見出し画像

第4回:【初級者向け】英語やり直しの一歩目

こいけかずとし

スマホでできる!無料で手軽な英語学習

初級者向けに紹介したい学習がYouTubeで英語絵本の読み聞かせ動画を見ることです。学習効率の観点で言うと初級者には英単語や英文法など基礎学習をおすすめしたいです。しかし、基礎学習だけだと退屈して三日坊主になりがちだし、そもそもやろうという気持ちになりません。何か楽しい要素があったほうが取り組みやすいでしょう。そこで絵本です。

英語絵本の読み聞かせ動画(YouTube)

「絵本なんて小さい子供が読むものでしょ」と思う方が大半でしょう。私も以前はそうでした。ところが絵本の魅力を知れば知るほど考えが変わって、今では頻繁に絵本を読みます。大人にこそ読んでほしい絵本を後半で紹介します。

視聴方法

読み聞かせ動画の視聴方法はYouTubeの検索窓に英語絵本のタイトルを入力して動画を選ぶだけ。会員登録も料金も不要です。有名な英語絵本はたいてい読み聞かせ動画を見ることができます。

もし検索してすぐ出てこない場合、本の題名に「read aloud」という語句を加えて検索してみてください。read aloudは「声に出して読む」という意味で、ひとりで音読するのもだれかに読み聞かせるのもread aloudです。

メリット/デメリット

英語絵本読み聞かせ動画学習の良い点はいくつもあります。

〇 リーディングとリスニングを伸ばせる
〇 英単語や英文法を使う訓練ができる
〇 セルフ読み聞かせでスピーキングも伸ばせる
〇 5分~10分のショートムービーなので繰り返し練習するのにも良い
〇 絵が理解を助けてくれる
〇 一時停止も速度調整も簡単にできる
〇 無料で視聴できる
〇 スマホ/タブレット/PCのどれでも可能
 
私の考える悪い点は次の点です。
△英語絵本の種類が多すぎて自分に合う本を探すのに手間がかかる
△著作権の問題
 

読み聞かせの学習効果

絵本の読み聞かせは、幼い子どもの学習に有効なのと同じように、大人の英語学習にも有効です。絵と朗読と文章をすべて同時に使いながら物語を理解していくので、得意な部分で苦手な部分をカバーしながら学習を進めることができます。

読み聞かせは大人の英語学習にも有効

さらに、読み聞かせ動画の使い方次第で鍛える部分を変えることができます。つまり、立ち止まりながらゆっくりていねいに進めれば単語や単文をひとつひとつ学ぶ基礎学習となり、速度を上げると複合技能を伸ばす応用学習となります。だから気に入った絵本が見つかったら速度を変えながら何度も繰り返すのがおすすめです。良い絵本は読むたびに味わいが増します。というよりも、深い絵本は1回ですべてをくみ取るのが難しいです。
 
注意点として、絵だけでおおまかな内容を理解することも可能なのですが、英語上達のためには英語の音声と文字に意識を向ける必要があります。最初の1回ですべてを理解する必要はありません。繰り返し動画を見たり、時には一時停止して単語や文の意味を確認したりしながらリーディング・リスニング・語彙・文法を伸ばしていきましょう。
 

セルフ読み聞かせ

読み聞かせ動画を見たあとに、自分で自分に読み聞かせをするのも良い学習になります。動画の音声をオンにしたまま真似しながら読むのも良いし、オフにして読むのも良いです。登場人物の気持ちを想像しながら読むのもおすすめです。
 
セルフ読み聞かせは英会話の練習にも効果的です。初級者だと英会話をしようと思っても、使える単語やフレーズがまだ少ないので思うように会話ができません。しかし、絵本のセルフ読み聞かせであればすでに用意されている英文を使って内容を伝える練習ができます。インプットもアウトプットも同時にできる一石二鳥の学習です。

セルフ読み聞かせは英会話の練習にも効果的

「ただの音読じゃん」という声が聞こえてきそうですが、音読は読み聞かせの第一段階に過ぎません。上手に朗読するには、声に出して読むのに加えて、意味の理解、感情表現、間の取り方など、さらに深い学習が要求されます。絵本の英文を理解し、上手に朗読できるならば、それはすでに初級レベルを超えているとさえ言えるでしょう

何を読む? 大人向け英語絵本6選

無数にある英語絵本のうち、すべてが大人向けというわけではありません。ここでは私のおすすめを紹介します。好みは人それぞれなので最終的には自分で好きなものを選んでください。

I Want My Hat Back(難易度★☆☆)
クマがなくなった帽子を探す話。きっと結末に驚くことでしょう。


Someday(難易度★☆☆)
女の子の一生を見守る話。私は読むたびに泣いてしまいます。


The Bear and the Piano(難易度★★☆)
クマが森の中でピアノに出会って生き方を変える話。


The Giving Tree(難易度★★☆)
愛とは何か。読む人や時によって感想が大きく変わります。


The Man Who Walked Between The Towers(難易度★★★)
世界貿易センタービルの間を綱渡りした男の実話。映画もあります。

The Boy, the Mole, the Fox and the Horse(難易度★★★)
少年がモグラ、キツネ、馬と旅をしながら人生において大切なことを学ぶ話。


著作権について

YouTubeで公開されている絵本の読み聞かせ動画には、配信の許可を受けているものと未許可のものがあります。許可なしの配信は著作権の侵害に該当します。現状では、権利者から申し立てがあった場合に動画が削除されるようです。
 
許可を受けているものもあれば、黙認されているものもあり、一概に読み聞かせ動画が悪だと断定することはできません。無料で視聴できることは視聴する側にとってはありがたいことです。その一方で、それを良く思わない人がいるのも事実です。少しでも絵本作家さんたちの応援になるように、気に入った絵本があれば購入も検討してみてください。私もよく絵本を購入しています。

さらに先へ:基礎と応用

英語絵本の読み聞かせ動画はうまく使えばとても良い学習になります。それと並行して英単語や英文法の基礎学習も進めると、さらに学習効果を高めることが可能です。基礎力を高めれば読める本の種類が増えますし、本を読めば基礎を応用する力を伸ばせます。
 
英語絵本と基礎学習で力がついてきたら、さらに広い領域へ進みましょう。中級者には前回紹介した多読多聴の学習プランがおすすめです。上級者は洋書でも映画でも英会話でも、好きなものを自由に楽しんでいただければと思います。

自由な順に必要なところを伸ばすとよい


まだまだ紹介したいことはたくさんありますが、この連載は全4回なのでここで終わりです。基礎と英会話を省いて、英語読書を中心に紹介する形となりました。少しでもみなさまの英語学習のお役に立てたならば幸いです。

この記事を書いた人:こいけかずとし
東京大学仏文科卒。フィロソフィア英語教室代表。東大在学中、ワーキングホリデーでカナダへ渡航。働きながら英語とフランス語を学ぶ。会社勤務を経て2009年にフィロソフィア英語教室を開校。英文法主体の理論学習と多読多聴主体の経験学習を組み合わせ、実践的な英語学習を提供している。
[著書]
マンガこんなに効く!英語多読多聴マニュアル
英文が読めるようになるマンガ英文法教室
短編作品を英語で楽しむ』(以上ベレ出版)


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?