性犯罪に関する公訴時効の延長について


 性犯罪に関する法務省の刑法改正案において、性犯罪の公訴時効を5年延長する案が出されたそうです。
 これに対しては、
「公訴時効を撤廃または被害者が40歳くらいまで延長してもらいたい。」などというを上がっているようです。

 ただ、「被害者」が子どもの頃になされた行為について40歳とかになってそれが性犯罪と気付いたという場合に、今更被害届出されたところで、立証をどうする気なんですかね。

 もちろん、「被害者」の、遠い昔の事柄に関する供述だけで「被疑者」を逮捕し、被疑者の記憶が曖昧なことの乗じて自白調書をとって有罪に持ち込むということが日本でなら可能かもしれませんが、それはそれで冤罪をたくさん生むことになりそうです。殺人罪の場合、少なくとも被害者が死んでいるということは昔の事件でも通常客観証拠で示すことができますし、そもそも被害者が誰かに殺されたという事実自体は程なくして発覚し、種々の資料が採取されることになるのですが、「被害者」が子どもの頃になされた行為について40歳とかになってそれが性犯罪と気付いた等という場合、客観証拠を採取する余地なんてありませんからね。

 さらにいえば、この場合、被害を受けた直後の供述はなく、大人になった「被害者」が子どもの頃のお話をするのを供述調書としてまとめたものが証拠として出てくるわけですよ。あるいはこれを弁護側が不同意とすれば、大人になった「被害者」に子どもの頃のお話を尋問することになります。詳細なことは忘却している可能性もあり、記憶が変容している可能性も十分あります。日本の裁判所なら、それでも有罪判決を下す可能性は十分ありますけど、その中には冤罪が多く含まれそうです。

 性犯罪は、通常男性のみが起訴される犯罪類型なので、人権派の方々も、冤罪がでても構わないというスタンスをとる人が多いのですけど、いかがなものなんですかね。

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