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ロレックスのオイスターケースとは?:歴史と特徴

ロレックスといえば、高級時計の代名詞とも言えるブランドです。そのロレックスの時計には、オイスターケースと呼ばれる独自のケース構造が採用されています。オイスターケースは、ロレックスの時計の防水性能や堅牢性を高めるだけでなく、独自性や革新性も兼ね備えた傑作です。この記事では、オイスターケースの歴史と特徴について解説します。


オイスターケースとは


オイスターケースとは、いわゆる「防水・防塵ケース」のことです。完全防水機能を持つオイスターケースは、1926年に世界初として発表され特許も取得しています12。その名前は、牡蠣(かき)が硬い殻で身を守るように、時計のムーブメントを外部からのあらゆる脅威から守ることに由来しています3

オイスターケースの誕生

オイスターケースの誕生には、ロレックスの創業者であるハンス・ウィルスドルフの先見性が大きく関わっています。ウィルスドルフは、当時はまだ女性向けのアクセサリーとしてしか見られていなかった腕時計に注目し、男性も着用できる頑丈で正確な時計を作ろうと考えました4。そのためには、防水性や防塵性が重要な要素でした。そこでウィルスドルフは、イギリスのオイスター社(Oyster Watch Co.)が開発を始めたねじ込み式の裏蓋とリュウズを採用したケースに着目しました2 。ウィルスドルフは、1926年にオイスター社を傘下に収め、同年10月18日にスイス連邦著作権局に特許申請をしています2 。これがオイスターケースの始まりです。

オイスターケースの構造

オイスターケースは、ねじ込み式の裏蓋とリュウズによって高い防水性能を持っています。また、ケースはオイスタースティールや18Kゴールド、プラチナ950などの高品質な合金で作られており、堅牢性も非常に高いです1 。オイスターケースは以下の3つの部分から構成されています。

  • ミドルケース:ケースの中心部分であり、ムーブメントを収める骨格です。プロフェッショナルモデルにはリュウズガードが装備されています。この部分はオイスタースティールや18Kゴールド、プラチナ950などから選べます。

  • 裏蓋:裏蓋はねじ込み式で、ミドルケースに密着して防水性を確保します。裏蓋には通常、ロレックスのロゴや製造番号などが刻印されています。

  • リュウズ:リュウズは時計の設定(時間や日付の調整など)を行うための部分です。オイスターケースでは、リュウズもまたねじ込み式で、リュウズを時計本体にしっかりと固定することで防水性を保っています。また、リュウズには防水性能をさらに高めるためのゴム製のOリングが装備されています。

  • オイスターケースはこれらの部品の組み合わせにより、水深100メートルまでの防水性能を実現しています(一部モデルではさらに高い防水性能があります)。また、その堅牢性と防水性に加えて、洗練されたデザインが特徴で、ロレックスの時計を象徴する存在となっています。



オイスターケースの進化


オイスターケースは、1926年に発表されてから現在まで、時代のニーズに応えるためにさまざまな進化を遂げてきました。その中でも特に注目すべきものが、ツインロックとトリプロックのリュウズ、サイクロプスレンズ、クロマライトディスプレイ、ヘリウムエスケープバルブです。

ツインロックとトリプロックリューズ

ツインロックとトリプルロックのリューズは、オイスターケースの高い防水性を確保するために開発された特許機能です。ツインロックは1953年に、トリプロックは1970年に発表されました1。前者は2重の密閉システム(チューブ内1カ所、リュウズ内1カ所)で構成されており、後者はさらにチューブ内にもうひとつの密閉部分を追加しています(チューブ内2カ所、リュウズ内1カ所)。これらはロレックスのエンブレムとともにリュウズトップに印され、ツインロックの場合はドットひとつ、もしくはドットふたつ、あるいはラインがあしらわれます。トリプルロックの場合はドット3つで識別されます。これらは約10個の部品で構成されており、潜水艦のハッチの密閉性に似た最高の防水性を実現しています。ツインロックおよびトリプルロックの素材にはオイスタースティール、18Kゴールド、プラチナ950があります。


サイクロプスレンズ

サイクロプスレンズとは、サファイアクリスタル製風防上にある拡大レンズのことです。その名前はギリシャ神話に登場する片目の巨人から来ています。サイクロプスレンズは1950年代初めに登場しており、主な機能はデイト表示を拡大することです。これが風防に追加されることにより、デイトの視認性は飛躍的に向上しました。その独自性と革新性が獲得した成功を鑑み、ロレックスは当時の新聞を通じてすぐに、同様の特徴を盛り込もうとした他ブランドに対して警告を発しました。「全ての時計メーカーに告ぐ:特殊な形状の拡大レンズを備えた時計の風防は、スイス及びその他の国においてもロレックスの独占製品である。偽造品に対しては、躊躇なく法的手続きを取る」。長年にわたり、サイクロプスレンズはロレックスの象徴的なデザインの一部となり、ロレックスのデイト表示付きモデルにはほとんどこのレンズが搭載されています。

