見出し画像

日記(2022/07/03)

ジョン・フォード『若き日のリンカーン』再見。ヘンリー・フォンダはお行儀の悪い座り方をしていても品があるし嫌味がない。あとやっぱ黒が似合う。若き日のリンカーンは「横になってるときの方が頭が働く、縦になってるとかえって寝ちゃう」と、驚くべき、とても良いことを言っている。そう、横になるのは善いこと。ピーター・ボクダノヴィッチが書いたジョン・フォードのインタビュー本で語られてる削除場面、見たかったな。

続いてジョン・フォード『タバコ・ロード』見る。声のボリュームが普通じゃない奴らしか出てこない!車が道路をちゃんと走ってる映像がほとんどない!イカレきってて素晴らしい。歳の差夫婦が結婚不認可を歌って押し切って認可させる場面で、夫婦が立ち去ったあともずっと歌ってるエキストラたちをまあまあ長めの尺で写す場面笑う。歌ってるけど全員誰?っていう。ワード・ボンドの家に貰われることが決まったあと全速力で駆けるジーン・ティアニーの姿をロングショットで写したカットが美しくてハッとする。『静かなる男』のモーリン・オハラもやはり全速力で駆けていた。極貧限界農民が土地奪われる話だが悲壮感など微塵も感じさせない楽観性が素晴らしい。最近は喜劇の大らかさに惹かれる。ラストカット、犬のフレームインが超良い。

中島隆博『荘子の哲学』面白い。今現在の境遇を肯定して善しとするのは、最近読んでたデカルトと共通する部分はあるが、荘子の場合、今現在の境遇を絶対的に肯定することで、むしろそのあり方から自由になり、新しい存在様式と新しい世界のあり方に逢着する、というさらなる展開がある。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?