未経験者が5ヶ月間でアイアンマンフロリダを完走するまで 〜①練習期間〜
私は2023年11月4日、フロリダのアイアンマンレースに出場し16時間31分で完走しました。出場を決意したのは2022年12月。但し、職場の変更や体調不良(2度の胃腸炎とマイコプラズマ肺炎等)で本格的に練習を始めることができたのは2023年6月。実質5ヶ月間の練習を経て本番に挑むことになりました。
練習期間や本番のレースで経験したことを記録に残すことにで、今後アイアンマンレースに挑戦される方の参考情報に少しでもなればと思います。「①練習期間」「②移動・現地での調整」「③レース当日」の3段階に分けて、自分の経験とそれを通じて学んだことを記録に残すことにします。まずは「①練習期間」についてです。
私は都内で働く27歳(レース当日時点での年齢)の社会人です。基本的に平日5日間のうち3-4日間は業務後にラン又はスイム、土曜日朝に自転車でロングライド、日曜日はオフというスケジュールで練習を継続しました。平日の練習は長い時間を取れないため、いずれも1時間以内で練習を済ませることが日常でした。
スイム
泳ぐことに対する恐怖心はありませんでしたが、本格的な練習を始めた2023年6月時点では、200m以上続けてクロールを泳ぐことができませんでした(途中で平泳ぎを混ぜないと継続不可)。そのため、スピードは気にせず少しずつクロールで泳げる距離を伸ばす練習を続けました。具体的には、300M*4、400M*3、500M*2といったように徐々に一本の長さを長くして体を慣らしていくような練習です。体が沈んでしまうことが一番の課題点だったため、プルブイで体を浮かして少し長めの距離を泳ぎ、次にプルブイを外して同じ距離泳げるようにする、といったような形で距離を伸ばしていきました。
結果的に2023年7月に2000m、2023年8月に3000m泳げるような状態になりました(いずれもウェットスーツを着用して泳いだ距離です。ウェットスーツは浮力があるため、プールよりもだいぶ長く泳げる気がします)
学び・おすすめ①:早いタイミングでスイムレッスンを受講する
スイムはなかなか自分の泳ぎを客観的に把握しづらいため、早いタイミングでアドバイスを受けてそれを着実に改善させることが成長への近道だと考えます。
私は東京体育会を練習の拠点にしてたため、東京体育館のスイムレッスンを3-4回受講し、AquaLab代官山さんにも一度お世話になりました。AquaLab代官山さんでは、水槽のような流水プールで個人レッスンを受けることができ、自分が泳いでる姿を動画にもおさめてくれます。動画を見ながら改善ポイントを説明してもらえるため、改善ポイントとその後の練習に役立つTipsをたくさん教えてもらうことができました。約1万円と少し割高ではありますが、価値はあります。とてもおすすめです。
学び・おすすめ②:オープンウォータースイムの練習をしておく
プールでの練習も大切ですが、実際に海で泳ぐ練習をしておくことを強くおすすめします。私は酔いづらい体質だと思っていましたが、海で泳ぐことに慣れないうちは途中吐きそうになることが多々ありました。サーフィンの経験もありましたが、サーフボードがないオープンウォータースイムは別物で、酔いづらい体質の方も要注意かと思います。酔い止めを飲んで泳ぐ方もいるそうです。
バイク
基本的に土曜日のロングライドで距離に慣れる練習を続けました(Zwiftも自宅用に購入しましたが、結局合計10回も使わずにアイアンマンレースを迎えました…)。
2023年6月以降は平均して月に2回ロングライドの練習をするペースで、アイアンマンレースまでに合計約10回のロングライドを行いました。一回の練習でだいたい90km〜120kmライドするイメージで、朝6時前に出発し午前中のうちに帰宅するような流れです。私は東京の西側在住のため、多摩川か尾根幹が主な練習場所でした。
学び・おすすめ①:距離に慣れる
本当にこれに尽きると思います。スピードはそれほど気にせず、楽にこぎ続けられる距離を徐々に伸ばしていくことが大切だと思います。私も180kmは最初イメージすることすら難しい距離でしたが、練習を重ねることで少しずつ現実味のある距離になっていきました。
学び・おすすめ②:高いバイクよりも自分の体に合うバイクを選ぶ
私はTTバイクを購入せず、元々持っていた10~15万円のロードバイクに様々なアタッチメントを装着することで対応しました。たしかにTTバイクを購入した方がタイムはよかったかもしれませんが、完走を目標にしていた自分としては、10-15万円のロードバイクで十分だったかと思います。ただバイクを購入した当初からそのロードバイクは自分の体にフィットしていると強く感じていたため、いかに体にフィットするバイクでレースに望めるかが重要かと思います。DHバーは必須なので絶対に購入しましょう。
学び・おすすめ③:ロングライドの後に短いランをする
レース当日は180kmのロングライドの後にフルマラソンが待っています。バイクで足が疲弊している状態で走り続ける必要があるため、疲弊した状態で走る練習をするためにも、ロングライドの後に数キロでもいいのでランを入れましょう。また、バイクの後のランはバイクで固まった体をほぐす効果もあるため、怪我防止につながるそうです。
ラン
2023年8月~9月はシンスプでなかなか走れず、結局6-7月と10月しかランの練習をすることはできませんでした。練習できた時期は週2回ほど仕事の後に5-10kmの距離を走っていました。正直アイアンマンを完走された他の方々に比べると練習量は圧倒的に少なかったと実感していますし、レース当日はその代償を受けることになりました。
学び・おすすめ①:いきなり練習量を増やすのではなく、徐々に増やす
私が練習を始めた当初、いきなり走る距離・頻度を増やしてしまったため、シンスプを患い練習できない期間を作ることになってしまいました。自分の体と会話しながら適度な練習を継続することを意識しましょう。怪我をしたら全てが台無しになります。無理は禁物です。
学び・おすすめ②:レース前に30km走をしておく
30kmは走れるという自信を持てるか持てるないかでレース当日のメンタルは大きく変わるでしょう。レースの2-3週間前に30km走をしておくことで、フルマラソンに対する抵抗感を払拭しておくことをおすすめします。ただレース直前はレース当日に疲労を残すことになるため、本当の直前は避けましょう。
レース経験を積む
僕は11月のアイアンマンレースの前にオリンピックディスタンスとミドルディスタンスのレースに出場しました。それぞれの日付は以下の通りです。
2023年8月9日 東京海の森トライアスロン(オリンピックディスタンス)
2023年10月8日 九十九里トライアスロン(ミドルディスタンス)
参考)2023年11月4日 アイアンマンフロリダ
何回かレースの経験を積むことでレース当日に何を準備しなければならないか学ぶことができます。また、たとえ距離はアイアンマンより短くてもレースを何度か完走することで自信がつくと思います。私は海の森で落車したことで落車のリスクを痛感しました。そして九十九里では補食の重要性を痛感しました。まさに学びの連続でした。
アイアンマンレース直前の移動等については次のエピソードでご紹介します。ではまた次のエピソードで👍