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日記(2022/07/06-07)

ジョン・フォード『怒りの葡萄』見る。これもビデオマーケットが最良のマスター。貧農映画。ただの貧困映画ではなく労働を求めて必死に彷徨うことで「動」の映画になっている。飢えてる人がいたら価格も全然変えて売る店、その粋な計らいを見た客は店に余分にお金を落としていく、という人情の循環が描かれる場面が希望として写る。職務質問の場面で警官がトラックの荷台をライトで照らすと、具合の悪いおばあさんが娘の膝を枕にして横たわっているのが写るが、その目に明らかに生気が無くて、これはもう死んでる…?と思ったが、警官は「病院はここを真っ直ぐ」と言ってそれ以上の拘束を解くだけで、特に何かリアクションがあるわけでもない、しかしあのおばあさんが生きてるか死んでるか、誰でも分かりそうなものなのだが、と思って特に印象的なのだが、続く場面で他の家族も気づいていなかったことが分かる。あの顔を見たときの「あ…」という感じ、心霊写真っぽいかもしれない。『その男、凶暴につき』で通行人の女性に流れ弾が当たる場面があるが、この映画が原型?とか思った。まあでも治安悪い地域だったらよくあることなのか。

福永光司『荘子 古代中国の実存主義』第3章まで読んだが面白くない。何か書かれてることが普通すぎると思っちゃう…。中島隆博『荘子の哲学』で絶賛されてたから読んでみたものの。文体に熱がこもりすぎていてかえって引いちゃう感じもある。入門書的な位置づけなんだろうが、それがかえって合わないのかもしれない。『荘子の哲学』は全然入門書じゃなくて、まあまあ専門的な内容。それでも荘子全然知らなくても面白い。今月の文學界が入門書特集で、小泉義之がそこで書いてるのを立ち読みしたが、のっけから「入門しとらんで最初から原著読め」って言ってた。

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