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今すぐTVアニメ アークナイツ【黎明前奏/PRELUDE TO DAWN】を視聴して真の男になれ

よくきたな。おれはberberだ。おれは毎日すごい量のテキストを書いているが、誰にも読ませるつもりはない。しかしアークナイツを常日頃からプレイし、ここ数日のアークナイツ界隈の熱量の昂ぶりを察知したおれは、すなわちこの記事の他に3本も未公開のnoteエントリを書き上げているわけだが、3本とも公開していないということだ。真の男とは時に耐え難きをを耐え、忍び難きを忍ぶ。そういうことだ。

そしてついに公開されたアークナイツ【黎明前奏/PRELUDE TO DAWN】を放送初日の深夜1:20の脳内中枢にダイレクトに注入したおれは、「ワァ……」とか「ワッ……」とかちいかわめいた語彙力低下を招いた挙句、Twitterにこう遺言を書き残した。「𝑻𝒉𝒂𝒏𝒌 𝒚𝒐𝒖 𝒀𝒐𝒔𝒕𝒆𝒓 𝑷𝒊𝒄𝒕𝒖𝒓𝒆𝒔……𝒂𝒏𝒅 𝑭𝒐𝒓𝒆𝒗𝒆𝒓….」と。

アークナイツをプレイしていないやつは全員腰抜け

おれは屈強な真の男になるためにアークナイツをローンチ当初からプレイしている。

アークナイツとはソーシャルゲームのカジュアルなタワーディフェンスゲームだ。おれはこれを丹念に説明しなければいけないと感じたので、その全てを書き残している。そのアークナイツが満を持して地上波TVアニメイシヨンと化したわけだ。ミーハーなお前は米津玄師がジムで筋トレをして腕がマッチョになったアニメイシヨンに毎週もやもやし、日曜夕方からは水星たぬき合戦がんだむを見たりもする。だがお前は既に気付いているはずだ。何かが足りていない・・・・今期のアニメ枠・・・・脆く危ういそのジャンル・・・・。そうだ。今期ソーシャルゲームアニメ枠。それがアークナイツ【黎明前奏/PRELUDE TO DAWN】だ。

思っていた以上にすごい

懺悔しよう。おれはこのアニメ版のアークナイツには当初から期待をしていなかった軟弱者だ。そもそもソーシャルゲームのアニメ化で大した成功例を知らないし、おれがプレイしたソーシャルゲームタイトルはアニメ化してからそろって盛大にずっこけた過去がある。お前にもきっとあるだろう。そういう苦汁を舐めさせられた経験が。だが真の男は耐えなければいけない。邪悪な製作委員会方式で作られたアニメ作品が様々な暗黒広告代理メガコーポにゴマスリした結果、制約と都合に縛られ解釈違いを起こし見るも無残なゴミの山へと成り果てていく様に。そして真の男たるものはその残骸から骨を拾い上げ、黙ってMEXICOの大地で血の涙を流すものだ。

だが・・・アークナイツ【黎明前奏/PRELUDE TO DAWN】を見たおれは・・・その重く謎めいた物語の序章から・・・・ある1つの確信を得た。

それは音だ。この作品は音に対するこだわりが尋常ではない。5.1chサラウンドフォーマットで作成された本作は、登場人物の話す声の指向性やそこに佇む環境音まで、地上波アニメとは思えない臨場感を帯びている。事実本作は「シネマティックアニメーション」という名を掲げ、映画館で視聴するかのようなアニメーション体験を視聴者に与えようとしている。背筋の裏から人物が話しかけてくるような臨場感に腰を抜かし・・・無音であるはずの地下空間がもたらす重たい空気の振動に腰を抜かし・・・果ては演じる声優さんの細かな息遣いや感情の抑揚までもが余すところなく骨まで伝わり・・・おれは椅子からひっくり返りマントルの地下深くまで埋没することになった。

元を正せば原作ゲームからして非常に音や音楽にこだわっているのがアークナイツだ。TVアニメーションでこのフォーマットになったのはもはや必然に近いと言える。そして決して主張が強くない劇伴音楽も、1話終盤では悲壮感から確固とした決意と信念に基づいて行動するロドスオペレーター達の勇姿を描き出すかのようなエモーショナルなオーケストラとなり、心燃やす展開を演出する。つまりお前は今すぐつまらない固定概念を捨て、まずこの音が織りなす世界を体感しなければならないのだ。

