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恋に落ちる瞬間


ついに10年ぶりに好きな人と会ってきました。
勇気を出してデートに誘ってから1ヶ月。早かった。


徐々に梅雨が近づいていて天気が不安だったけど
彼と会う日だけ太陽マークが付いていた。
そして当日はまさに快晴、ドライブ日和だった。


13時、彼の家の最寄り駅まで迎えにきてもらって
ドキドキしながら助手席に座った。
かなり緊張していたけど、運転席から私を見つけて手を振る彼の笑顔が
懐かしくてなんだか安心した。

ランチで行こうとしていたお店はオーダーストップしていて入れなかったので、
とりあえず近くの湖で車を停めて散歩しながらアイスを食べた。
計画性のない二人が集まるとこうなるんだねって笑ってた。
そのあと空腹に耐えられなくなってうどんを食べに行って、海を見に行った。


透明な海の中に小さい魚やウニ、クラゲがいるのが見えて
「遠くに見えるあれはクラゲだと思う?」「絶対クラゲじゃないよ」
「魚がいる!」「どこ?ほんとだ!」

そんなやりとりをしながら、釣りをしているおっちゃんたちを横目に
二人で海沿いを並んで歩いた。
水面が太陽に照らされてキラキラしていて眩しかった。
気温も天気もなにもかもを味方につけた日だった。

彼は砂浜でサンダルを脱いで足だけ海に浸かってはしゃいでいた。
それをただ笑って眺めていたけど、無邪気で可愛いなと思った。
動画を回していたら彼が気づいて、「動画?」ってニコニコしながら聞いてきた。
その声が電話のときよりもずっと優しくてドキッとした。


そのあとは近くの居酒屋にご飯を食べに行って、
どう考えても食いすぎだろ、という金額にびっくりしてお店を出た。
変な時間にうどんを食べたので私はほどんど食べられず
全部彼に託したけどもりもり食べているところも愛おしかった。

帰り道、街灯のない田舎道は星空が綺麗で
車から降りて2人で並んで星を見た。
視界を遮る建物も騒音も何もない、
カエルの鳴き声と私たちの声だけが響いていた。
そのときだけは、世界は二人のものだった。

くさいことを言うけど、このまま時間が止まればいいのにと本気で思った。

そのあともう1箇所だけ、工場夜景が綺麗に見える公園に寄ってから
彼の家から遠い私の実家まで送ってくれた。

「最初から送るつもりだったよ」と笑っていたけど、
あの頃と同じできっと眠たいのを我慢してくれていたんだろうなと思う。
夜1時ぐらいに家に着いたよと連絡が来た。


帰ってからお風呂で湯船に浸かりながら、この日のことを何度も思い返していた。


並んで星を見ているとき、車の中で「君の知らない物語」を2人で熱唱しているとき、海沿いを歩いているとき、わざわざ寄り道して工場夜景を見に行ったとき、
彼はどんな気持ちだったんだろう。
やっぱり彼にとって私はただの友達なんだろうか。


「気になる」から「好き」に変わるきっかけって何なんだろう。
煙草を吸っている彼の隣に行ったとき「煙気をつけてね」って言ってくれるとか
暗いところを歩くときスマホのライトで足元を照らしてくれるとか
急な段差を降りるときに手を引いてくれるとか、私の好きなクレヨンしんちゃんの歌をたくさん流してくれるとか、そんな単純なことだったりするんだろうか。
やっぱり好きだな、と実感するには十分すぎる時間だった。


正直告白するには絶好のロケーションが揃っていたと思う。
でも言えなかった。自信がない。
10年ぶりに会ったのに「一緒に写真撮ろう」の一言すら言えなくて
はしゃいでる彼を撮ることしかできなかった。

次の日に遊んだ親友には、絶対脈アリだから今すぐ告れと言われたけれど
やっぱり傷つきたくない、臆病な気持ちが勝ってしまう。

何も伝えられず東京に帰ってきたけど、私はこれからもずっと
この日一緒に見た海や星空や工場の夜景を思い出して胸が苦しくなると思う。
あの日勇気を出して好きって言えば良かったと後悔するんだろうなあ。




明日から何をモチベに生きればいいんだろう。
しばらくは余韻に浸りながら過ごすんだろうけど
大量の仕事やこの先引っ越しが待っている。頑張らなきゃ。
また誘えば会ってくれるかな。

親友と遊んだ日のことは次に書こっと。
今日も読んでくれてありがとうございました。
おやすみなさい


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