クロマライトディスプレイ


ロレックスは低光照度環境下でも視認性を確保するために、クロマライトディスプレイという独自の夜光塗料を開発しました。クロマライトは青色光を放出し、従来の材料と比較して約2倍の持続時間を誇ります。この新素材は、ダイバーズウォッチのように暗闇や深海で使用する可能性が高い時計に特に有用です。

ヘリウムエスケープバルブ


ヘリウムエスケープバルブは、プロフェッショナルダイバーズウォッチであるロレックスのシードゥエラーやディープシーに搭載されています。このバルブの役割は、潜水艇での飽和潜水中にケース内に侵入したヘリウムガスを放出することです。この機能がなければ、急激な気圧変化により時計のケースが損傷したり風防が外れたりする可能性があります。ヘリウムエスケープバルブは自動的に作動し、内部の過剰な気圧を放出することでこれを防ぎます。

これらの進化により、オイスターケースは非常に高い防水性、耐久性、機能性を備えた一方で、その洗練されたデザインと高品質な素材選択により、高級感とエレガンスも兼ね備えています。ロレックスのオイスターケースは、機能と美しさを両立させた究極の時計ケースと言えるでしょう。



オイスターケースの持つ魅力


オイスターケースの魅力は、その卓越した防水性能、堅牢性、独自性、そして多彩なデザインと素材の選択による美しさにあると言えます。

高い防水性能と堅牢性


オイスターケースの最大の魅力のひとつは、その防水性能です。ねじ込み式の裏蓋とリュウズ、サファイアクリスタル製風防、そしてヘリウムエスケープバルブといった機能により、オイスターケースは水中での高い圧力にも耐えることが可能です。これは、ロレックスのダイバーズウォッチが、最大1220m(シードゥエラー)や3900m(ロレックス ディープシー)までの潜水能力を持つ理由でもあります。また、オイスターケースは高品質なオイスタースティール、18Kゴールド、プラチナ950などの素材で作られており、衝撃や摩耗に対しても強い耐久性を持っています。

独自性と革新性


ロレックスのオイスターケースは、その独自のデザインと革新的な機能によって、他のどんな時計とも区別されます。デイト表示を拡大するサイクロプスレンズ、暗闇で時間を確認できるクロマライトディスプレイなどは、ロレックスの独自技術であり、時計の機能性を高めています。また、オイスターケースはその特徴的な形状やフルーテッドベゼルにより、一目でロレックスであるとわかるデザインを持っています。

多彩なデザインと素材


ロレックスのオイスターケースは、その多彩なデザインと素材の選択により、見る者を魅了します。オイスターケースは、形状、素材、サイズ、カラーなど、多様な選択が可能で、個々のユーザーのスタイルや好みに合わせてカスタマイズできます。このことは、ロレックスの時計が多種多様なシーンやスタイルにマッチする理由の一つでもあります

オイスターケースの高い防水性能と堅牢性、独自性と革新性、そして多彩なデザインと素材選択は、ロレックスの時計が世界中の時計愛好家から高く評価される理由です。そして、オイスターケースのこれらの特徴を理解することは、ロレックスの時計の真の価値を理解する上で非常に重要です。


まとめ


本記事を通じて、ロレックスのオイスターケースの魅力について詳しく見てきました。オイスターケースは、1926年に誕生した世界初の防水腕時計ケースであり、その特異な構造は時計のムーブメントを外部の様々な脅威から保護するという使命を果たしています。

オイスターケースの最大の特徴はその堅牢さと防水性で、ねじ込み式の裏蓋、リュウズ、サファイアクリスタル製の風防、そしてヘリウムエスケープバルブなどを組み合わせることで、これらの優れた特性が生み出されています。

さらに、オイスターケースはその独自性と革新性も持ち合わせています。デイト表示を拡大するサイクロプスレンズや、低光照度環境でも時間を確認可能にするクロマライトディスプレイなど、ロレックスの独自の技術が詰まっています。

そして、オイスターケースの魅力はその多彩なデザインと素材選択にもあります。形状、素材、サイズ、カラーなど、数々のバリエーションが存在し、それぞれのユーザーの個性や好みに合わせて選ぶことができます。

まとめると、ロレックスのオイスターケースは、その機能性と美しさを両立させた、まさに究極の時計ケースと言えるでしょう。

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