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ムリナールおじさんが入社してくるから今すぐアークナイツをプレイしろ

よくきたな。おれはberberだ。おれは毎日すごい量のテキストを書いているが、誰にも読ませるつもりはない。しかしアークナイツを常日頃からプレイし、ついに男の中の真の男がゲーム内にやってくることを知ったその時・・・・熱き血潮はアスファルトを黄金色に焦がし、おれはランチ上がりのトーキョー・マッポー・クリミナルシティのど真ん中で喜びのあまりナートゥダンスを踊らざるをえなかった。そして深い感謝と共にこうつぶやいた・・・・「苦難と闇を恐れるべからず」と。

おまえはムリナール・ニアールという男を知っているか?ムリナール・ニアールはアークナイツ界でも屈指の真の男である。おまえがもしTwitterのトレンドを横目にこの期に及んで「ムリナールって誰???」とか世迷い言を言う腰抜けなら、いますぐTwitterをシャットダウンしてイーロン・マスクに3か月分の有給休暇申請を叩きつけてからアークナイツをスマッホにインストールして四の五の言わずにプレイしろ。これはおれの遺言である。なぜならおれはこの真の男がアークナイツに実装されたが最期、心肺停止と脳内麻薬の過剰分泌によってこの世からポアしてしまうからだ。真の男たるものは自分の死に際を悟るものである。おれはムリナールという真の男の前に自分という存在がシャカの手によって召され生まれたままの原初の世界へと母体回帰することを望んでやまない。なぜおれがここまでこの真の男に魅かれるのか。おまえに全てを理解しろとは思わない。だがおれは・・・・真の男としての義務を果たすため・・・・再びMEXICOの大地に転生するだろう。


アークナイツをプレイしていないやつは全員腰抜け

おれは屈強な真の男になるためにアークナイツをローンチ当初からプレイしている。

おれには予知能力があるので、ムリナールという男がそろそろカジミエーーシュのブラック企業を退職しロドスの門を叩いてくるであろうことは去年の段階で知っていた。入社式の手はずも抜かりがない。

この通り、一家血縁関係者そろってムリナールを歓迎する準備は整っている。おれはムリナールを真の男として尊敬しているが、彼の顔が入社早々に極限までパンプアップされた親戚一堂に囲まれて歪む様を見たくてたまらない。真の男とは時に狡猾に翻弄し、やがてMEXICOの過酷なる大地で熱い抱擁を交わす。そういうものだ。

ムリナールとは・・・・?

おまえは正義感や倫理が腐敗し、金と企業戦略の裏工作と賭博にまみれた命のやりとりを行う騎士競技に身を投じたことがあるか?巨大企業をスポンサーに雇われ戦士となり、その命が尽きるまで企業の駒としてカジミエーシュの暗黒武術大会に出場する。スタジアムの観衆の中・・・・アナウンサーのハイテンションな実況で殺戮ステージにエントリーし・・・・力と技をぶつけ合った果てに・・・・サイバー・パンクなネオン街にその名声が轟く。それはかつてTIGER&BUNNYが世に広めたような華のある広告ヒーロー達のショウビズ界とは程遠い。源石を体内に宿したバーサーカー・・・・邪教が歪めし禁忌の法術を操る魔法使い・・・・自らの命を食いつなげるために這いずり回るスラムの感染戦士・・・・そういったやつらが一堂に会し、己の持てる全てを賭けた血生臭い娯楽競技だ。表向きは競技と銘打っているので地元住民にとってはフェスまがいのお祭り騒ぎとなり巨万の金が動く。そこには借り物の名声と命のやり取りしかない。

