薬中主夫

2022/10/11 華8セット −8,8k

 前日引退を告げたので麻雀を打つ気はなかったが、学生の俺がいると料金が安くなるので観戦しにいくつもりだった。だが雀士達の熱い闘牌に魅せられて卓に着いてしまった。今日は昨日のメンツに加えてN君が参加していた。彼も華8はもうしないと言っていたはずだがきっと、雀士達に魅られてしまたのだろう。俺たちは決して華8中毒などでは無い。
 内容は散々だった。まず華が来ないし聴牌をしない。たまにリーチできたと思ったら2枚枯れのカンチャンで追っかけられ即報銃などしていた。俺以外の三人はニヤニヤしながら「俺だけがつかない。お前はつきすぎだ」などと大変上品な会話をしていて思わず手が出そうになった。


今日5億回目の俺がダンラスの時に、ドラ無し真っ黒のリーのみの上の手を立直しツモあがり裏が3枚乗った。俺の和了手牌を見てN君が「シュバしてた?」と聞いてきた。俺は一瞬にして髪が逆立ちブチギレそうになるのをグッと堪え、「してないけど、これ君ならシュバするの?」と聞き返した。するとN君は感情の読めない爬虫類みたいな表情で「だって裏が三枚乗ってるし」という薬中みたいなことを言ってきた。N君は仕事を辞め主婦になってからというものそういう意味不明なことを言ったり、夏夏北北の親シュバに南バックリャンシャンテンから無筋3本切ったりするようになったので、きっと暇な時間に薬でもやり出したのだろう。
 薬中のN君の相手だけでもてんやわんやなのに、S君も負けてる俺の手牌を覗き込んできて「太えなあ」など熱く煽ってきた。またある時には親のN君が春夏夏秋秋冬北北を抜いている緊張の一局で、S君が先制リーチをし俺は差し込み気味に5sを打ったのだが当たらずN君がシュバをし、ラス一の2pを即ヅモし、五十枚くらいチップを払った。ふとS君の手牌を覗き込むとなんと25s待ちでかなり大きめの「は?」が出てしまった。俺の5sを見逃したS君は慌てて「先ヅモしたやつの手が被って見えなかった!」など苦しい言い訳を始め、俺は熱さを通り越して冷めてしまった。
 正直麻雀欲も失せて、予定があった俺は先に一人離脱した。今度こそ本当に二度とやらない。俺は宅建の勉強で忙しいのだ。

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