お前は作画のよさにも間違いなく釘付けになる。特に登場人物が浮かべる負の表情の数々。これがとにかくすごい。どれくらい負の表情のバリエーションがすごいのかと言うと、多分お前が「まぁこのくらいでしょ」と思い描く予想の数倍はバリエーションに富んでいる。悲痛な表情・・・絶望に打ちひしがれる表情・・・何もわからず狼狽する表情。製作側には何らかの性癖をこじらせた特殊な作画スタッフがいるにちがいない。たった1話を見ただけなのにこれだけ多くの負に対する表情が色濃く描き出され、見る者に強烈なインパクトを残す。そして「2.35:1」シネスコフォーマットの画面が更に映画然とした画作りを助長し、お前を興奮の渦に叩き落す。背景の情報量自体は特別に多くないが、特に第1話では遠景から映るチェルノボーグ市街の風景と空で渦巻く天災の描写が退廃的で美しい。また画面内の人物の配置にもセンスが感じられ、ケモ=ミミしたキャラクター達は危険を察知する耳の動き1つに至るまで細かい。そしてとにかくメインヒロインのアーミヤがカワイイの極地に達している。これだけは保証するのでもう一度言う。アーミヤがとにかくカワイイ。

何者にも媚びない

【黎明前奏/PRELUDE TO DAWN】の1話を見終えて、おれがもう1つ腰を抜かした事実がある。それはこのアニメ自体が何者にも媚びへつらっていないということだ。大抵のソーシャルゲームアニメの触りとなる1話は、世界観設定の説明なり専門用語のオンパレードなりド派手なアクションで魅せたりして、視聴者を繋ぎとめようとするものだ。各方面へのご機嫌伺いの1話といってもいい。だがこの【黎明前奏/PRELUDE TO DAWN】は・・・・既存のドクターにも・・・・初見の視聴者にも全く媚びていない。そもそものっけからわからないことだらけで物語が始まり、最低限の説明セリフこそあるが、あくまでゲーム序盤のストーリーを丁寧に噛み砕いた上で再構築しているだけに過ぎない。なのでアニメから入る視聴者にとってみればほとんど何の説明もなされないままストーリーが運んでいく。実際ゲームをプレイしても序盤はプレイヤーの分身であるドクターの視線からすればわからないことだらけの連続なので、むしろわからないことだらけになる方が自然とも言える。しかしそこからじっくりと丁寧に醸成し、記憶喪失という主人公のドクターが徐々に自分が何者なのかを取り戻していくにつれて、テラという世界が取り巻く実情も明かされていく。普通なら1話切りされるかされないかの分岐点だが、【黎明前奏/PRELUDE TO DAWN】は音と画面で圧倒してから段階を踏んで見る者をグッとつかみにかかってくる。おれはこのソーシャルゲームアニメあるあるの状況説明過多を排除した姿勢に感服し、部屋の隅に積んでいたCORONAのケースを1箱勢いのまま飲み干してしまった。それでいて1話ではしっかりロドスの魂震える熱い活躍・・・・タワーディフェンスゲームをアニメで描くとどうなるかという課題すらスマートに描いているのだから、ソーシャルゲーム産アニメとして【黎明前奏/PRELUDE TO DAWN】の第1話は、ほぼ満点に近い形のアニメ化だった。

だが媚びていないのはこれだけに限らない。邪悪なる制作委員会方式・・・この束縛のない本作は丸々30分間パブリッシャーでもあるYosterの出資なので、合間に挟まるCMも全部アークナイツ関連だ。強いて言えば番組の終わり掛けにブルーアーカイブのCMが挟まるので、透明感のある世界観と前後の温度差に風邪をひいてしまうくらいだ。

アークナイツとは何か?それはここ数年でもゲーム制作会社が己の描きたい作品をとことんにまで追求しまくっている希有なソーシャルゲームタイトルだ。その姿勢はこのTVアニメイシヨンにも哲学として引き継がれている。「俺たちが作ったゲームだから俺たちがやりたいようにアニメ化する!とりあえず序章あたりを全8話!お抱えのよーぴく製作で映画館で観るのと同じフォーマットで!大陸含めてグローバル配信な!あとこのシリーズ今後も続くから!」というハイパーグリフのすさまじい気迫に、おれは5000回くらい脳を殴られた気分になった。ここまでくるともはやこだわりを超えて狂気すら感じる。