騎士の名家・ニアール家出身のムリナールはそんな騎士競技に興じるカジミエーシュという腐敗した国の現状を憂いていた。ムリナールは歴戦の猛者が跋扈するカジミエーシュにおいて彼の名前を聞いただけで戦意喪失するものが出るほどの実力者だ。軟弱者ならその場でしめやかに失禁するほどの圧倒的強者であり、対峙しようものなら黄金色のバトル・オーラの前に肉体が消し飛ぶ。存在そのものが聖闘士みたいな男だ。そんなムリナールは真の男でありながら、企業の駒に成り果てる騎士競技に心底懐疑的で諦めの境地でいた。一家の血縁者は没落していくニアール家の名声を取り戻そうと騎士競技に奮起し実力を証明していくが、ムリナールは企業の広告塔として持てはやされていく姪っ子たちに忠告し、騎士競技で一定の地位と名誉を得た分家のゾフィアのことを軽蔑する。しかしそんな彼が従事する仕事とは何か。うだつの上がらない零細中小企業のサラリーマンである。日夜上司に電話越しに頭を下げ、新聞の社会欄と株価の動きにくまなく目を通し、時折公園のベンチでコーヒーを飲む。そして慣れない営業をこなした挙句酒の席では体を張って胃の中をアルコールでズタボロにし、翌朝鏡に映るのは幾分か老け込んだ中年の顔だ。企業の宣伝塔として扱われる身内に嫌悪しながらも、自身は年がら年中ヘコヘコと頭を垂れて企業の犬に成り下がっている。そういう矛盾を孕んだ中年男だ。だが零細企業の営業サラリーマンに甘んじている行為そのものこそ・・・・「ニアール家を完全に没落させない程度に支えるだけであれば自分1人の収入で十分」という・・・・体を張って一家を守る中年男の愛の裏返しにすぎないのだ。

そして矛盾を孕んでいるのはムリナールだけではない・・・・それはカジミエーシュという国家そのものが、源石=オリジニウムが呼ぶ天災から生まれた差別社会の基盤において、虚栄だらけの騎士競技を興行しなければ国家という文明と文化のガワを保てないという根本的矛盾がある。このあたりのストーリーはおまえが実際に長編イベントストーリー『マリア・ニアール』やその後編『ニアー・ライト』で体験すべきものなので、おれは敢えて全てを語らない。おまえの貴重で新鮮な実体験をスポイルしたくないからだ。

しかしムリナールは真の男なので、次第に周囲の者たちの状況が変わってくると自らも行動を起こし出す。前提としてムリナールはこの時点では猫を被っているのでサブ=キャラの枠を出ない存在だが、真の男を作り上げるにあたっての方程式がこの世には存在する。悟空がフリーザに撃ち抜かれたクリ=リンを目の当たりにして超戦士に目覚めるように・・・・ダース・モールに懐を貫かれたクワイ・ガン・ジンの死に様を手も足も出せず見届けたオビ=ワン・ケノービのように・・・・真の男が覚醒する完璧な方程式がイベントストーリー『マリア・ニアール』とその後編『ニアー・ライト』にはある。それがこれだ。

・窮地に立たされるマリア(なるべくニアール家のマリア)
・お姉ちゃんロケット(なるべく光の速さで空を飛べるお姉ちゃん)
・3か月分の有給休暇

ムリナールが覚醒するにはなるべくこれらの要素が必要だ。誇りと地位と名誉を捨てて騎士競技に真っ向からぶつかり・・・・かつて自分も放った光り輝く黄金のオーラを纏うかわいい姪っ子達に心動かされ・・・・やがて自分には抜くべき剣があることに気付く。一家親族、誇り高き騎士ニアール家の名誉を守るためにムリナールは再び剣を抜く。騎士競技を裏から牛耳るブラック企業と傭兵軍団のムチュウ=メイにムリナールはこう言い放つ。

おれはこのセリフを読んだ時に腰を抜かして地核を突き破りそのままブラジルあたりまで突き抜けた。この男にはなんと3か月分もの有給休暇がある。それはすなわち・・・・これから思いっきりハメを外しても・・・・しばらく上司からは何のお咎めもないということだ。何だったら有給消化ついでに退職届を出すことだってできる。これこそがサラリーマンの特権だ。おれはまぎれもなく興奮し拳を突き上げた。全国の中年サラリーマンの哀愁と葛藤、そして誇りがインターネットに示された瞬間だ。おれはもっとムリナールが背景に持つ象徴的でフォトジェニックなシーンを具体的な引用を用いて書きたいと思ったが、そうこうしていると文字数が20000文字を超えてしまいそうだったのでやめておく。全てを読み終えた時にまたここに来い。そうすればおれが言いたかったことがわかるはずだ。だがおまえもMEXICOの過酷な大地を歩む戦士ならこれだけは持ち合わせておけ。持つべきものは有給休暇と退職届である。

