないけど。靴自体もセールになっていたし、棚の一番下の方に陳列されていたから、埃がつくのも仕方がない。それにしてもでっかい。

ここまでは、そんなに哀しくない。靴可愛い、埃でかい、という気持ちでしかない。試着するとその靴はちょうどいいサイズだったので、購入することにした。試着をする時に埃も落ちるかと思っていたが落ちなかった。埃を叩き落としてもいいのだが、このハムスター埃をお店お通路に落として知らんぷりというのもどうだろう。そう思ってそのまま踵にくっつけて置いた。レジに持っていけば埃も取ってくれるだろ。そのくらいの気持ちでいた。

レジで支払いを済ませ、袋に入れてくれている間にも埃のことが気になりチラチラと店員さんの方を見てしまった。しかし、埃を撤去してるような動作は見受けられない。そもそも埃を撤去する動作ってなんだ。どんな動作だ。それは後ろ姿で解るのか。ビニールに入れて紙袋に入れてくれて終わりである。お店で購入した紙袋はどこでもそうだと思うが、真ん中部分が止められている。中の確認ができない。お店でそんなチェックをする勇気もない。私は微笑んで紙袋を受け取り店を後にする。外は18時少し前、日は暮れて濃紺の空の色が広がる。道端でわざわざチェックするのもいやだ。埃チェックは家でやるしかない。別に何がどうって訳ではないし、可愛い靴が手に入ったので満足なはずだ。しかし、何だろうこの心をグレーに染める哀しい気持ちは。まるで心の中に埃が舞っているようだ。

古着屋さんに埃を事細かにチェックして取るまでしてもらうことを求めるつもりはない。それはお店次第だと思う。品物自体の状態も良かったし、仕方ない。ただ、私なら一応、ぬぐい取るのではないかと思う。まぁ、実際に今埃がどれくらいついているか解らないのでモヤモヤしても仕方がない。

歩きながらこのなんだか哀しい気持ちを少しでも取り除いて帰りたいと考え、駅までの道の途中にある人気のカフェに立ち寄った。そのカフェはフワフワのパンケーキが人気で私もこれまで何度か利用したことがある。確実に美味しい甘いものを食べて心を癒して帰ることで明日の仕事に備えよう。そう考えると、先ほど迄の哀しい気持ちが少し和らいだ。

店に入り席に着き、メニューを選ぶ。もう夕飯の時間だし、今日は2時くらいに昼食をとってしまったから、今日はパンケーキをおなかいっぱい食べてあったかいカフェオレ飲んで終了しよう。このお店はパンケーキを2枚か3枚かを選べる。いつもは多いからと2枚にしているけど、3枚で頼んでやれ。そう決めて店員さんを読んで注文をした。チョコバナナのフワフワパンケーキ(3枚)とホットカフェオレ。完璧な組み合わせだ。

待っている間にさっき購入した靴をチェックしたい気持ちに掻き立てられたがそれはなんだか憚られる。新品ならまだしも、中古だし。靴だし。でっかい埃ついてたし。飲食店だし。家に帰るまで我慢しよう。

注文後ぼんやりと待つこと10分くらいだろうか。注文していたパンケーキを店員さんがニコニコと運んできてくれた。見るからにふわふわの分厚いパンケーキ。甘い香りに心がふわっとしてくる。生クリームとバニラアイスも添えられていてボリュームたっぷりだ。そっとてっぺんに飾られたミントの葉っぱも素敵なアクセントだ。ワクワクする。別添えだったチョコレートソースをたっぷりとかけて、手元に置いていたスマホで写真を撮る。この写真はインスタにその内アップしよう。2、3枚写真を撮って早速フォークでパンケーキをつついた。ふわりと切れていくパンケーキ。口の中で溶けていくパンケーキ。美味しい。一口二口とパンケーキを口に運んでいく。甘い幸せな味が口と心に広がっていく。やっぱり立ち寄って正解だった。先ほどまでのなんか微妙な悲しみが消えていきそうだった。

そんな気持ちでパンケーキをパクついていたら、同じ店員さんがカフェオレを持ってきてくれた。ラテアートが施された可愛いカフェオレ。うん?カフェオレってラテアートがついているものでしたっけ?ラテアートってカフェラテのやつじゃないの?いつぞやかに調べた時に、カフェラテとカフェオレの違いはコーヒーかエスプレッソのどちらを牛乳で割るかというくらいだった気がする。上のふわふわはどちらでもいいの?カフェオレもふわふわ乗せてていいの?特にグルメでもないしコーヒーにこだわりもないので、美味しければどちらでも構わないのだけれどなんだか気になってしまう。そもそも、ふわふわがカップのはしっこギリギリまできてるんだけど、飲みにくくない?ラテアートってギリギリまできてるお店ちょこちょこあるけど、これカップを持って口に運ぶまでの間にこぼれてしまわない?いや、可愛いけど。不器用な私はこぼさないようにソッとカップを手に取ってそろそろと細心の注意を払いながら口に運ぶ。暖かく優しい味が広がる。おいしい。頼んでよかった。カフェオレでもカフェラテでもどっちでもいいや、美味しい。

ふっと心がほぐれてカップを机に戻そうとした時に、気づく。机に、いや机というよりもカフェオレを運んできた小さなトレーにマグカップの底の円形にコーヒーが伝い溢れたような跡が残っていることに。

…私?