真の男は興奮する

お前がアークナイツを少しでもかじっている人間に「アークナイツってどんな作品?」と聞くと、大抵そいつからは「鬱作品だよ」だの「陰鬱だよ」などのうわべだけの情報が漏れだしてくるだろう。だが待ってほしい。この物語はとてつもなく深淵でどうすることもできない非情な世界のほんのわずかな一片だが、そこにはいつだって必ず小さな希望があるのだ。アニメ第1話に至っては、なぜこんな環境で生きている人たちがいるのか説明すらもされないが、そこでもがきあがく人たちの姿に触れ・・・そこで生きる人々を見たいと思うからこそゲームをプレイしているドクターが多いのは事実だ。実際、その非情な環境と希望が表裏一体となった世界観は、第1話にて暴動を起こしている感染者組織レユニオンムーブメントの名もなき2人の構成員が、逃げ惑い抵抗する子供と母親を人質に取って言い放つセリフにも如実に表れている。

母親「お願いです!この子だけでも…!」
レユニオンA「あぁ?都合のいいこと言ってるんじゃねぇぞ!まずガキからだ!」
レユニオンB「おい!…もう十分殺しただろ!」

おれはこのセリフのやりとりにやばいくらいに興奮した。台本にもモブとしてしか載らないような、ゲーム内だったら簡単に蹴散らすことができるポジションの敵の雑魚キャラが、自分の組織の身内に向かってこんなセリフを言うのだ。自らが不治の病で迫害され、意趣返しに健全な者たちを暴動し略奪することで権利を勝ち取ろうとする組織の末端中の末端の人間の中にも、光と闇がある。そこから始まるロドスの奪還劇が1話の最高潮シークエンスであるのは言うまでもない。その先にもさらに非情な現実が待ち構えているが、おれはいちいち全てを書かない。なぜならお前たちの貴重な映像体験をスポイルしたくないからだ。だがおれは間違いなく確信している。これは紛れもないアークナイツの世界である。だからこそおれは恐怖する・・・・・こんな情緒が洪水となってしまうような話があと7回も続くのかと。

Ace.

アークナイツに出てくる男たちはどれも一癖ある真の男たちばかりである。ロドスのエリートオペレーター・Aceもその1人だ。鍛え抜かれ研ぎ澄まされた肉体とCQCで迅速且つ確実に敵を沈黙させる仕事人。彼はゲーム内では立ち絵だけのサブキャラだったが、アニメとなったことでついに声優がついた。わかりやすく設定上だけで言うなら、ゲーム内最高レアリティのキャラとタメを張る程の実力者か、或いはそれ以上の戦闘能力をこの男は有していると言ってもいい。その演技は熱く魂を奮い立たせるに足りるキャスティングだ。しかしまたしてもおれは多くを語らない。なぜならお前自身にこのAceという男を目撃してほしいからだ。おれはこのAceという男を目撃することができるアニメ作品がこの世に存在するだけで価値があると思ってやまない。お前自身が見届けろ。話はそれからだ。

Blu-ray BOXも予約しろ

散々お膳立ててきたが結論はこうだ。さっさとイーロン・マスクが買収したTwitterを閉じて各種サブスクサービスで【黎明前奏/PRELUDE TO DAWN】を視聴しろ。そして感じたことをイーロン・マスクにぶつけてやれ。だがおれもたった1話だけでこのアニメの全てを評価したわけではない・・・・物語を最後まで見届けなければ真の男とは言えないだろう。だがおれはこの1話で浴びせられたとてつもないアニメ製作陣の執念に首から上をもっていかれてしまっているので、そのままAmazonの奥地で特別版のBlu-ray BOXを予約した。通常盤でもゲーム内で使える各種サービスチケットが盛りだくさんだ。気に入ったら予約してついでにゲームもスマッホにインストールしろ。だが真の男たるものは判断力を鈍らせてはいけない。お前も既に気づいている筈だ。昨今のアニメイシヨンはいつだって簡単にお前を裏切る。常に警戒しろ。だがおれから言えることは、この作品には必ずお前が得られる栄養があるということだ。そして・・・お前がドクターとなり・・・長いコールドスリープから目覚めた時・・・おれはお前の肩を叩いてこう告げるだろう。

「 𝗪𝗘𝗟𝗟𝗖𝗢𝗠𝗘 𝗕𝗔𝗖𝗞, 𝗗𝗢𝗖𝗧𝗢𝗥. 」


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