不同意わいせつ罪について──その3

 第5号では、「同意しない意思を形成し、表明し又は全うするいとまがないこと」により、同意しない意思を形成し 、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、わいせつな行為をする行為が犯罪とされます。

 この条文をいくら見ても、「では、性的接触をすることについて同意を求めた後どのくらい考慮時間を相手に付与すれば良いのか」に関する手がかりは一切分かりません。

 また、従前、夫婦や恋人同士等継続的に性的接触関係がある男女間において新たに性的接触(キス等)を行う場合に相手方に長時間の考慮時間を与えるという運用はなされてこなかったわけですが、改正法施行後は、それは不同意わいせつ罪として処罰の対象となると言うことになります。例えば、キスを求められたときに「同意しない意思を形成し、表明」するまでに10分程度の考慮時間が必要であると裁判所が判断した場合、その考慮時間が経過する前にキスを実行した場合には不同意わいせつ罪が成立することになります。

 そして、相当の考慮時間を付与することなく上記性的接触をした場合には、相手方もそれを望んでいた場合にも不同意わいせつ罪は成立しますし、非親告罪ですから、第三者が刑事告発した場合でも処罰されることになります。

 したがって、5号の創設は、夫婦や恋人同士の交際の仕方を根本的に改めさせる起爆剤になりそうです。

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