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日記(2022/08/08)

ヴァージニア・ウルフ『灯台へ』読み終わる。一つの家で複数の人物の内面が織り成されていく第一部の「騒々しさ」とは全く異なるがそう言いたくもなる何か「動」の雰囲気から一転して、人間がいなくなったあとのその家を風の運動を通して描写してみせたりもする第二部の静けさが途方もなく美しい。転換の仕方がめちゃくちゃかっこいい。三年前に作った映画『そんなこと考えるの馬鹿』後半部分で誰もいない家の廊下や階段などをいくつかのカットで淡々と提示していくというのをやったことがあって、それは少しでも小津安二郎を自分の映画に宿したくて、と人には言っていたけど、その小津の不気味な美しさに近いものがここにあると感じた。小津の映画でインサートショット的に挿入される人間不在画面は『灯台へ』第二部ではもはや主役といえる。違いといえば風の有無が大きい。
帰省の荷作り。いつも何の本を持っていくかで迷って時間がかかる。たかだか一週間の夏休みで何冊も読むことはできないのだがとりあえず三冊。この前の帰省のときに買ったジョイス『ダブリンの市民』と昨日買ったヴァージニア・ウルフ『波』。せっかく家籠るからなあと思って気合い入れて読むようなやつと思ったらベケットかなと思ったけど読み終わった『モロイ』しか家にないと思って買うのもなあと思って本棚眺めると講談社世界文学全集の背表紙、その中にベケットの『マロウンは死ぬ』が入っていてちゃんとベケットあるやん!完全に忘れてた。ラッキー。これで三冊。暑いから朝早く起きて庭で読むのやりたい。


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