私がこぼしたのかな?気をつけたのにな。

そう思っていると、心の中の小さな私が慰めてくる。

いやいや、結構気をつけて持ち上げたよ?溢れてなかった気がするよ?あなたじゃないよ。店員さんが運んでくる時にちょっと溢れてしまったんじゃない?だってカップのギリギリまでふわふわの泡がきていたもの。あなたが飲むために座って口に運ぶだけでもあんなに気をつけてたんだから、トレーに乗せて歩いて運んでくる店員さんの方がこぼしちゃう可能性があるよ。大丈夫だよ。それに、溢れてるっていっても数滴カップを伝っているくらいだからそんなに問題じゃないよ。

少し心が落ち着いてくる。でも、疑問が残る。そもそも、コースターとかじゃなくて小さいトレーごと置いていくのはなんなのか。家に帰って記憶も曖昧だが、ソーサーは添えられていたんだっけ?ソーサーがあるならトレーもいらないし、なんだったんだろう。こぼれること前提でトレーで置いていくことにしているのだろうか。いや、それならマグカップもうちょっと大きくすればいいじゃない。現に私の向かいの席のグループで来ているお姉さんのマグカップは大きいじゃない。私も前に来た時はもっと大きいマグカップだったと思うし。いや、あの時頼んだのは確か紅茶だったから飲み物で使い分けているのか。それでもマグカップから溢れるほどなみなみに入れなければいいだけじゃない。なんだろう、この別に大したことでもないのにモヤモヤした気持ちになるのは。パンケーキも美味しいしカフェオレも美味しい。ただトレー(ソーサーだったかもしれない)に残る、こぼれたカフェオレの茶色い少し滲んだような丸い跡だけが私の心をかき乱す。私なら溢れないように運びやすい量とかサイズのカップにする。何故、トレーを…。

モヤっとしながらパンケーキを平らげて、私は早々にカフェを出た。もやっとした気持ちは晴れないまま家路に着く。埃も溢れたカフェオレの跡もどちらも大したことではないのだ。別にお店の人だった悪くないのだ。何をしつこくモヤモヤと考えているのかみみっちい。そんな自分が情けない。そしてパンケーキ3枚はやはり少し多かった。次からは2枚にするべきだと私の胃袋が訴えて来ている。それは悪かった。私は胃に謝罪をする。

家に着き、風呂を沸かしながら。紙袋から購入した靴を取り出す。靴は丁寧にビニールに包まれていた。ハムスターのような埃はついてなかった。踵に猫の抜け毛が固まったくらいの小さなグレーの埃がついていたくらいだ。ティッシュでその埃を取り玄関に並べる。明日着ようと思っていた服とは合わないので、この靴のデビューはもう少し先だ。サイズはあっているがヒールが高いのでインソールをこの機会に新調しよう。友人に聞いたサポートがしっかりしていて疲れにくいやつを探してあげよう。それでいいじゃないか。なんかよくわからんがモヤモヤするということを3600文字を超える文章にした。それでなんかスッキリした。書き終えて読み返して「暇かよ」とも思ったが自分がモヤモヤしたポイントはどこだったかを考えるのは大切だ。

古着屋はレジにウェットティッシュ置いといて欲しい。カフェは運んでいても溢れないようなカップを使って欲しい。そんな自分が思っていなかったお店への期待を見出せたから発見があった1日だ。別にそんな発見いらんけど。意外と私は細かいことを気にして接客ができるかもしれない良い奴だということは解った。実際に接客した時に実行できるかどうかは解らんけど。

そして、文章にしてスッキリしたからもういい。今日の私は可愛い靴を買って美味しいパンケーキを食べた。それだけだ。

おやすみなさい、今日の私。明日は仕事です。そして、お焚き上げ文章を書いていたら1時半になりそうです。早く寝た方が良い。本当に早く寝た方がいい。それにしてもモヤっとしたことを文章にするのは、自分の心に丁度良い整理する時間になるなと発見した。今日の一番の成果はそれだ。おやすみなさい。

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