実際とても強い

長らくムリナールは立ち絵だけのサブキャラの身分だったがプレイアブルキャラとなるにあたって声優がついた。小山力也である。おまえは小山力也の発する真の男の声を聴いたことがあるか?キーファー・サザーランド・・・・キアヌ・リーブス・・・ジョージ・クルーニー・・・・クリスチャン・ベール・・・・錚々たるハリウッド洋画吹き替えの遍歴がまさに証明している。真の男には真の男の声帯が必要だ。そしてムリナールもまた・・・哀愁と悲壮感の奥に眠る、熱き魂の男の声を手に入れた。

これはムリナールが抜いた刹那の剣技を命からがら撮影した貴重な瞬間である。実際彼の黄金の剣を目撃して生き延びた者は数少ない。撮影者本人もまたこの技を前に泡を吹いて倒れ失禁が止まらず4週間病院のベッドから立ち上がれなかったという。おお、見よ。有給休暇の力を手にし中年男性の放つ究極のフェイタル・アーツを。大群を成して迫り来る醜悪な源石感染騎士を前に一刀のもと全てを切り伏せる。黄金に輝く刀身とそこから放たれる剣戟。誰が呼んだか賃金斬である。

解放者=リベリオンたる彼は究極の剣技であるガン=カタこそ披露はしないが、その気になればテトラグラマトン党のグラマトン・クラリックをも超越する剣を見せつける。おまえが真の男ならすでに察しているだろう。ムリナールの剣技はアークナイツにおいて過剰火力もいいところであり、すなわち最強の男である。しばしばアークナイツにおいては常軌を逸した火力を有するオペレーターとその技・・・・全てを解決しうるパワーメソッドが出てくる。真銀斬・・・・イラプション・・・・ラグナロク・・・・ホリデーストーム・・・・ムリナールの放つスキルはその中でも頂点にいると言って間違いない。しかし長年のサラリーマン体質が抜けきれず、一度技を放った後のムリナールは戦闘を放棄して新聞を読み漁り、携帯電話のメールチェックをおっぱじめる。この尖った性能こそが完全なるバランスブレイカーぎりぎりのところで体裁を保っている。最強の男を生かすも殺すも真の男であるドクターの技量が試されるのだ。

苦難と闇を恐れるべからず

最初にも言ったがこれらはおれの遺言だ。おまえに必要なのは作られた多様性だとか、感動泥棒だとか、毎日10連ガチャ無料とか、そういう小手先だけの生ぬるい悦楽ではない。おまえに今必要なのは金髪高身長クランタである程度の収入と蓄えと憂いと哀愁を併せ持つ中年小山力也声のスパダリオペレーターだ。有給休暇を消化し年度末で退社して4月早々にロドス・アイランド製薬会社に入社してくる中途入社の中年おじさんに備えろ。別にムリナールガチャは無料でもないし新春早々新生活応援キャンペーンとか、そういう気の利いたことをアークナイツはやらない。だがこの中年おじさんから得られる栄養は間違いなくある。もう一度言う。中年おじさんを有償ガチャで手に入れろ。運良く彼を入社式に呼べたらそれこそ今後のアークナイツ生活を豊かにしてくれる。『マリア・ニアール』とまもなく復刻する『ニアー・ライト』で彼の姿を追うのはそれからでも遅くはない。むしろその頃にはおまえはこの悲壮感漂う中年男性に熱狂している筈だ。そして真の男が歩むその後の姿が最新イベント『夕景に影ありて』で描かれ、おまえの胸を熱く打つだろう。

なぜならこの男ムリナールこそ、その人生と造形・・・・全てにおいておれたちの心を熱く燃やし、腐敗した帝国に刃を向けるリベリオンだからだ。ムリナールと共に剣を携えた時・・・・真の男にたぎる赤い血潮と忘れ去られた騎士の誇りがおまえの心に語りかける。苦難と闇を恐れるべからず。明日を切り開く剣を持て。

おれが言いたいことはこれが全てだ。

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